ドイツバイエルン州のグロスバードルフ村が、11年に再生可能エネルギーで起こした電気は村内消費量の4.75倍で、近隣地域だけでも同じようなエネルギー事業を営む組合が23あるという。
このような設備の多くは北東部に偏在し、需要の多い南部に送電している。ところが送電網の容量不足で風の強い日などは余剰電力が隣国のチェコやポーランドに流れ込み、先方の送電網に悪影響を及ぼしているという。
ドイツが自国内で電気を使いきるには送電網の増強しかないが、
環境破壊を理由に「反対」され送電鉄を新設できない。
行き場を失った電気で系統が不安定になるのを避けるために発電の停止案まで出ているという。
北海道電力が4月、売電申請のあったメガソーラー計画の4分の1しか「受け入れられない」と発表したのも同じ理屈だ。本州と結ぶ送電線が「細い」のだ。
また、風力発電が増えると、無風の時に「肩代わり」できる同出力の火力発電所が必要となる。しかし風力が増える分だけ普段の火力の稼働日数は減るので、不採算になるようだと肩代わりする者もいなくなる。
環境が大事と、再生可能エネルギーを「推進」する層が、送電網増強に「反対」し結局は風力の出力抑制を招く。こうした「矛盾」は再生可能エネルギーの電源構成比が20%に近づくと表面化するという。環境先進国ドイツが直面する「不都合な真実」である。
(切抜抜粋/2013.7.29.日経朝刊「経営の視点」より)