風のささやき 俳句のblog

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枯葉鳴る人恋しさに呼ぶ名前 【季語:枯葉】

2022年12月03日 | 俳句:冬 植物
枯葉がなるこの時期
風の寒さに心までも寒くなるようで
思わず、人恋しく感じられます

そうして口をつくその人の名前は
もう随分と前から
会うこともなくなった人

その思い出が心をよぎり
今でも胸を温かくしてくれます

けれどその人に自分は
何かを返すことができていたのかしらと
振り返り自分の駄目さも感じてしまいます

自然と思い出し
心を温めくれる人の面影を
自分の中にもっていられることは
ありがたいことですね

落葉する時がねじ巻く通学路 【季語:落葉】

2022年11月26日 | 俳句:冬 植物
小学校の通学路に
銀杏の落葉が散っています
街路樹が並び、毎年見事です

子供たちはきっと
その色合いを覚えているのだと思います

大切な時間が落葉とともに過ぎて行き
子供たちもまた一つ年を取ります

その一年がどれほど貴重なものだったのかは
きっと、後から気がつくものなのでしょうね

落ち葉の降る様子に
止まってくれない時間を
鮮やかに見るようです

電飾をまとう輝き冬木立 【季語:冬木立】

2020年12月04日 | 俳句:冬 植物
クリスマスを控え
街はすっかりとその装いに姿を変えています

夜になるときれいなイルミネーションも輝き
幻想的なその彩りには
この年になっても
心惹かれるものがあります

けれどちょっと迷惑気味なのが
電球を飾られた街路樹たち

僕らの勝手なお祭り気分に付き合わされて
光ることを強要されています

きっと迷惑な話なのだろうなと推測するのですが
もしかすると生い茂っていた葉を散らし寒いところ
電球の温もりが実は心地よいのかも知れませんが

えさ漁る雀が鳴らす朽葉かな 【季語:朽葉】

2019年11月16日 | 俳句:冬 植物
通りを歩いていたら
団地の花壇のそばから
ごそごそと落ち葉の鳴る音がしました

何だろうと思いよく見ていたら
何羽もの雀が落ち葉を動かしならが
地面を忙しそうについばんでいます

葉の影に隠れた餌を探しているようです
寒さに備えて少しでもお腹を
満たしておこうといったところでしょうか

まわりの物音が静かなだけに
その朽葉の鳴る音だけが印象に残り
冬を感じさせました

もっとも
落ち葉をどかしながら餌を啄ばむ作業を
雀たちは少し楽しんでいるようにも見えたのですが

階段が絨毯敷きの落葉なり 【季語:落葉】

2018年11月17日 | 俳句:冬 植物
落ち葉散る公園を歩いていました
暖かな陽射しに誘われて
たくさんの人が遊びに来ていました

小さな女の子は
綺麗な落ち葉が気になるのか
地面から拾い上げる仕草をしていました

その側では頭上の紅葉を
カメラに収める男の人

僕はそんな人たちを見ながら
階段を上って行ったのですが
階段は落ち葉に埋め尽くされて
まるで豪華な絨毯を敷き詰めたよう

少し贅沢な気分で歩いていました

落葉する心残りが影をなす 【季語:落葉】

2018年11月10日 | 俳句:冬 植物
晴れた青空の公園で
落ち葉が舞い落ちる様を見ていました

まるで雨のように
次から次へと振り落ちてくる葉は
陽射しを受けてキラキラ輝いて見えます

潔く葉を落とす木々ですが
少しは心残りを感じているのでしょう

地面に届く前に映る一瞬の影は
落ち葉の存在を
忘れないように刻みつけようとする
未練なのかなと目に映りました

ビルの中迷子の枯葉の慌て振り 【季語:枯葉】

2017年11月18日 | 俳句:冬 植物
いつもの通りとあるビルの中に入りました
考え事をしながらロビーを歩いていら
どこから迷い込んだのでしょう
枯葉が僕の目の前を
まるで生きているかのように動いています

僕も初めて見る珍しいお客様
枯葉も早く外に出たいと
出口を求めて慌てふためているようです
その様子が気になったのですが
僕も先を急いでいたので
見てみぬ振りをしていたのですが

あの枯葉はどうしたのでしょう
掃除の人に摘み出されたのかなと心配していました

枯葉踏む悔い染む音に聞こえてる 【季語:枯葉】

2015年11月22日 | 俳句:冬 植物
ここのところ
掃いても掃いてもなくならない枯葉で
道が覆われています
その上をゆっくりと歩くのですが
歩くたびに足元から小さな音がします
晴れた日が続いているので
枯葉は乾いた音を立てます

歩くたびに指先に触る冷たい風
何時の間にか訪れた秋も
もう行ってしまおうとすることに
季節の移り変わりの速さを思い

枯葉を踏む音さえ
後悔に似た思いを運び
胸に沁み渡ります