(gif/original unknown)
この見解を支えるためには、全体と調和できる自律性を、人間は本質として宿していなければならない。そのためには、個人は全体にどのような影響を及ぼすのか、正確に把握できなければならないだろう。
鳥が上空から世界を一望するように、全体における自分の影響をリアルタイムで把握している必要があるわけだ。さもなければ、自分ではよいと思った行動が、意に反して全体の統一を乱してしまう危険もあるだろう。
例えるなら、オーケストラがまとまって演奏できるのは、団員の一人一人が楽譜を持ち、自分はいつどんなメロディを演奏すればいいのか、ちゃんと把握しているからである。つまり曲の全体情報を、団員一人一人が共有しているのだ。
統一的な共同体を築くには、ひとりひとりが全体情報を共有していなければならない。個の中に、全体が内包されていなければならないのだ。
一個の細胞にはその生物の全体情報が含まれている。DNA上の遺伝子である。そのため一個の細胞さえあれば、その生物の全体を複製することができる。それがクローン技術だ。ひとつの細胞は全体を内包しているのである。
私たちの本質、すなわち「生命」は、部分であると同時に全体、全体であると同時に部分という、二律背反的で矛盾した、不思議な構造をしているわけである。
-切抜/斎藤啓一「ブーバーに学ぶ」より
この見解を支えるためには、全体と調和できる自律性を、人間は本質として宿していなければならない。そのためには、個人は全体にどのような影響を及ぼすのか、正確に把握できなければならないだろう。
鳥が上空から世界を一望するように、全体における自分の影響をリアルタイムで把握している必要があるわけだ。さもなければ、自分ではよいと思った行動が、意に反して全体の統一を乱してしまう危険もあるだろう。
例えるなら、オーケストラがまとまって演奏できるのは、団員の一人一人が楽譜を持ち、自分はいつどんなメロディを演奏すればいいのか、ちゃんと把握しているからである。つまり曲の全体情報を、団員一人一人が共有しているのだ。
統一的な共同体を築くには、ひとりひとりが全体情報を共有していなければならない。個の中に、全体が内包されていなければならないのだ。
一個の細胞にはその生物の全体情報が含まれている。DNA上の遺伝子である。そのため一個の細胞さえあれば、その生物の全体を複製することができる。それがクローン技術だ。ひとつの細胞は全体を内包しているのである。
私たちの本質、すなわち「生命」は、部分であると同時に全体、全体であると同時に部分という、二律背反的で矛盾した、不思議な構造をしているわけである。
-切抜/斎藤啓一「ブーバーに学ぶ」より