霧の中を試験のある教室に向かう学生たち。今日は大気汚染ではなく濃霧発生です。
今朝8時から2年生は「日本国家概況」の試験がありました。
試験官は大学の職員なので私は試験が終わる10時頃に
学生たちの解答の束を受け取りに行けばいいのですが、
少し心配だったので、8時前、教室に学生たちの様子を見に行き、
ほぼ無意味に「がんばれ~」とか励ましました。
なぜ心配だったかと言うと、自分で作った試験問題なのですが、
実は、2年生にはかなり難しい内容なんです。
私は日本に関する地理・歴史・経済・社会・政治・文化・習慣を
広く全分野にわたって出題しました。
ほとんど4つの中から選ぶ選択問題でしたが、
容赦なく日本の中三~高校レベルの日本語で書いてあり、
また、量もかなりのものなのです。
しかし、試験の結果、
私は(さすが中国の学生、ホントに暗記が得意だなあ)と驚嘆しました。
この技は小学校から高校まで徹底的にトレーニングされたに違いありません。
実は、4択問題だけでなく最後の二問は記述問題で、
そのうちの一つが、
「日本国憲法についてその特徴を簡潔に説明しなさい」です。
ほとんどの学生が日本国憲法の特徴として、
・国民主権 ・基本的人権の尊重 ・戦争の放棄(平和主義)
をあげて説明しているのを読んだとき、何か、目頭が熱くなりました。
授業で私がこの三大特徴を一生懸命に話したとき、
何人もの学生たちが(いいなあ、日本国憲法は……)という顔をしたのです。
「国民主権」「基本的人権の尊重」には中国の現実と比較すると
いろいろな思いがあるでしょう。
また、中日戦争で日本軍が犯した酷いことへの反省として、
この憲法の中で「戦争を放棄し」「平和を希求する」と書いてあると、
多くの学生は受け取ってくれました。
ただの丸暗記を超えて、そのことを試験で書いてくれたんだと思いました。
しかし、この三つの特徴のうちのひとつ、
「基本的人権の尊重」(第97条)を自民党改憲案は削除しています。
中国の学生たちが(いいなあ、日本の憲法は…)と思ってくれた根幹を切り崩して
人権を制限する国家づくりに邁進する自民党憲法案は、
結局、強力な独裁政権を維持している中国国家を理想としているのでしょう。
たった一人ですが、安倍政権の改憲の動きについて
批判的に書いている学生もいました。
濃霧は一日晴れることがありませんでした。
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