”働き方改革関連法(※1)”の第36条において設けられた、時間外労働の上限規制(※2)によって、2024年4月以降の物流業界に想定される諸問題、具体的にはトラックドライバーの時間外労働の制約に起因する諸問題を指しているようです。
※1 正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と呼ばれ、我が国が直面する少子高齢化や多様なニーズへの対応といった課題の解決に向け、働く人のこれからを考えて作られた法律です。単純には「改正労働基準法」などとも呼ばれています。https://www.mhlw.go.jp/content/000611834.pdfの資料を参照。
※2 改正された労働基準法の第36条の中では、時間外労働時間は、原則として「45時間/月・360時間/年」まで、臨時の負荷増など特別な事情への対応として労使間で合意がされた場合でも「720時間/年」まで(注:改正前は上限規制なし)とされ、2019年4月より大企業を対象に施行され、翌2020年4月より中小企業も施行の対象に含まれました。が、その時、施行が猶予・適用が除外となった事業・業務も存在し、自動車運転業務、建設事業、医師、鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業のそれぞれが2024年4月まで施行が猶予され、研究開発業務は適用除外とされました。即ち、物流に関連するトラックドライバー業務(自動車運転業務)に対しては、2024年4月から施行されることになりますが、この業務の上限は特別に『960時間/年』とされ、上記の「720時間/年」とするかどうかは検討継続扱いとなっています。
物流業界におけるトラックドライバーの現状は、全産業における平均値と比べて、年齢が高く、実労働時間が長く、給与が低い傾向となっています(厚労省資料)。こうしたことから希望者が限られ少子高齢化も進みつつあることからドライバーの今後の不足が予測されており、拡大しつつある需要とのアンバランスが深刻化しています。
以上のような状況から、トラックドライバー(大型、中小型とも)の時間外労働の上限は2024年4月より960時間/年まで(注:場合によっては他の業務と同様の720時間/年まで)となり、ドライバーの中には現状の労働時間を減らさざるを得ないケースも出てくるため、現状の売り上げや給与の減少など負の影響を引き起こす要因ともなり得そうで、ドライバー自身や当該企業の経営者などにとっての問題が浮上する可能性が想定されています。そうならないような対策が必要となりますが、このピンチをチャンスに変えられるか、今後2、3年の動向が注目されます。
物流の2024年問題に関する説明動画として、例えば、以下のようなものが公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=W4WE2rJfF4o(いすゞ首都圏ちゃんねる【公式】)
https://www.youtube.com/watch?v=tUpp-eDuNwY(赤峰誠司の物流魂【船井総研ロジ株式会社】)