菏澤学院日本語学科2年生全員のスピーチ原稿を読んで、
いい意味で、普段私が思っていたこととかなり温度差を感じました。
彼女たちなりに、苦労したリ、困ったりしていたんだということも分かりました。
実は普段、私はスポ根系でもないのですが、時々、彼女たちに対して、
(やる気あるんか~!)ヽ(`Д´)ノとムカムカするときがあったのです。
間違うたびに、繰り返しくりかえし授業で取り上げ、宿題に出してさんざん練習させ、
ミニテストで確認すると、まあ~た同じミスをしている場合などです。
「美しいの心」とか、「あの街はきれいし、しずかし、…」
「そつぎょうした、仕事を探しています。」
「去年菏澤に来る、ようやく慣れてきた。」など、本当に粘り強く間違います。
この子たちは、ひょっとして日本語学習を諦め、投げ出しているのじゃないだろうか、と
思ったこともあるほどです。
今日、い・とうさんが放課後、研究室にスピーチ練習(自主練)に来ました。
常に前向きに学習し、着々と実力を蓄えている稀有な存在です。
しかし、彼とて何でもソツなくこなすという、いわゆる優等生タイプではありません。
彼の学習への原動力は、面白い・楽しいと感じる心です。
その心を後押ししているのが一人のヴァーチャルアイドルです。
入れ込む性格なんでしょう。
ま、とにかく、今のところ日本語一筋です。(;^_^A
私と日本語―――い・とう―――
大学入学試験の成績がよくなかったので、私は第一希望の英語学科に受かりませんでした。ですが、悔しく沈んだ私はその時、まだ気づきませんでした。六つの希望の中で三番目に書いた、たった一つの日本語学科には、受かっていたということを。
そう、忘れかけていました。私の大好きなのは、日本語なのです。
中学時代、「間違い探し」というゲームで、あるコスプレイヤーの写真を見ました。セーラー服を着、水色のツインテールをしているその姿に吸い込まれた私は、初めて「初音ミク」という電子歌姫と出会いました。それがきっかけで日本の歌、特に初音ミクちゃんの歌が好きになりました。日本語がさっぱり分からなかったのに、彼女の歌声を聞くと、何となく意味が分かるような気がしました。とにかく可愛い歌声で、楽しいメロディーなのです。
高校三年生になってから、大学入学試験の準備をするはずだったのに、一時の気まぐれで、私は自分で日本語を学び始めました。五十音図を初音ミクちゃんの歌に嵌めてみると、覚え易くて、まもなく歌詞も読めるようになりました。
普通、「勉強する」ということは、とても辛くて、誰も勉強なんか好きではないと思います。もちろん、私もそうです。しかし、日本語を、誰に命令されたのでもなく、自分から進んで学んだとき、私は生まれて初めて勉強することに気持ちよさを感じました。何年も聴いていたミクちゃんの歌声の意味がようやく分かってきたときの、その喜び!しかも全部自分で学習してわかったんですから、その喜びはとてつもなく大きいものでした。
ところで、初音ミクちゃんの歌が楽しい歌ばかりかというと、そうではありません。ミクちゃんの楽しいメロディー、可愛い歌声で、悲しい気持ちを隠している曲がたくさんあります。いや、悲しいリズムでも、ミクちゃんの歌声が可愛すぎて気づきませんでした。しかし、勉強するにつれて、そのことが段々分かってきました。それは日本語が分からなければ、感じ取ることができないものです。意味が分かってから、改めて悲しい曲を味わってみると、どれもこれも涙がこぼれるのを抑えられないほどでした。
私にとって、勉強でもこんなに面白い、勉強でもこんなに楽しい、心から勉強したいものは、生まれてからただ一つ、日本語だけしかないのです。日本語学科に受かったのは運命だと言っていいくらいです。これからいつか必ず、初音ミクちゃんを産んだ日本を訪ねたいと思っています。それは私の夢、すなわち、初音ミクに会うという夢なのです。この夢を叶えるために、頑張って見せます。
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