風のささやき 俳句のblog

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このビルも取り壊されて春の雪【季語:春の雪】

2025年02月08日 | 俳句:春 天文

まだコートの隙間から入り込む
風が冷たい日

曇った空からは
ちらほらと雪が降ってきました

職場の近辺が開発が続いているせいか
古いビルが取り壊されていて
馴染みのレストランが入っているビルにも
解体のお知らせ

そのレストランのドアにもひっそりと
閉店のお知らせが貼ってありました

閉店前に寄れればよかったのですが
気が付きませんでした
昨日までは普通にお客さんもいたのに

そんなビルへのお別れなのか
それとも記憶を薄れさせようとしているのか
直ぐに溶けてしまいそうな大粒の雪が
空から降りてきました


春嵐星までよろけあるような【季語:春嵐】

2024年03月16日 | 俳句:春 天文

その日は朝から晴れていたのですが
随分と風が強くて
時々唸るような音も聞こえて
誰かが叩くように窓もなりました

夜も風は強く吹いていて
ベランダに出ると
自分の体がその風に包まれてよろけるようで
空を見上げると星までもが
どこか定まらずに揺れているようでした

春の風なので強さ以外は
心地は良いのですが


春嵐吹きながらえて日暮なり 【季語:春嵐】

2023年04月01日 | 俳句:春 天文

午前中は穏やかだったのですが
午後にはいると風が強く
吹き荒れる感じでした

洗濯物を干していたのですが
洗濯物が吹き飛んで行きそうで
洗濯ばさみを追加しました

家の中にいても時折
風が窓に当たり
激しい音がして驚かされました

そんな強い風が夕暮れまで続き
空が暗くなる頃に
ようやく勢いをなくしました

 #2020 春に


短髪をすく薫風や気分良し 【季語:薫風】

2022年05月07日 | 俳句:春 天文
久しぶりに髪を切りに行きました

いつも通っている床屋さんが
開いているかなと思ってのぞいてみたら
ちょうど、店主が新聞を読みながら客待ち状態でした

肉やらをかっての帰り道
食材は髪を切る間、冷蔵庫で預かってくれました

髪が長く気になっていたので
自分の髪にはさみが入るたびに
頭が軽くなった気がしました

短くなった髪で床屋を後にすると
さわやかな緑を含んだ風が僕の頭を吹いて
久しぶりにさっぱりと
気分良く感じていました

居を移す部屋や家族と春陽のみ 【季語:春陽】

2022年04月02日 | 俳句:春 天文

仙台に移り住んだ日のこと
荷物は午後から入ってくる予定だったので
何もない部屋で過ごしました

荷物がないと
部屋は随分と広く感じるもの
話し声も響いて聞こえるので
思わずひそひそ話になってしまいます

荷物が来るまでの間は
まだ4カ月の子供たちをジャンパーの上で寝かし
手持ちぶさたで過ごしていました

僕らの他には
春の陽射しのみが部屋に
何もない寂しさを
和らげてくれました


愁い抱き風光るとも三度泣く【季語:風光る】

2022年03月05日 | 俳句:春 天文

無性に悲しい時があります
泣いても消えない悲しみは胸に居座り
悲しみに乗っ取られるようです

とある日の公園で
そんな悲しみに襲われて
太陽が眩しいのに涙が止まらず
その涙を見られないようにうつむきました

周りはそんな僕には無関心なまま
ただ、光を含んだ風だけが
気にかけてくれました


自らを知らぬ阿呆に春の月 【季語:春の月】

2021年05月01日 | 俳句:春 天文
夜遅くなり
道を一人で歩いていました

何故かその日は
昔のことが色々と思い起こされて
後悔の念に苛まれていました

自分のことをあまりに知らずに
起こしていた過ち

自分のことは思った以上に
見えていない部分が多いようです

そんな自分の心の中を見透かすような
丸い春の月が空一面を明るくし
僕を慰めてくれているようでした

春茜野山も諧調失くしおり 【季語:春茜】

2021年03月20日 | 俳句:春 天文
昼間は陽射しも強かったのですが

夕方になると風が心地よく
子供たちを乳母車に乗せながら
散歩をしました

春の夕日に彩られると
あたり一面が皆同じ色合いに染まり
自分も夕日の一部になってしまったようで

普段は騒がしい子供たちも
僕と一緒に黙って赤い風に吹かれていました

仰ぎ見てくしゃみささげる春の雲 【季語:春の雲】

2020年05月02日 | 俳句:春 天文
肌に触れる風が暖かく
自然とうつむき加減だった姿勢も
良くなってくるようで

ここのところ
空を仰ぎ見るような機会が
増えてきたように思えます

天気が良かった週末も
そんな風に空を眺めながら
歩いていました

空には大きな雲が一つ
ゆっくりと流れていたのですが
その空を眺めていたら
くしゃみが何度も出てきました

そのうち目もかゆくなり
悠然と雲を眺めている気分でもなくなり
また下を向いて歩き始めました

春疾風赤子(こ)の頬もプルルと揺れそうで 【季語:春疾風】

2020年02月22日 | 俳句:春 天文
その日は朝から
随分と風が強く吹いていました
ベランダを通る風も
すごい音をたてて通っていきます

鉢植えやら物干し竿やらが
飛ばされてはいないかと心配になり
目を覚ましたぐらいです

こんな風の中に子供を連れ出したら
どうかなと想像したのですが
パンパンに膨れた頬っぺたが
プルプルと震えるのではないかと
そんな姿が浮かんで来て
一人でニヤニヤと笑っていました