風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

透明なビー玉どうし、ぶつかって 割れるよう、心の事故、多し 【短歌】

2022年11月29日 | 短歌
人は人との関係で
傷つくことが少なくありません

相手の気持ちや心の動きが
見えるのであれば
それに合わせて関係も作れるのでしょうが
お互いに見えないままで
想像をするしかありません

それで、思いがぶつかって
傷つくことも少なくありません

そんな事故があちらこちらで
起きているのかなと思います

落葉する時がねじ巻く通学路 【季語:落葉】

2022年11月26日 | 俳句:冬 植物
小学校の通学路に
銀杏の落葉が散っています
街路樹が並び、毎年見事です

子供たちはきっと
その色合いを覚えているのだと思います

大切な時間が落葉とともに過ぎて行き
子供たちもまた一つ年を取ります

その一年がどれほど貴重なものだったのかは
きっと、後から気がつくものなのでしょうね

落ち葉の降る様子に
止まってくれない時間を
鮮やかに見るようです

雪の降った週末に 【詩】

2022年11月24日 | 

「雪の降った週末に」

可愛げのない顔をした
雪だるま
紅いニンジンの唇

少し離れたところから
怪訝そうに僕を眺める
誰だろうこんな深い雪の日に
わざわざ訪ねて来るなんて と

 ○

顔に触れた
子供の手の冷たさ
その小さな跡が
頬にそのまま
紅葉のように
赤く くっきりと
残りそうだ

 ○

幾つかの柿の実は
まだ枝にぶら下がっている

干し柿に選ばれなかった実だ
とんだ晒しものだと

雪にますます
赤らむように見える

 ○

雪囲いが 間に合わなかったと
笑って話す 隣人
寒いですねと 言葉を交わした後には
降りしきる雪の中で
黙々と 体を使った作業が続く

 ○

横目で眺める
屋根の上の雪の厚み
雪下ろしに駆り出されるには
もう暫く時間がかかりそうだと
ほっとしている

 ○

静けさの中を 歩いてみれば
雪が 隠し忘れた
大根の葉っぱ
ぐったりとして
SOSを
送っているようにも見える

 ○

陽射しが覗いたのに
あざ笑うように
舞い降りる雪

まだまだ 序の口だよと
髪の毛にまとわりついて
耳に 吹聴している

 ○

威勢よく 温風吹き出す
石油 ストーブ
ちらり ちらりと 
燃える炎が その奥に見える

頑張ってくれ 君だけが頼りだ

 ○

子供の体が温かい
寝かしつける振りをして
ぎゅっと抱きしめて
暖をとっている

 ○

布団の中に 入っても寒い
肩の辺りで 冷たい獣
凍った息を 吐いている みたいだ


布団出し空いた押し入れ秘密基地 【季語:布団】

2022年11月19日 | 俳句:冬 人事
冬用の掛布団を押し入れから出しました
そうしてスペースの出来た押し入れ

早速、目ざとい三男が
そのスペースを見つけて遊び始めました

曰く、そこは自分の部屋で
夜もそこで寝るのだとか

そうして出撃となると
そこから飛び降りて
煩く騒ぎ立てます

本当に子供はどこにでも
自分の遊ぶスペースを見つけるので
油断も隙もありません

もっとも自分も
小さい頃には押し入れで
遊ぶことが大好きでしたが

深い調べ 【詩】

2022年11月17日 | 

「深い調べ」

瞳に映る空は
冬の冷気に冴えて
深い調べに澄んでいる

向かいの白いビル
花瓶が置いてある窓際
お茶を持った影が動く三時ごろ
僕はまたつまらないことに
顔をしかめて
重たい気持ちでいる

持っていたペンを止め
こんがらがる頭が重い
全てを放り出したくもなって
窓の外を眺める
一口 水を含むと
冷たさが広がって

あの澄んだ冬空に
触れることが出来ぬのならば
せめてその色合いを一時でも心に映して
流れ出る調べを一片の青い詩に
写しとることができるのならと


家にいる、あなたに居場所、求めてる いや、僕が、あなたの、在り処にならなきゃ

2022年11月15日 | 短歌
家にいることが多い自分
家族といることが苦になるようだったら
家にいることは
辛いだろうなと感じます

幸いにも
子供たちは喧嘩ばかりはしているのですが
スマホをいじっている時などは
皆で楽しそうにしているので
まだ大丈夫そうです

自分も子供たちに
安心してくつろげるような
場所を提供できる存在に
ならなければなと思います

団栗を一つ拾わん目のすさび 【季語:団栗】

2022年11月12日 | 俳句:秋 植物
子供たちの学校公開日

いつも子供たちが通っている
通学路を歩いていると
道に団栗が一つ落ちていました

踏まれて割れた団栗の中
その一個だけが綺麗な形で
色つやもあり
思わず拾い上げてしまいました

何をする訳でもなく
ただ目に止まって惹かれてしまい
捨てるに捨てられずに
ポケットに入れました

そうして家に帰ると
捨てるのも可哀想で
鉢植えの土の上にそっと置いてみました

深い霧 【詩】

2022年11月10日 | 

「深い霧」

頭にはいつからか
深い霧が立ちこめて
僕の目はそれから
摺ガラスを通したように
ぼんやりと輪郭を失った
風景を見ています

それで時折は
平野をさっそうと走る
白い馬の早さを
なびくしっぽを
とらえきれないのです

あるいはその上に乗っていた
姿勢を正した美しい人の姿も
鞭ふるう一撃も

蹄の跡も消えている
なにかが通った
かすかな印象を
額になすりつけて行くだけで

僕は青いバツ印を
沢山 額に刻まれて
ますます頭の中の霧を濃くして
奇妙に唇をゆがませる

空を一瞬に渡り消える
虹の煌めきのようなものを
舌の上にうまく現わせずに

おしゃべりを
覚えたばかりの赤子より
つたない言葉は
はたからみれば
口を捩り捻じ曲げて
今にも泣き出しそうです


ちぐはぐさ、心、優しくなりたくて人にはますます、ぎこちなくなる 【短歌】

2022年11月08日 | 短歌
人に優しくしたいと頭では思います
そうして、人が喜んでくれると
確かに嬉しくなれます

けれど実際に行動に移そうとすると
その行為がわざとらしく感じられて
ぎこちない笑顔
ぎこちない行為になります

これならばやらない方が良かったと
後で溜息をついたりします

頭で分かることと
自分の行為を体が受け入れることでは
少し差異があるようです

若い時ほどには
そんなぎこちなさは無くったのですが
今でも自分の行いが
わざとらしいなと思うことがあります