過日、といってもあれは土曜日のこと。
北摂からミナミに向かっていた僕は、時間を持て余していることに気付き、梅田から歩くことにした。
北の新地は、金曜のツワモノどもの夢の後。そこを抜け御堂筋に出る。
本町に入り、船場を横切ってどぶ池通りをゆっくり南下しつつ、休日のビジネス街の力の抜けた雰囲気を楽しむ。
歩幅は心持大きく取りながらも一歩一歩をゆっくり進めることで街の波長に合わせられるようだ。
ふと、灰色の背景に朱の存在が浮かび上がった。
「止まれ」。
僕は逆らう理由もないので、おあつらえ向きにあったカフェに入りコーヒーを持って外のチェアに腰かけた。
そして、もうひとつの朱のアクセントに気付く。
「消火栓」。
「消化せんなぁ」、少しばかり胃が張っていることを思わず自覚した。
誰にも知られず、嗤われもせず、責められもせず、独りコーヒーを啜っていたことを、想い出させてくれた一枚のスナップ。
北摂からミナミに向かっていた僕は、時間を持て余していることに気付き、梅田から歩くことにした。
北の新地は、金曜のツワモノどもの夢の後。そこを抜け御堂筋に出る。
本町に入り、船場を横切ってどぶ池通りをゆっくり南下しつつ、休日のビジネス街の力の抜けた雰囲気を楽しむ。
歩幅は心持大きく取りながらも一歩一歩をゆっくり進めることで街の波長に合わせられるようだ。
ふと、灰色の背景に朱の存在が浮かび上がった。
「止まれ」。
僕は逆らう理由もないので、おあつらえ向きにあったカフェに入りコーヒーを持って外のチェアに腰かけた。
そして、もうひとつの朱のアクセントに気付く。
「消火栓」。
「消化せんなぁ」、少しばかり胃が張っていることを思わず自覚した。
誰にも知られず、嗤われもせず、責められもせず、独りコーヒーを啜っていたことを、想い出させてくれた一枚のスナップ。