毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

南昌市民は大阪人? 〈その1〉   2010/11/09  No.9

2010-11-09 16:50:41 | 中国事情
 南昌に来て早2ヶ月半。スーパーでもあまりキョロキョロばかりしなくなった。信号無しの交差点も今は悠々と渡れる。こういうのを「慣れてきた」と言うんだなと感じる今日この頃。人々の表情をも少しだけ余裕を持って見ることができるようになった。すると、(なんか、この人どっかで見たことがあるような…)といった場面が結構あることに気がついた。
 そうなんですね~。ここ南昌の人たちは、私の日本での居住地である大阪の人たちと、する事なす事かなり重なるんです。

 代表選手は「ミズ・劉」だ。彼女は私の宿舎の管理人。年の頃50~60歳。大体私と同じくらいだと思う。
先日、彼女はベランダの防風カバー取り付け工事が上手くいっているか、外国人教師たちの部屋をあちこち見て回った際、私の部屋にも立ち寄った。
 私は中国語がほぼ分からない。しかし、せっかく来てくれたのだから何か話さなければ、とあせって「私、好きです。これ。」と防風カバーを指さし、後は何故か英語で「何故ならば今まで毎日、土埃が入って嫌だったから~。」と続けた。
 彼女は英語が分からない。しかし、鷹揚に(分かる、分かる)とうなずき、興味深そうに台所をのぞき込んで「ご飯食べた?」と聞いた。彼女が来る少し前にレーズン食パンを焼きもせず、そのままムシャムシャと食べていたので「食べた。」と短く答えた。(技術上長くは話せないからだ。)
 これだけでも私にしてみれば、一生懸命の中国語会話だ。それで帰ってくれるかと思いきや、さらに「何を食べたの?」と聞くではないか。そんなに親しい間柄ではない。それでも、ミズ・劉が台所をキョロキョロのぞいたり、私に何を食べたか尋ねたりすることは、全く嫌ではなかった。
 実は、それは私を含め「大阪のおばちゃん」と呼ばれる人たちの行動様式とほぼ同じで、私にとっては、まさに慣れ親しんだご近所さんのように感じられたのだ。

 数日前、私が近所のスーパーで防寒長靴を買い、帰ってきたら、彼女は管理人室前で仕事をしていたが、手を休めて、「どれどれ、どこで買ったの?南昌市内?あら、そこのスーパー?靴の中はどうなっているの?ふむ、温かいわ。良い買い物したわね~。」みたいなことを言って長靴の中に手を突っ込んで確認までした。おもしろかった。
 中国語が分からない私に対して、彼女は諦めずに中国語オンリーで話しかけてくる。私が部屋のいろいろなトラブルを訴えて行ったときも、「『ミズ・劉、我有問題。』はい、言ってごらん。」と中国語の指導をしてくれた。ここに住んでいるのは私以外、全部英語圏の人々だが、彼女の態度は全く変わらない。
 言葉もめちゃくちゃな外国人教師達のワーワー言う訴えに、「没問題、没問題。」と流しつつもチャッチャと動き、この宿舎3棟を背負って立つ彼女の姿は、喋くりながら陽気に頑張る大阪のおばちゃんそのものだ。と言うか、世界中のおばちゃんはきっと皆同じなんだ。 
コメント
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