風のささやき 俳句のblog

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欄干に丸き鳩なり冬茜 【季語:冬茜】

2018年11月24日 | 俳句:冬 天文
一人土手を散歩していました
夕刻になるに連れて寒さが
服の間に浸み込んできます

川の流れてくる方には大きな夕日が
沈んで行こうとしています

今日はそこで過ごそうと言うのでしょうか
一羽の鳩が橋の欄干にじっとしていました

温かな羽に守られているとは言え
鳩も随分と寒く感じているのでしょう
体を丸めてまるで鞠のようです

夕日が落ちる前に帰れよと
その鳩に向って心の中で呼びかけていました

階段が絨毯敷きの落葉なり 【季語:落葉】

2018年11月17日 | 俳句:冬 植物
落ち葉散る公園を歩いていました
暖かな陽射しに誘われて
たくさんの人が遊びに来ていました

小さな女の子は
綺麗な落ち葉が気になるのか
地面から拾い上げる仕草をしていました

その側では頭上の紅葉を
カメラに収める男の人

僕はそんな人たちを見ながら
階段を上って行ったのですが
階段は落ち葉に埋め尽くされて
まるで豪華な絨毯を敷き詰めたよう

少し贅沢な気分で歩いていました

落葉する心残りが影をなす 【季語:落葉】

2018年11月10日 | 俳句:冬 植物
晴れた青空の公園で
落ち葉が舞い落ちる様を見ていました

まるで雨のように
次から次へと振り落ちてくる葉は
陽射しを受けてキラキラ輝いて見えます

潔く葉を落とす木々ですが
少しは心残りを感じているのでしょう

地面に届く前に映る一瞬の影は
落ち葉の存在を
忘れないように刻みつけようとする
未練なのかなと目に映りました

焦げ跡が妙に寒いな冬隣 【季語:冬隣】

2018年11月03日 | 俳句:秋 時候
スーツには小さな煙草の焦げ跡がついていました
煙草を吸う友人と歩いている時に
誤ってつけてしまったものです

小さな穴ですし
スーツの色も茶色でしたので
あまり目立たないからと
気にしていなかったのですが

とある小雨の降る日
そのスーツを着て歩いていると
どうも一部寒く感じられるところがあり
見るとそれが煙草の焦げ跡がついたところでした

僕が忘れかけていた小さな穴さえ
冷気は見逃さず
その身を捻じ込んで来ました