バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

ノストラダムスの大予言を育てた時代

2008-05-15 07:05:08 | バネ
 「先生、今日8時に地震来るんですよねー。」
 中3が教室にこういいながらガヤガヤと入ってきた。朝から学校でこの話で持ちきりで、話しているうち不安が募り、もうどうしていいかわからない状況なのだという。最近の茨城の地震や中国の地震、そして子供ながらに感じている食料問題、環境問題。社会不安だけでなく、今の生活への不満。これらのストレスが積もって生まれたデマだな、と思う。
 「今死ぬんだったら、もっと好きなことしておきたーい。」と退廃的な発言が繰り返される。
 「何バカなこと言ってるの。さぁ授業始めるよ」と言おうと思ったが、不安そうな顔を見ているうち、ノストラダムスの大予言騒動を思い出してしまった。
 中学生の時ノストラダムスの大予言のことを知り、学校で大騒ぎになった。親や先生に真剣に語っても相手にされなかった。担任通信に不安を書くと、「何バカなこと言ってんだ。そんな時間があるなら勉強しろ!」と一蹴され、「大人には何言ってもムダ」と心に刻んだ。
 それから数十年経ち、大予言の日がやってくる頃には、予言を軽く流す大人になっていた。

 「先生がもし中学生の時、どうせ死ぬんだから勉強なんてやめちゃえ!という気持ちのまま楽に生きていたら今どうなっていたと思う?」 
 さらに続けて、阪神大震災の5年も前に書かれた「ぼくのじしんえにっき」の話を取り上げ、災害への備えの大切さと、ピンチの時にパニックになってはいけないこと等を話すと皆落ち着いてきた。
 やっと勉強にはいるかという頃に、数名が遅れて入ってきた。
 またこの子たちも地震の不安を口にして、最初からやり直しかと思いきや、
 いきなり「今日テストですよね」と学校で流布していたデマは全く眼中にない様子だった。
 最初から教室にいた集団が「あー、いい話聞いたー」とふっても、遅れてきた組はその言葉にものってこない。とにかく遅れた分、すぐ集中したい様子だった。
 
 「備えあれば憂いなし」
 いざというときの準備だけはしっかりしておこうと思いながら、日々が過ぎていく。