南無煩悩大菩薩

今日是好日也

いいえ、ちがう。

2020-06-04 | 世界の写窓から
(photo/source)

「長い旅をしていた鴉は喉がカラカラカラスであった。

そんな時、一つの水差しを見つけ、水が飲めると喜んで飛んで行った。その水差しには、ほんの少ししか水が入っておらず、どうしても嘴が水面には届かなかった。

カラスは途方に暮れたものの、あらゆる手段を講じて水を飲もうとしたが、その努力もみな徒労に終わった。

まだ諦めきれないカラスは、集められるだけの石を集めると、一つ一つ嘴で水差しの中へ落としていく。すると中の水はどんどん嵩を増して、ついに嘴のところまで届いた。

こうしてカラスは喉を潤し、また旅に出るのだった」。

-イソップ物語

カラスは流体力学を理解していると言える。

にも関わらず、人間は、ヒト以外の知能に偏見を持っている。だから自分の枠を超えた知能を理解できない。

蛸の神経細胞はおよそ半分が八本の腕にある。神経細胞が腕に分散しているのだから、知能が分散している。「あなたの腕は、ちぎれてから、光を感じ、数時間は這いずり回り、何かを掴んだりできますか?」

カナダホシガラスは、木の実5,000粒の隠し場所を9か月間忘れない空間記憶という知能を持っている。

生後すぐの段階で一番頭のいい動物は鶏かもしれない。ニワトリは認知や行動を調べる幾つものテストで、犬より、さらに人間の幼児よりも成績がいいことが分かっている。ヒヨコはと言うと、卵からかえって数日で、数の違いだけでなく、足し算や引き算までやってのけることがわかってきた。

理論物理学者のヴぇルナー・ハイゼンベルクは、かってこう言った。

「私たちが観察しているのは自然そのものではない。私たちが問いかける方法に合わせて自然を見ているのだ」。

人間の偏見を考慮するにつれて、私たちはもっと創意に満ちた質問をするようになった。そうすることで、色々な種類の、想像もつかないような、すばらしい知能が明らかになっている。

そしてついに、「人間は唯一の知的生命体なのか?」という問いに応えようとしている。答えは、これまでになく明らかだ。

「いいえ、ちがう」。

-引用/ベリンダ・レシオ「INSIDE ANIMAL HEARTS AND MINDS」
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