風のささやき 俳句のblog

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オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

手花火の命短し怒れる子 【季語:花火】

2021年07月31日 | 俳句:夏 人事
秋田で過ごした夜
甥や姪と一緒に庭先で花火をしました

以前は小さくとても危なくて
もたせられなかったのですが
今年はちゃんとそれぞれが
手に花火を持って遊んでいました

それでも人に向けたり
振り回したりと
注意をされっぱなしだったのですが

花火の命は短いもの
一瞬で燃え尽きる火の花に
時々は文句を言う子供たち

最後の線香花火も振り回して
ますますその命を
短命なものにしていました

港町の日曜日 【詩】

2021年07月29日 | 

「港町の日曜日」

魚くさい日差しに
焼かれる港町の日曜日
潮風に乗る鴎を
黄色い太陽が照らし
白い船が青い海原に
光る航路を引いて行く
岬の方には入道雲が湧いて
空の銀の彫刻になる

市場を彩る魚の目
漁師の腕に刻まれた入れ墨
海辺に遊ぶ日に焼けた少女の
黒い瞳の横顔が夏の印象に残り
僕は仮そめの
日に焼けた皮膚をむいて
白い足と手とでまた
歩いて行くことになる


托鉢の僧の手の鈴涼風か耳瑞々しく潤いわたる 【短歌】

2021年07月28日 | 短歌
随分と暑そうな衣装を身につけた
托鉢の僧が道端に立っていました

最初は気付かなかったのですが
その手に持たれた鈴が鳴らされて
初めて気がつきました

鈴の音は随分と高く涼しげで
後ろから涼しい風が吹いてきたような
そんな涼感がありました

2回、3回と鳴らされたその鈴の音は
僕の耳を瑞々しく潤し
僕はそのお礼に
戻って御布施をしようかと思いました

日暮れどき子を腕枕に端居する 【季語:端居】

2021年07月24日 | 俳句:夏 人事
夕方になって大分涼しくなってきました
それでもまだ汗ばむ暑さです

窓からは心地の良い風が吹いてきたので
その風が当たるところに横になりました

ちょうど子供が
崖の上のポニョのDVDを見ていたので
呼び寄せて自分の腕のところに寝かせ
一緒にテレビの画面を眺めました

時々頭を動かしていた子どもが
やがて動くことを止めたので
顔を覗き込むと
いつの間にかスヤスヤと眠っていました

そっと持ち上げて
布団の上に寝かせると
自分はまた先ほどの位置に戻り
しばらくは涼しい風にあたっていました

幾度も寝返り打てど眠られぬ蒸るる夜長く夢暑苦し 【短歌】

2021年07月21日 | 短歌
寝苦しい夜が多くなってきました

寝ながら動き回る子供たちに
蹴られることも一つの理由なのですが

なかなか寝付けずに
何度も寝返りを打ったりします

一か所にじっとしていると
布団がしっとりと感じられてきて気持ちが悪く
次の日の仕事のことを考えたりすると
げんなりとしてしまいます

そんな時に見る夢も
どこか暑苦しく汗ばんでいて
ほどなく眠り足りない朝がやってきます

工作に励む汗の子風を呼ぶ 【季語:汗】

2021年07月17日 | 俳句:夏 人事
初めて行った幼稚園の体験コース

外で体を動かすコースと
教室での工作コースとを選べたのですが
今回は教室のコースを選んでみました

ちょうど七夕の頃と言うことで
流れ星の形をした短冊を作りました

絵の具を指につけて
短冊の上に模様を描き
そこに星の形を貼り付けるのですが
二人とも真剣に取り組んでいました

窓を開けたままの部屋は蒸し暑く
汗をかく子供を冷やそうとでもするかのように
時々は爽やかな風が
吹き抜けて行きました

カサブランカ 【詩】

2021年07月15日 | 

「カサブランカ」

真っ白な ワンピースを
身にまとう あなたは
まるで大輪の カサブランカ

夏の朝日が 触るように
眩しい 無垢の白さが
甘く 匂いたつ

触れたいのに 触れられない
羽音を心の あせりと従わせ
僕は飛べない 蜂のよう
あなたのまわりを ただ ただよう


動き出す物が無くなる空虚さに満たされ果てた夏の追憶 【短歌】

2021年07月14日 | 短歌
夏の暑いさかり
部屋の中で窓を開けて一人考え事をしていたら

いつしか自分の胸の中で
すべての物が動きを止めてしまいました
自分の中のすべてが
麻痺してしまったような感じです

後はただうつろな感じばかりが
次第に大きくなって行き
僕を満たしていきました

それは決して嫌な感触のものではなかったのですが
どこか取りとめが無くなす術もなく
自分の浅はかな底が露わになる感じでした

一瞬は自分の脳裏をかすめた
夏の日の思い出もいつしか消されてしまい
僕はただ空虚さを感じるばかりでした

絵団扇や拍子とり舞う子の握る 【季語:絵団扇】

2021年07月10日 | 俳句:夏 人事
病院に子供を連れて行きました

注射を打ちにいったのですが
その副反応がでるといけないので
しばらく病院の側をうろうろと
二人の子供を連れて歩きました

時間をもてあまし気味だったので
子供用品の売っているお店に入りました
中には子供たちの目を引く
玩具やらも一杯

あやうく高いリユックサックを
買わされそうになったのですが
200円で済むキャラクターの絵団扇で誤魔化しました

家に帰るとそれを持って
昔見たお祭りの拍子を真似て
踊り出す二人

本来の使い方を少し逸脱しているので
絵団扇の中のキャラクターも
少し困惑気味に見えました