7月7日(木)… 九寨溝巡り
朝、ユースホステルで饅頭1個の朝食をとり、残りの饅頭とゆで卵は昼食用に持って九寨溝周遊バスターミナルへ出発した。
好天だ。三人とも、(このためにはるばる南昌から来たのだ)という思いがあり、天に感謝した。気温は成都や、まして南昌と比べたらとても涼しい。成都では要らなかったジャケットが役に立つ。
廬山でも九寨溝でも、その広いエリアに立ち入るときに入場料を払う。日本では一般的に特別な施設のみが有料だった経験がある。知床半島は世界自然遺産に登録されてから行ったことがないが、ひょっとしてこんな風に変わっているのだろうか。
310元で入場チケットを買い、8時前に周遊バスで出発した。
バス乗り場へのゲートには、英語や中国語で『Please…』『請…』から始まる表記で丁寧に「並んでください。」みたいなことを書いてあるのに、何故か日本語だけ「並びなさい。」と高飛車だった。きっと日本語学科の卒業生が書いたのだろうが、これから先々の注意標識にも珍妙な表記があり、(世界の人々が訪れる場所なのに、こんなところで日本語のレベルの低さを露呈して…。)と残念だった。日本語教師の性か。
九寨溝はY字型にコースがあり、バスはまずYの右側奥へと私たちを運んだ。
バスガイドさんの言葉を通訳して、陳さんが一生懸命説明してくれる。九寨溝という名前の由来、1992年に世界自然遺産に指定されたこと、十個の湖は「海子」と呼ばれる。この地域に住む人々は海に憧れていたが実際に見ることも叶わず、せめてこれらの美しい湖を「海子」と名づけたこと、湖にたくさん生えている葦は高原であるために背が高くならないこと、途中の豪快な滝(幅360m、高さ20m)は、テレビドラマ「西遊記」の初回撮影場所として使われたこと、e.t.c.
一番奥の原始森林から散策スタート。
でもその前に、チベット族の30代ぐらいの男性が木製通路の一角で大中小のストール、マフラーなどを並べ出したのが目に入った。午前8時過ぎの九寨溝はジャケットを着ていても寒い。岡田Tは唇が紫色になっている。私は冬の寒い南昌の宿舎でも使えるからと、躊躇せず温かい毛の大判ストールを買った。60元。陳さんが値引き交渉をしてくれたが、頑としてまけない。続々とお客さんが来るからだ。この日はこのストール売りの男性にとってもありがたい天気だったはずだ。
さあ、今度こそスタートだ!
見ると、陳さんは文字通り小躍りしている。スキップ、スキップ、らんらんらん。
「陳さん、子どもだねえ~。」
と笑っても、
「嬉しいですから!」
とニコニコ笑顔が返ってくる。今回の旅行のメインの日であることは確かだ。
九寨溝の自然については、言葉で表したくない。と言うか、表せるはずがない。『もののけ姫』の山の奥のそのまた奥はこんなだったんだろうか。私のような底の浅い人間にもその姿を見せてくれたことに、手を合わすしかない。(ちょっとだけお邪魔します。ありがとうございます。)と。
ブログの写真の多くは陳さんが撮ったものだ。こうして宿舎で見ると(凄いところへ行ってきたんだなあ)と感慨が湧く。連れて行ってくれた陳さんにも、ありがとう、だ。
文頭の写真は五花海だったと思う。眼前にこの湖が現れた時、この世のものとは思えない景色にただ立ち尽くすだけだった。ふと陳さんを見ると、涙ぐんでいる。私もなんだか泣きたくなった…。
そうはいっても、訪れた人間たちがみな同じ思いではなかったようだ。
コースから外れて森に入り込み、キノコを採取している母子、湖の魚になんとお菓子を投げ与えているグループ、揚句にペットボトルを川に投げ込んだ若い女の子もいた。陳さんは、
「中国人として、こんな恥ずかしいことはありません。中国はまだまだです。マナーが全然だめです。」
と悔しがった。私とて、中国人ではないが人間として許しがたい。深々たる湖でひっそり生きてきた魚たちが、あのパンダ基地の池の鯉たち同様、人間を見たら群がるようになるのも時間の問題だ。何とかならないものか。歯ぎしりする思いだ。
それでもめちゃくちゃ腹を立てている陳さんはその人たちに注意できないのだ。中国では公共のマナーを人々に訴える習慣がないのだろうか。 ペットボトルを川に捨てたのを目撃したとき、私は口が勝手に「Hey! You should't do that!」と叫んでいた(中国語が話せないので)。おまけに指までその子を指して。つまり頭に来たのだ。
その若い女の子はちょっと恥ずかしそうに笑った。その前にキノコ採りをしていた若いお母さんも、私の視線を感じて同様にニマッと笑っていた。そんなに悪気はないのだと思う。特にペットボトルの子は、その後、自力で川から回収する努力をして見せたので、そう確信した。
結論。九寨溝観光に訪れる人々へのマナーを、早急に徹底させることが問われている。パトロール隊が必要だ。今回行ったときは、随所に設置されたゴミ箱(「ゴミなんか持って帰れよ。」と言いたいところだが、ここは中国。ゴミ箱に入れるだけでもエライのだ。)掃除の職員には何回も出会った。しかし、その人たちはただゴミを回収するだけで、ゴミを捨てるなとか、魚に餌をやるなとか、一切注意をしていなかった。
手つかずの美しい秘境九寨溝は、十年後どうなっているだろう…。
朝、ユースホステルで饅頭1個の朝食をとり、残りの饅頭とゆで卵は昼食用に持って九寨溝周遊バスターミナルへ出発した。
好天だ。三人とも、(このためにはるばる南昌から来たのだ)という思いがあり、天に感謝した。気温は成都や、まして南昌と比べたらとても涼しい。成都では要らなかったジャケットが役に立つ。
廬山でも九寨溝でも、その広いエリアに立ち入るときに入場料を払う。日本では一般的に特別な施設のみが有料だった経験がある。知床半島は世界自然遺産に登録されてから行ったことがないが、ひょっとしてこんな風に変わっているのだろうか。
310元で入場チケットを買い、8時前に周遊バスで出発した。
バス乗り場へのゲートには、英語や中国語で『Please…』『請…』から始まる表記で丁寧に「並んでください。」みたいなことを書いてあるのに、何故か日本語だけ「並びなさい。」と高飛車だった。きっと日本語学科の卒業生が書いたのだろうが、これから先々の注意標識にも珍妙な表記があり、(世界の人々が訪れる場所なのに、こんなところで日本語のレベルの低さを露呈して…。)と残念だった。日本語教師の性か。
九寨溝はY字型にコースがあり、バスはまずYの右側奥へと私たちを運んだ。
バスガイドさんの言葉を通訳して、陳さんが一生懸命説明してくれる。九寨溝という名前の由来、1992年に世界自然遺産に指定されたこと、十個の湖は「海子」と呼ばれる。この地域に住む人々は海に憧れていたが実際に見ることも叶わず、せめてこれらの美しい湖を「海子」と名づけたこと、湖にたくさん生えている葦は高原であるために背が高くならないこと、途中の豪快な滝(幅360m、高さ20m)は、テレビドラマ「西遊記」の初回撮影場所として使われたこと、e.t.c.
一番奥の原始森林から散策スタート。
でもその前に、チベット族の30代ぐらいの男性が木製通路の一角で大中小のストール、マフラーなどを並べ出したのが目に入った。午前8時過ぎの九寨溝はジャケットを着ていても寒い。岡田Tは唇が紫色になっている。私は冬の寒い南昌の宿舎でも使えるからと、躊躇せず温かい毛の大判ストールを買った。60元。陳さんが値引き交渉をしてくれたが、頑としてまけない。続々とお客さんが来るからだ。この日はこのストール売りの男性にとってもありがたい天気だったはずだ。
さあ、今度こそスタートだ!
見ると、陳さんは文字通り小躍りしている。スキップ、スキップ、らんらんらん。
「陳さん、子どもだねえ~。」
と笑っても、
「嬉しいですから!」
とニコニコ笑顔が返ってくる。今回の旅行のメインの日であることは確かだ。
九寨溝の自然については、言葉で表したくない。と言うか、表せるはずがない。『もののけ姫』の山の奥のそのまた奥はこんなだったんだろうか。私のような底の浅い人間にもその姿を見せてくれたことに、手を合わすしかない。(ちょっとだけお邪魔します。ありがとうございます。)と。
ブログの写真の多くは陳さんが撮ったものだ。こうして宿舎で見ると(凄いところへ行ってきたんだなあ)と感慨が湧く。連れて行ってくれた陳さんにも、ありがとう、だ。
文頭の写真は五花海だったと思う。眼前にこの湖が現れた時、この世のものとは思えない景色にただ立ち尽くすだけだった。ふと陳さんを見ると、涙ぐんでいる。私もなんだか泣きたくなった…。
そうはいっても、訪れた人間たちがみな同じ思いではなかったようだ。
コースから外れて森に入り込み、キノコを採取している母子、湖の魚になんとお菓子を投げ与えているグループ、揚句にペットボトルを川に投げ込んだ若い女の子もいた。陳さんは、
「中国人として、こんな恥ずかしいことはありません。中国はまだまだです。マナーが全然だめです。」
と悔しがった。私とて、中国人ではないが人間として許しがたい。深々たる湖でひっそり生きてきた魚たちが、あのパンダ基地の池の鯉たち同様、人間を見たら群がるようになるのも時間の問題だ。何とかならないものか。歯ぎしりする思いだ。
それでもめちゃくちゃ腹を立てている陳さんはその人たちに注意できないのだ。中国では公共のマナーを人々に訴える習慣がないのだろうか。 ペットボトルを川に捨てたのを目撃したとき、私は口が勝手に「Hey! You should't do that!」と叫んでいた(中国語が話せないので)。おまけに指までその子を指して。つまり頭に来たのだ。
その若い女の子はちょっと恥ずかしそうに笑った。その前にキノコ採りをしていた若いお母さんも、私の視線を感じて同様にニマッと笑っていた。そんなに悪気はないのだと思う。特にペットボトルの子は、その後、自力で川から回収する努力をして見せたので、そう確信した。
結論。九寨溝観光に訪れる人々へのマナーを、早急に徹底させることが問われている。パトロール隊が必要だ。今回行ったときは、随所に設置されたゴミ箱(「ゴミなんか持って帰れよ。」と言いたいところだが、ここは中国。ゴミ箱に入れるだけでもエライのだ。)掃除の職員には何回も出会った。しかし、その人たちはただゴミを回収するだけで、ゴミを捨てるなとか、魚に餌をやるなとか、一切注意をしていなかった。
手つかずの美しい秘境九寨溝は、十年後どうなっているだろう…。
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