ECの急拡大を背景に「物流テック(※)」関連のサービスに投資を行う新興企業が米国において注目されているようです。
※ 「物流」と「テクノロジー」を組み合わせた言葉で、物流×ITの分野で活躍する新興企業や物流プラットフォーム運営企業などから生まれた新しい物流サービスを意味しています。
以下のような企業です。
■「Shipium」(注:2019年ワシントン州シアトルで操業、https://www.shipium.com/)
・ネット販売業者向けに”フルフィルメントSaaS(即ち、フルフィルメントマネジメントプラットフォーム)”を提供。EC業者側は、このプラットフォームの利用により、ネット通販の一連業務の管理とともにアマゾン並みの商品配送が可能になるとのことです。
・資金は「Insight Partners(注:ニューヨーク市に拠点をおくVC)」などから調達
■「STORD」(注:2015年ジョージア州アトランタで創業、https://www.stord.com/)
・顧客企業向けの”オンデマンド倉庫(即ち、バーチャルな物流センター機能)”を提供。倉庫業者や配送業者と提携することで倉庫を所有していない顧客に仮想的な物流センター機能を提供しているようです。
・資金は「Kleiner Perkins(注:カリフォルニア州メンローパークに本部を置くVC)」などから調達
■「Flock Freight」(注:2015年にカリフォルニア州サンディエゴで操業、https://www.flockfreight.com/)
・AI活用の”トラック荷台シェアリング”のプラットフォームを開発し配送を最適化。トラックの積み荷スペース(荷台)をシェアするための独自アルゴリズムを使用することで、積載率向上、輸送コストやCO2排出量の削減が可能とのことです。
・資金は「Softbank Vision Fund(注:SBグループの超巨大ファンド)」「GV(注:Googleが単独出資するVC)」などから調達
■「Idelic」(注:2016年にペンシルベニア州ピッツバーグで創業、https://idelic.com/)
・AI活用の”ドライバー管理SaaS(即ち、機械学習を使ってドライバーの車両走行ログを分析・スコア化するプラットフォーム)”を提供。このプラットフォームを使用することにより、ドライバーの安全性の向上、離職率や保険費用の削減が可能とのことです。
・資金は「Highland Capital Partners(注:ボストン、シリコン バレー、サンフランシスコにオフィスを持つグローバルVC)」などから調達
我が国でも、2010年代に入って、モバイル端末やIoT等のIT・ICTの進歩(シーズ)や人手不足への対応やシェアリングによる配送効率・保管スペース効率向上の必要性(ニーズ)を背景に、物流サービスに関する需給マッチングシステムを手掛ける新興企業が登場し積極的な取り組みを展開しています。参考記事として以下のようなものがあります。
”物流における需給マッチング支援システムの進展の状況と今後”、物流問題研究,No.69,pp.99-109, 2020年11月、https://cir.nii.ac.jp/crid/1050292706282681600