前略、
平成三年生まれの君も、順調に歳を重ね、
いよいよ社会人となることをうれしく思います。
たいしたはなむけにもなりませんが、徒然に今思うことを述べておきます。
まずの大事は、社会に出て働くということの定義を早急に自分なりに創り上げてください。
今までの学業ように同年代の中だけのような甘えは通用しません。十代だろうが三十代、四十代、五十代、それ以上だろうが、職業では全員がライバルでありかつ友人になり得るのが社会の広さと面白さです。
自分を言い訳しない人間に育て上げてください。
そのために必要なことはどうもこういうことではないかと次のように考えています。
「依頼」の心根を捨てるよう努力する。つまり何かや誰かに依りかかったり頼り切ったりしないことです。
その依頼心は対象となる人物や事象を「恐れる」心に繋がります、何かをおそれる心は、「諂(へつら)い」の心を必ず生じさせるようになります。
つまり、依頼、恐れ、諂いは、自分を見失いやすく、責任を他者に転嫁し、自らの価値を貶める負の要因になると思うのです。
しかし、最も恐れるべきは、この三つは、かなり聡明な人でもなかなか気づかない心の隙間に潜んでしまうところにあります。
君が自分をどういう存在にしようと思うか、それが出発点だと思います。仮説を立て定義し実験を繰り返してください。
在るが儘に自信と自負を持って、これからの乾坤を楽しくかつ有意義な地平とできるよう、祈っています。
これを書いていて今気付いたのですが、私も君というライバルが社会に進出してきたことで、「尻に火が付いた」ようです。
ありがとう。
尚、返事はいりません、身体と精神を健康に過ごしてもらうことが、なによりの便りです。
早々。