バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

みどりの窓口

2008-08-14 16:22:20 | ライフスタイル
 JRのチケットをちょっと大量に買う。
 いつもならえきねっとで申し込んで券売機で発券するところだけど、これだと発券済みのものを変更する際結構面倒なことと、全員分がカート決済になることから、合宿をのぞきに行ったついでにJRの窓口で買うことにした。ビュープラザなら、結構細かい要求にこたえてくれるし、涼しいところで椅子にかけて待っていられる。行き当たりばったり行った合宿会場の近くのJRの駅はこぢんまりしていた。ビュープラザなんかない。多少道が混んでも上尾か大宮あたりまで行けば良かったかなと思いながら、昔ながらの、たった一つの窓口で買うことにした。
 結構複雑な組み合わせ。往復、片道、乗車券区間、学割、一般、のりつぎ。条件ごとにそれぞれに用紙に記入していると、窓口には仕事を待ちかまえているおじさん2名。書き終えると、さぁ仕事だと身を乗り出してきたが、学割の用紙を出した時点で二人でザワザワしだした。これは面倒だという空気がおじさん達に漂った。
 申込み内容の確認を一度もとることなく、指定席発券操作に入った。ビュープラザなら「お客様○○まで何名様ですね。」などと確認してくれる。これだからみどりの窓口は避けたかった。アバウトな記入では安心して買うことができないことになる。
 おじさんはぎこちなさそうに端末を一つ一つ押しつけるようにキー操作している。本来一人でチャッチャとやるようなことを、二人でポツポツとキー押しながら、イソイソと働いている。大丈夫かな。間違わないかな。待っている間に、ざっと金額を暗算しておく。「席ないねー。この時間じゃなきゃだめ?だめなんでしょ?」と一方的に、独り言のようにキーおじさんが言う。家で空席確認してあるから、席ないってことないはずなんだけど、「席離れてもいいですから」と変更には屈せず。
 窓口の中は涼しいのでしょう。小窓からひんやりした風が吹いてくるけど、外は暑いのなんの。改札通路に蝉がいて、ジリジリ鳴くから一層暑い。そうこうしている間にも何本か列車が到着し、ザワザワと乗客が降り、そしてまたしばらく誰もいなくなり、そんなことを繰り返して、ようやく行きのチケットが発券できた様子。さりげなく時計を見るとゆうに30分は過ぎていた。まだまだこの倍以上の作業がある。車を駐車場に入れておいて良かったと思う。
 その時ふっと足下にゴキブリがいるのに気がついた。もそもそ動いている。暑さで方向を見失ったのか、こちらの足下に少しずつ近づいてくる。まわりを見回すと誰もいない。相変わらず窓口の中の大変そうなおじさん二人と、足下にゴキブリを置いている私だけ。騒ぐ気にはなれず、足を動かしながら近くに来ないように追い払っていると、「そこ蚊いるんだよね。暑くてすみませんね。」キーおじさんが、チケットをさばきながら気遣いの言葉をかけてきた。蚊でなくてゴキブリなんだけどとは言わず、ゆったりした気持ちで待つことにした。
 ようやく後半の作業の終わりが見えた頃、後ろに人が並び始めた。最後に全てのチケットの確認を一緒にすることになった。手早くチャカチャカやられるとこの場合困ってしまうが、ゆっくり丁寧に互いに確認しあえたので非常に安心した。後ろで待っている人のことが気がかりで気がそぞろになるが、おじさんは最後まで丁寧だった。チケットの仕分けや領収書の手配まで手を抜かず、全ての作業を終えたとき、何やら共に達成感を味わった。「暑い中、長い間すみませんでした」と、当たり前かもしれないけど、若いお兄ちゃんなら言ったかなー。
 次のお客さんは、「大宮から那須塩原までの指定を」というと端末をさっと操作したおじさんは「満席ですね」。さっきまでとは別人のように反応が早い。きっとなれている区間なんでしょう。
 あー、楽しかった。