毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「中国にもネット『愛国』居るには居るけど」No.1848

2017-01-07 14:40:48 | 中国事情

創作された「日本スゴイ」番組がテレビ業界を席巻している日本では、

「日本は他の国より優れている」という優性思想、差別・排外思想を巻き散らかし、

ネット「愛国」=ネトウヨが我が意を得たりと書き込みに精を出しています。

 

そんな日本の状況を見るにつけ、思い出すのは6年前、

私が初めて中国の大学で働き始めたとき、

中国の大学生の間にも多くの「中国スゴイ」の声があったことです。

(もちろん、割合から言えば少数派でしたが)。

「日本と中国はアジアの大国です」と、

他の国に何の配慮もせずに「大国」を堂々と使ったり、

「日本の漢字は中国から伝わった。

明治時代に中国が日本から新漢語を逆輸入したと言うが、

その語を構成している文字は中国のものだ」と書いたりする学生の作文を見て、

「他国民がこれを読んだら、きっと嫌な気持ちがすると思います。」とか、

「韓国でも、『全てのルーツは韓国にある』と言う人いますよね。それと同じでは?」とか、

ひとことを添えたものですが、

なぜ、学生たちが平気でこんなことを書いていたかと言うと、

周りが(もちろん学校の先生も)みんなそう言っていたからです。

国民コントロール教育も大いに影響していたのでしょう。


今でも、ちらちらとそうした中華中心主義の声が聞かれることがあります。

あるブログで見たのですが、

この間のクリスマス「圣诞节」にも、

「中国人は列強から侵略を受けた屈辱を乗り越え、西洋崇拝から抜け出さなくてはならない」

「グローバル時代の文化侵略から、中華の伝統文化を守らなくてはならない」

「社会主義国として、資本主義のこれ以上の浸透を防がなくてはならない」

といったネットの書き込みがあったそうです。

「愛国」者として中国政府の言いたいことを代弁しているという感じですね。


しかし、こからが今の日本と違って、

中国では、このネット「愛国」への批判が半端じゃないそうなんです。

日本では政府批判をすると、ネトウヨからの攻撃が半端じゃないんですけどね。

6年前には自国政府の言うことを鵜呑みにして、

中華中心主義を声高に言う人たちが多数を占めていた気がする中国ですが、

今、中国人民は若者を筆頭に明らかに変化しています。

中国以外の世界が視野に入って来た感じですね。


私のエージェントの報告によると(笑)、

菏澤学院にも「愛国者」はどこかには居るそうですが、

私は「愛国」的発言をする日本語学科の学生を一人として知りません。

「北京はどう?クリスマスをボイコットしようとか言う声を聞いた?」

と北京市内の大学院生、周ぶんいくさんに聞いてみたところ、

下のような面白い返事が来ましたよ。

―――――――――――――――

         カザフスタンのクリスマスボイコット・ポスター(周文毓さん提供)

「クリスマスをボイコットする現象」はあるのかな。

私は北京に居てもちっともそんな気配を感じませんでした。

周囲の人達に聞いてみてもみんな気づきませんでした。

今年のクリスマスはちょうど卒論テーマ発表の寸前(テーマ発表は12月27日)で、

ひょっとするとみんな忙しくて注意を払わなかったのかな?

だからネットで調べてみました。

まずは「圣诞节(クリスマス)」をキーワードで入力してみましたが、

何の「ボイコット」に関するニュースも出てきませんでした。

そこで、「抵制圣诞节(クリスマスボイコット)」をキーワードで調べてみました。

すると、「クリスマスをボイコットする」ニュースより、

むしろこの行為を批判する言論が圧倒的に多かったです。

「聖誕節に抵抗する?バカか、頭に水が入ってるのかな。」

「聖誕節に抵抗する?

いいぞ、じゃ、西暦にも抵抗しよう、キリスト教文化の一部分だから。

では元旦節も抵抗しよう。

一週間七日も抵抗しよう。つまり週末も抵抗しよう…。

ちなみに今みんなが着ている服装も西洋から伝わって来たので、

脱いて裸で走り回ろう!」

こういう言論を見て思わず噴き出しました。

もっと調べてみれば、「クリスマスをボイコット」する行為は中国だけではなく、

カザフスタンなどのムスリム国はむしろ勝るとも劣らないのです。

実は、西洋の記念日を排斥することはニュースというほどのことでもありません。

毎年西洋の記念日になると、

必ずそれについてのニュースや偽ニュース、言論などが出てきます。

私からみれば、どんな時代、どんな国にも必ず、

強い民族感情を持つ、過激な人達が存在します。

この人達は実は本当に国を愛しているとは限りません。

大部分は常に自分の生活に強い不満を持っていて、

何につけても批判したい、狭くてしかも暇で、

ただチャンスを見つけて自分の不満をぶちまけたいだけです。

特にネットだけで不満をぶちまける人は中国語で「键盘党」と呼ばれます。

無知で無能でネットでしか不満をぶちまけるところはありません。

こういう人たちの声は大部分の普通の中国人の声を代表していません。

西洋の記念日はただ彼らが排斥するいろんな物事の中の極一部分です。

(中略)では、今日はこの辺で、先生、またね🙋!

写真:カザフスタンのクリスマスボイコットポスター。面白いので添付します。

――――――――――――――――――――――――――― 

 

日本の現状への危機感、ビクビク感が根底にあるからこそ

「日本は他の国より優れている」と声高に威張り、排外主義を煽るのだとは

多くの人たちの指摘する通りです。

ネットに氾濫する、他国・他民族を日本・日本人より低いものとして見下げる発言も、

心に不安感、自信の無さを抱えている人たちの仕業でしょう。

そして、この風潮を意図的に利用して権力の座に居座っているのが

現政権であるのは言うまでもありません。

少し前、中国社会もそうでした。

しかし、周ぶんいくさんの文にあるように、

中国の人たちの多くは、もはや「井の中の蛙」ではありません。

政府の所業を実に冷静に見ている様子です。

日本は、日本人はどうでしょう?

 

 


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