風のささやき 俳句のblog

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雨降りや飛び出すでない蝸牛 【季語:蝸牛】

2021年06月05日 | 俳句:夏 動物
雨が降りだすと
まだ生まれたばかりのような
小さなカタツムリがたくさん
野原から道に這い出してきます

足もとをしっかりと見ていないと
ほんとうに気がつかない小ささ
これで生きているのかと疑わしいほどなのですが
良く見ると確かに動いています

当然のことながら
踏まれてしまったカタツムリも
何匹もいて無残なのですが

その屍を気にすることもなく
後から後から小さなカタツムリが
雨に誘われて出てきます

もう飛び出すんじゃないよと
小さく声をかけるのですが
僕の声は赤信号程の効果はなく

小さなカタツムリたちは
道路に向かって進んでいきました

蟻 【詩】

2021年06月03日 | 

「蟻」

力を合わせて 蟻が 
黄金虫の亡骸を 持ち上げる
どんな号令で 一矢乱れず
あるいは 念仏を唱え

風の 後押しも受けて
運んでゆく
人知れぬ 野辺の葬送

あんなにも軽々と
死を 扱うことができるのなら
どんなにか 心も軽くなる

難しく まだまだ 
持ち上がらない 重い心だ


悔むたび噛みしめられる唇が薄くなったか鏡眺めて 【短歌】

2021年06月02日 | 短歌
失敗したなと
後悔することが多い自分です

後悔したとして何も変わるものではなく
後悔すること自体が損だとは思うのですが

心に通り過ぎた出来事が
自然と湧き起こり
思わず唇を噛みしめてしまいます

そんなことをずっと重ねていることもあり
唇も薄くなってしまったのではと
時々鏡を眺めたりもするのですが
特に変わった様子もありません

まだまだ後悔を続ける余地が
あるということでしょうか