Chief AI Officer(最高AI責任者)の略です。AI(人工知能)技術の急速な進展や企業活動への浸透を背景に、企業のAI戦略を統括し、AI技術をビジネスに効果的に組み込む責任を負った専門家のことです。
この役職は、AI技術の急速な進展と普及、ビジネスにおける重要性の拡大、AIに関連する倫理的・法的課題等が顕在化してきた2010年代後半~2020年代においてその必要性が認知され、多くの企業で導入されるようになったようです(※1)。
例えば、「博報堂DYホールディングス」では、2024年4月1日に、人間中心のアプローチによるAI研究所"Human-Centered AI Institute"が設立され、森正弥氏がCAIOに就任しています(※2)。また、「電通デジタル」では、2025年1月1日にCAIOが新設され、山本覚氏が就任しています(※3)。初めて導入された企業がどこで、それがいつかといった情報は現状で明らかになっていないようです。
一般に、以下のような使命を負っているようです。
【AI戦略の策定と実行】
・企業のビジネス目標に対応して、AI技術の導入計画を立て、その実行を指揮します。
・AIを活用し、業務効率化、顧客体験の向上、新規事業の創出などを推進します。
【AI技術の選定と導入】
・最新のAI技術を評価し、企業にとって最適なものを選定します。
・AIシステムの開発、導入、運用を監督し、その効果を最大にします。
【AI倫理とリスク管理】
・AI技術の利用における倫理的問題を考慮し、適切なガイドラインを策定します。
・AIシステムの安全性や信頼性を確保するためのリスク管理を徹底します。
【組織内でのAI活用促進】
・社員のAIリテラシーを高め、AI技術の活用を促進します。
・部門間の連携を強化し、AIプロジェクトを円滑に進めます。
【AIに関する最新情報の収集と発信】
・AI技術の最新動向を把握するとともに、その情報を組織内に提供します。
AI技術の急速な進展と社会への浸透に伴い、CAIOの役割は今後ますます重要になっていくと考えられています。
※1 日経関連新聞に登場した記事件数は、3件(2019年)、0件(2020年)、4件(2021年)、4件(2022年)、3件(2023年)、16件(2024年)、3件(2025年2月まで)となっています。
※2 該当するdコーポレートニュース(2024.2.19)のWebページは、https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2024/02/4668.htmlです。
※3 該当するニュースリリース(2024.12.19)のWebページは、https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/management/2024-1219-000192です。