風のささやき 俳句のblog

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重き服愛想つかして弥生尽 【季語:弥生尽】

2015年03月28日 | 俳句:春 時候
早くも三月(弥生)も終りに近づき
先週あたりからコートを脱いで
街を歩けるようになりました

それでもまだ
冬服を着て歩いているのですが

先日、お店に入り食事をしていたら
うっすらと額に汗がにじみ出る始末

お店の中が暑かったせいもあるのでしょうが
もうそろそろ衣替えの時分かなと
そんなことを思いました

去る人を祝いほころぶクロッカス【季語:クロッカス】

2015年03月21日 | 俳句:春 植物
小学校の話しになりますが
卒業式の際に卒業生一人一人に
自分たちで育てたクロッカスを渡す
慣わしがありました

そのせいでしょうか
僕の中ではクロッカス=卒業という
等式が出来上がっています

時折は涙を見せながら
卒業する者の手の中で
ほころび始めたクロッカスは
新しい暮らしへの希望の予感で
去り行く者たちを
静かに励ましてくれているようです

卒業を重ねすぎて
その時分の甘酸っぱい気持ちを
感じることはもうできない自分ですが

クロッカスを見ると
少しだけそのときの感触が
胸の中で音をたてます

春寒し不機嫌に待つ来ぬ電車 【季語:春寒し】

2015年03月14日 | 俳句:春 時候

少し遅くなった帰り道
駅で電車を待っていました

昼間は随分暖かだったのですが
夜になったら一転随分と寒く
薄着の肌に寒さがしみます

僕の斜め横で電車を待つ人も
薄手のコートの襟を両手でしっかりと押さえ
無意識なのでしょうが片足で
リズムをとるような仕草を見せています

僕もなかなかこない電車に
八つ当たりしたい気分で
不機嫌になっていました

野良猫の毛並みの汚れ余寒空 【季語:余寒空】

2015年03月07日 | 俳句:春 時候
肌寒い日でした
空模様もどんよりとして
心も黙り込みがちでした

道を歩いていると
塀と塀との狭い間から
猫が顔を出しました

覗き込むと親猫と
何匹かの子猫が
こちらの方を警戒しながら見ています

きっと野良猫なのでしょう
その毛並みは
どこか湿り気を帯びて汚れています

人家の暖かさを知らない野良の生活が
その汚れに写し取られているような気がして
すぐにでも暖かな南風が吹けばいのにと思いました