最初は白鷺が瀬について稚鮎を狙っていた。何度か失敗はしていたが飛び跳ねる魚をキャッチするさまは巧いものであった。
そこにズングリの五位鷺がやってきた。好漁場なのだろう、白鷺の後ろで長い間ずっと順番を待っている。
そこに今の時期の季語でもある蒼鷺がやってきた、そして悠々と漁場に近づくと白鷺は場所を譲って飛び立ち、蒼鷺がぶんどった。
順番を飛ばされた五位鷺はしかし何もなかったように同じ位置で尚も順番を待った。
私はそこに座って食べていた握り飯も無くなり、立ち上がろうとして思わずふらついた、すると蒼鷺は驚いてすぐに飛び去った。
五位鷺はとみると、全く動ぜずおもむろに漁場に進み、白鷺とは比べ物にならないほど敏捷に一発で魚を咥え呑み込んでいるところであった。
「よかったな」と私が言うと、嘴なめずりをしながら五位の鷺は「あたりまえよ」とでも応えそうな顔をこちらに向けた。
どうやら同じ鷺でも、五位鷺は、白鷺や蒼鷺とは別格のようだ。