架空の鳥、鳳凰は桐の枝にしか止まらないという。
桐箪笥などはとても高価なものである。
木を見て森を見ず。という諺があるが、桐の木の生い茂る森を見てみたいものだ。
木を見て森を想う。
桐一葉。
ちぎってみたい欲求を抑えながら、独特の葉形に眼を凝らす。
からりと軽いながらも強度と耐久性を兼ね備えた希少なその木を生育させる葉の形。
なんとなく手の平に見えなくも無い。
じっと我が掌を見てみる。
掴み、掴もうとしてきたことの過程が、その手を見ている。
桐の葉は、さわさわとは揺れない。ひらひらと揺れるようだ。
鳳凰が飛び去った後のさわやかな佇まいを思わせる。