毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

やがて哀しきプリンター 2010/11/28  No.17

2010-11-28 20:49:17 | 中国事情
 南昌に来る前、大学のシンペイ老師に授業用機器について質問したところ、個人的に使えるのは宿舎の書斎にに備え付けのデスクトップ型パソコンと、テープレコーダー、CDラジカセは日本語学科にあるとのことだった(この間テープレコーダー、CDラジカセは試したが、2台とも壊れていた…。)。
 長年、大阪の公立学校の教員をしていた経験が私に(印刷機とパソコン用プリンターは、職員室に備え付け)という勝手な決めつけをさせていた。しかし、何回かのメールで、①職員室はどこにもない。②印刷はお金を払って自分でする。ということが確認された。その後プリンターは個人用に買ってもらえることになり、約束通り、新学期早々にシンペイ老師が、どこかで買って運んできてくれた。

 日本語学科の教師は中国人4人+日本人1人=総勢5人だ。5人で1部屋使えたら、どんなに便利だろう。その部屋に、資料や各自のデスクを置き、パソコンを置く。プリンターは2台あれば良し。印刷機も1台でいい。こんなことがなぜできないのだろう。中国人老師は「教師はみんな自分の授業が終わったら、さっさと家に帰ってしまうから、そんな部屋は不必要です。」と言う。そしてプリントなど学生にあまり配らず、ひたすらパソコンに打ち込んだ内容をスクリーンに映し出し、学生にノートを取らせるようだ。

 教室はスクリーンの文字を映すため常にカーテンを閉めて、暗い。
初め、真似して私もUSBメモリーに授業内容を入れていき、暗い教室のスクリーン授業をやっていた。自分は常にパソコンのモニターをにらんでいる。これはすぐさま止めた。あほらしい。こんな事をするために中国に来たんじゃない。
私の授業ではカーテンを開けると宣言した。今は明るい教室で、学生の顔を見ながら授業をしている。

プリントについては最初、印刷代がもったいないなどと、けちくさいことを考えたが、そんなことをけちってどうする。日本の学校でも、自腹でいろいろ持ち込んでしていたじゃないか。同じようにやろうと思った。老師は「学生から印刷代を取ってください。」と言うが、学生の実家は農家が半数を占めている。農民は全然金持ちじゃないどころか、中国格差社会で非常に苦しい生活を強いられている。1ヶ月どんなにたくさん印刷したって、200~300元ぐらいだ。ここでは生活費だって安いんだし、今の私には給料から余裕で払える。

 私はほぼ毎日8時半のバスで宿舎前を出発し、約15分で日本語学科のあるキャンパスに到着する。9時前には控え室として使用を許可された1階資料室に荷物(ノートやらで非常に重たい)を置き、取りあえず2階廊下に設置された給湯機から熱湯を汲んできて飲む。一息ついたら、宿舎でプリントアウトしたものを資料室の並びにあるコピー屋さんでクラスの人数分コピーしてもらうことにしている。全く日本語も英語も話さない彼女とは、主に筆談だ。それでも十分仲良くなる。キャンパスのどこかで会うと、必ず「老師~!」と声を掛けてくれる。

 そんな暮らしが板についてきた今日この頃、プリンターのインクが少なくなってきた。そこで、インクカートリッジを交換…、と思うのは日本の常識。ここ中国のプリンターはCANONだが、インク交換方法が日本のキャノンじゃない。初めの備え付けカートリッジの一部にほじくって穴を開け、そこに小さいインクポンプの先を突っ込み、プチュプチュと押してインクを注入するのである。1回目は手が真っ黒になり、あげくに取り出すときにポンプの先が折れて、備え付けカートリッジに入ったまま取れなくなった。
2回目にインクを補充するときは、さらに穴をほじくって拡大し、次のインクポンプの先が入るようにした。大阪から持ってきた軍手をはめて臨んだ。しかし、やりづらかったので、すぐ取った…。 インク補充は上手くいったかに見えたが、印刷にムラができた。めちゃくちゃ苦労してこの態だ。
今は、印刷ムラの部分を手書きで書き足して授業準備をしている。非常にカナシイ。
コメント
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