風のささやき 俳句のblog

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子供らも馴染み始めて中学校 大きな水筒 クラブの汗に 【短歌】

2024年04月30日 | 短歌

中学校に馴染めるのかしらと
心配していた子供たちですが
思った以上にすんなりと馴染んで
しかも楽しそうに過ごしていました

二人ともクラブにも入り
特に長男はバスケットボール部に入ったので
毎日疲れたと言って帰ってきました
そうして、食べる量も増えました

運動をして汗もかくので
毎日大きな水筒を持って行くのですが
それが空になって戻ってきました

氷を作ることと
お茶を沸かすこと
忘れてはいけない毎日の家事でした


地下鉄の出口の先や芽吹く木々 【季語:芽吹く木々】

2024年04月27日 | 俳句:春 植物

いつものように
地下鉄の駅で降りて階段を上ろうと
出口の先を見上げました

するとどこかジメジメと感じられる
地下の暗さとは対照的な
明るい春の光景がありました

そうしてその明るさに
色を添えるような街路樹の新芽

寒い時分は地下鉄の通路もその階段の先も
代わり映えのしない薄暗さだったのですが
今は光の量の違いに
思わず目を逸らしてしまうほどでした


春風に襟元を引っ張られて【詩】

2024年04月25日 | 

「春風に襟元を引っ張られて」

春風に襟元を引っ張られて歩く
必要以上に胸元は大きく膨らんで
ネクタイは地面と水平になびく

春風が靴に透明な羽を生やす
それで交互に動かす足が
疲れも知らずに進んで行くんだ

けれど春風の勢いだけで
世を楽に渡れるほど
甘くはないと知っているから

思いがけずに飲まされる煮え湯に
焼けただれた舌を持つ
疑心暗鬼の表情を
晴れ晴れとできないでいるんだ

それに風に膨らむ胸は空虚だ
空に浮かぶ赤や青の風船ほどに中身がなくて
どこでつぶれてしまうのかも分からない

張り裂ければ飛び出してくる
かき集めたいくつもの寂しさ
まとわりつくいく粒もの涙

だから春風よ
手を放されたそばから
糸の切れた操り人形のように
倒れそうだから

その手を無情に放すのであれば
春風よ そんなに
襟元を引っ張るのをやめてくれないか
強がれる以上に強がっている僕を
さらに大きく膨らませるのは


春の波寂しさは寄せ泡立ちぬ【季語:春の波】

2024年04月20日 | 俳句:春 地理

福岡に単身赴任した初めの頃

海を眺めながら離れた家族のことを思い
少し寂しい気分でいました

押し寄せる波が
僕の心を洗う寂しさのようで
その寂しさがどこから来るのかもわからず
止める術も知らずに

打ち寄せたと思ったら
泡立つように消えてしまう

そんな心の様と波とを
重ね合わせて見ていた自分でした


故郷の春に【詩】

2024年04月18日 | 

「故郷の春に」

青い空が 田んぼの水に憩う
あぜ道のタンポポが
あどけない揺れ方をする
古びた社が 清楚な佇まいでいる
その穏やかさの訳は
頬を吹く風に 無造作に紛れている

自分の重さを 素直に感じる枝垂桜
朝露を まだこぼさない若い木の葉
川のせせらぎは まぶしく
跳ねて飛ぶ 糸とんぼ

名前も知らない 野の花たちも
目の中の美しい点描
この大地に 活けられてあることを
喜ばしく思っていると
声を持つ小鳥が 代わりに教えてくれる

若い草の匂い 牛舎の牛の穏やかな目
すべてが優しい その訳を
風の中から 取り出すことが
できるのならば

きっと 沢山の苦しさを
手のひらに 優しく包み込んで
乱れぬままに 美しい
微笑みのような 合掌になるに違いない

その手を覚え 和らぐ
旅人の僕の顔にも
春のあどけない 空の青さが
触りにきている

人はきっと 思う以上の豊かさに
触れられている

肩にさわる その微かな重さに
自分のささくれた手を
重ねることが できるのなら

手のひらに 包まれた秘密も
花開くように
心に流れ込んできて
力づけられると

故郷の春の空に
信じられる気がした


生真面目や横断歩道の入学児 【季語:入学児】

2024年04月13日 | 俳句:春 人事

子供たちの保護者会に出かけた時のこと
ちょうど下校時刻に重なったようで
青になった横断歩道を
新一年生が列をなし手を挙げて渡っていました

その手の上げ方の一生懸命なこと
力を入れて頭上に真っ直ぐに手を伸ばしています
その横では上級生が見守ってくれているので
余計に力が入るのでしょう

その初々しさがとても可愛らしくて
横断歩道を渡る様子を見ていました

その初々しさはいつまで続くのでしょうね


春の雨【詩】

2024年04月11日 | 

「春の雨」

僕のために
泣いてくれた人がいる

いつの間にか降り出した
ぽつりぽつりと春の雨

その人の涙のように心地よい
温かでいつまでも濡れていたい

僕は僕のままでいい
その雨に濡れて思う

自分を貶めればその人が曇り
冷たい雨に指先も痺れ

「知っている?」
人は人のために涙を流す

あなたに寄り添えば
自然と溢れる涙がある

あなたの痛みも素直に感じたい
幸いを願う嬉し涙

春の雨が温かさ教えてくれる
僕はあなたを濡らしていたい


耕した土に雀が虫を食う一輪挿しには桜一枝 【短歌】

2024年04月09日 | 短歌

その日は天気も良く
近くの市民農園では
沢山の人が作業をしていました

耕されたばかりの柔らかそうな土の上には
雀も降りてきていました
虫でも探しに来たのでしょう

その帰り道では
花をつけた桜の枝が落ちていたので
それを家に持って帰り
しばらく使っていなかった
一輪挿しに差しました

思わず手にした春のお零れ

家の中にも春がともったように
少し部屋の中が明るんで見えました