毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「過労死者を出し続ける日本社会」No.1834

2016-12-25 14:39:15 | 日本事情

ちょうど一年前のクリスマスの今日、入社して9か月の「電通」社員が自殺しました。

月に100時間を超える残業(10月は130時間の残業)を続け、

「死んだ方がよっぽど幸せ」と追い詰められて死んでしまった、

たった24歳の若い女性、高橋まつりさんのことは今でも話題に上っています。

「深夜労働が東京の夜景を作っている」

まつりさんはお母さんに言っていたそうですが、

「電通」は、今年9月にまつりさんの労災が認定された後でようやく、

夜10時以降は消灯するよう指示したそうです。

つまり、「電通」は昨年末から今年9月まで、

まつりさんを死に追いやった労働環境を反省もせず、そのままにしていたのですね。

「電通」ではまつりさん以前にも過労自殺をした社員がいたそうですが、

彼女のSNSでの叫びが全国に公表され、ここまで社会問題化されなかったら、

きっとまだこれから何人もの死者を出し続けていたことでしょう。

 

労働組合が健在だったら、こんなことはさせなかっただろうにと思い、

調べて見たら、「電通」にも労組はあることはあるようです。

しかし、その労組からして残業70時間を超えてはいけないという就業規則に合わせて、

嘘の数字を書くことをまつりさんに指示し、

彼女の残業時間は実際には100時間を超えても、

記録には「69.5時間」、「69.9時間」などの数字が残されていたそうです。

 

しかし、これは特殊、「電通」という会社だけの問題ではないですよね。

日本語の「過労死」は1980年代に生まれた言葉だそうですが(それまでは「突然死」)、

その時代は日本の会社から労働者のための労働組合が消え細っていった時代でした。

企業は働く者の命など、二の次、三の次で、とにかく利益さえ得たらいいので、

基本的に、働く者たちは身を守るために自衛しなければなりません。

ヨーロッパでは労働組合はとても元気だと聞きます。

例えば、「ストライキ・ヨーロッパ」で検索すると、次のような記事が普通に見られます。

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2016年5月23日 - フランス、パリではストライキやデモが本当に多いです。 しれっと地下鉄が停車予定駅に 止まらなかったり、エールフランスが飛ばなかったりします。ヴェルサイユ宮殿や ルーブル美術館だってしまります。gathery.recruit-lifestyle.co.jp > 

5月は何かとストの多い月でした。労働法改正に反対する抗議のストは、公務員スト、学校給食のスト、交通機関のスト、ガソリンストライキ、と枚挙にいとまがありません。リヨン郊外のヴィルユルバン(Villeurbanne) 市の公立学校では、3月22日から始まった学校給食のストが結局夏休みに入るまで続く見通しとなりました。http://www.ningenclub.jp/blog01/archives/2016/06/post_2362.html

「ユーロ危機」が深刻化するなかで、2014年後半期、ヨーロッパ各地でストライキ、デモが激発している。ドイツ鉄道労組の数次のスト、ルフトハンザ、エールフランスなどの航空労働者のスト、イギリス公共サービス労働者のゼネスト、そしてイタリア労働者の継続中のストライキ行動などが、それを戦闘的に代表する闘いである。http://www.zenshin.org/zh/ilm/2015/01/i04600303.html 投稿日: 2015年1月 1日
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「人は、自分や家族の幸せのために、働いているのだと思います。
仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません。」

かけがえのない我が子に、こんな形で先立たれた高橋まつりさんのお母さんが、

今日発表された手記の中で述べている言葉の重みを噛みしめたいものです。
 
日本社会の中には、
 
「会社がつぶれたらどうするんだ。労働条件なんて甘いこと言っている場合じゃない。」
 
と、企業側の主張を鵜呑みにしている人も大勢います。

しかし、十分すぎるほど潤っているはずの大企業で、

多くの過労死者が出ているのです。

「電通」に至っては単体では世界最大の広告代理店だというじゃないですか。

「滅私奉公」、「会社に尽くすのが第一で、個人の生活は後回し」、

「100時間程度の残業で死ぬのは弱すぎる」、e.t.c.……。

「軍隊」発想を止めましょう。自分が殺される前に。

自分で巨大な会社組織と張り合えない時、組合が力を発揮する。

そんな組合は、たとえ会社の中になくても、探せばいろいろ見つかるはずです。

かつて、基幹労組と言えば、正社員だけのものだったという印象がありますが、

全労働者の中に占める非正規労働者(パート、アルバイト、派遣など)の割合が

35.5%という現在、非正規労働者の安定雇用・権利を守る労組の存在は不可欠です。

個人で入れる地域ユニオン、インターネット労働組合などもあるようです。

普通の庶民が、贅沢しなくてもいいから安心して暮らせる労働環境を作るには、

企業の自浄作用に期待しても絶対無理ですし、
 
今の政府は大企業の、大企業による、大企業のための政府ですから、
 
やはり労働組合が必要だと私は思います。

留学生たちは、朝、通勤電車の中で見る日本人の姿が哀れでならないと言います。

「真面目なのはいいけど、何のために働くのか、よくよく考えて、

自分のプライベートライフをもっと大切にしたらいいのに」と。

最後に、高橋まつりさんのお母さんの言葉を。

「日本の働く人 全ての人の 意識が 変わって欲しいと思います。」
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「過労自殺した高橋まつりさんの母親の手記 全文」12月25日 10時34分NHK・NEWS・WEB

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161225/k10010819041000.html?utm_int=detail_contents_news-related-manual_001

 
 
 
 

 








 
 



 

 

 

 

 

 

 

コメント (5)
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