風のささやき 俳句のblog

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夜明かしの血眼三日月染みており 【季語:三日月】

2017年10月28日 | 俳句:秋 人事
その日はやることが溜まって
夜通し仕事をするはめになりました

あまり眠らずにパソコンに向かっていると
効率も少しずつ落ちてきて
気分もイライラとしてきます

仕事の合間に鏡を見たら
目も疲れて充血しています

その後も眠気に朦朧とした頭で
仕事を続けたのですが

粗方やるべきことも終えて外に出ると
白み始めた空に
細い月が輝いていました

その冴えた明るさが
血走った目にしみるようで
思わず目を瞑ってしまいました

松島や秋の鴎の慌てよう 【季語:秋】

2017年10月21日 | 俳句:秋 時候
松島に渡る遊覧船の上を
一羽の鴎が飛び過ぎて行きました

仲間とはぐれたのでしょうか
左右をキョロキョロと眺めながら
少し慌てている様子です

こんなに美しい風景に
何をそんなにと思ったのですが

よく考えれば普段から
何かに追い立てられるように
慌てている自分も同じようなもの

当てもなく飛んでいく鴎が
急に哀れに思えてきて
その飛び去る姿を
いつまでも眺めていました

修験者も見とれたろうか菊の花 【季語:菊】

2017年10月14日 | 俳句:秋 植物
山寺に出かけた時のこと
そこには修験者が修行した
岩場もありました

随分と厳しい環境で修行を重ねながら
彼らはその修行の先に一体何を
見ていたのでしょうか

怠けた生活をしている僕には
とても分からないことと思いながらも
それが何なのか知りたいなと考えながら
石段を登りました

途中で白い菊がたくさん咲いていたのですが
きっと修験者もこの花には
慰められたのだろうなと
そのことだけは何となく感じ取ることができました

酔いの果て虫責めるなり赤い月 【季語:虫】

2017年10月07日 | 俳句:秋 動物
その夜は友人と会い
話しが盛り上がって
ついつい深酒をしてしまいました

楽しい気分は家に帰るまで続いていたのですが
足元は覚束ず
記憶もところどころが無くなり
あんなたくさん飲まなければよかったと
少しずつ後悔の念も湧き起ってきます

すると秋の虫も僕のだらしなさを
責めるために鳴いているように聞こえ
空を見ると不吉な色をした赤い月

月にも責めたてられているような気がして
僕の後悔の念はますます大きくなるばかりでした