風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

にわか雨生々しき香や初夏の草【季語:初夏】

2024年05月18日 | 俳句:夏 時候

少し前までは、布団も干せるほどに
陽が射していたのですが

西の方から黒い雲が近づいてきて
ほどなく雨に混じって
雹も降り始めました

それを見ていた子供たちは
おっかなびっくり
ベランダに出て
その雹をつまんだりしていました

それも20分程度のこと
すぐに黒雲は通り過ぎて
また太陽が顔を覗かせました

買い物に行くと
濡れたアスファルトには
少しの水たまりも出来て
そこに太陽が陽ざしを映し

伸び始めた雑草の類の
生臭いような匂いが
辺りには立ち込めていました


梅雨あがり枯骨まがいの翅一つ 【季語:梅雨あがり】

2022年07月30日 | 俳句:夏 時候
強い太陽が降り注ぐ毎日
ここぞとばかりに
薄い羽毛布団を洗って干したりと
洗濯やら掃除に勤しみました

洗濯ものを抱えてベランダに出て
欲し終わったので
植木を眺めたりしていると
甲虫類の固い上翅の部分が
半分落ちているのを見かけました

雨に随分と洗われていたのか
色も落ちてしまい
砂のような色になっていました

雨の中に命を失い
翅だけが雨にさらされ続けたのでしょうか
その翅を拾い上げて
植木の土の上に置き弔いました

病床に寄り添えもせず夏に入る 【季語:夏に入る】

2022年06月11日 | 俳句:夏 時候
お見舞に出かけたい人がいるのですが
病院の新型コロナの感染対策もあり
なかなか会うことも大変です

寂しい思いをしていたら
申し訳ないなという気持ちを持ちつつ
随分とご無沙汰をして
いつの間にか夏になってしまいました

病院は体が弱っている人も
少ないないと思うので余計に気を使ってしまいます

なかなか、以前の通りとはいかないでしょうが
早く気兼ねなく
会いに行くことができるようになればなと思います

薄暑の夜しっとり寝る子腹を掻く 【季語:薄暑】

2021年06月12日 | 俳句:夏 時候
まだ窓を開けて眠るほどには
暑くはない夜のこと

それでも子供たちは
体温が高いのか
布団をはいでお腹を出し
すごい姿で眠っていました

触ってみると
どこか汗ばんでしっとりとしています
うつぶせに寝ていた側の髪の毛は
濡れた感じで汗をかいています

その汗で痒くなるのでしょうか
出したお腹をボリボリと掻きながら
寝返りをうったりしています

今からこれで大丈夫かしらと
子どもたちの体調を気にしています

シャツをまた湿らす涎や半夏生 【季語:半夏生】

2020年07月04日 | 俳句:夏 時候
おんぶ紐で前に抱きかかえ
子供と出かけたのですが
顔が痒いのか眠いのか

時々顔を僕のシャツにこすりつけます
それだけならいいのですが
それと一緒に大量の涎もくっつけてくれます

汗をかいているわけでもないのに
シャツの涎をつけられた部分は
しっとりと濡れてきます

肌の上に直接シャツを着ていたので
やられたなと思いつつも
まあ元気な証拠と気にしないようにして
買物を続けていました

夏なのにもう落ちるのか未熟の葉 【季語:夏】

2020年06月27日 | 俳句:夏 時候
その日の空は晴れ上がっていました

地下鉄の出口から足を踏み出すと
陽射しの強さに一瞬目がくらむようでした

僕は額に汗が滲むことを感じながら
いつもの道を歩いていたのですが

一瞬気持ちのいい風が吹いてきたかと思うと
街路樹の銀杏がざわめき
それから乾いた小さな葉が落ちて来ました

これから夏の陽射しを受けて大きくなるはずが
散ってしまった葉っぱに
一抹の寂しさを感じていました

水風船噛み割り濡らす夏衣 【季語:盛夏】

2020年05月09日 | 俳句:夏 時候

風船に興味のある子供たちのために
水風船を買いました

比較的小さな風船で
水を中に入れて膨らませます

早速家で作って手渡すと
何を思ったかいきなり噛み付き
あっさりと割ってしまいました

仕方が無いのでもう一個作って渡すと
学習能力も無く
これまた割ってしまいました

噛んでいる時の
キュッキュツという
感触が楽しいのでしょうか
それともそんな遊びだと
楽しんでいるのでしょうか
何回作っても同じ結果です

当然のことながら服はびしょ濡れ
夏の暑い時分にしか
できない遊びでした


あきらめる術見当たらず夏の果 【季語:夏の果】

2019年08月24日 | 俳句:夏 時候
暦の上では秋を迎えて
少し秋らしい空の色が広がっていました

また一つの季節が足早に去ろうとするのに
僕の心には様々な思いが
諦めつかぬままに燻っています

その火種を消し去ってしまう術を
探り当てることもできず
呟きを続ける胸を抱えて
ただ立ち尽くすばかりです