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Brugge Style
神戸 そしてひとつが終わり...
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/6b/9770f7ca44c81706186a0fcc9a3d802b.jpg)
見せてくれる
相手
探すのよ
タララ ララッラー
先日、神戸の旧居留地にあるファミリア・ビル(旧三菱銀行神戸支店)を、タワーマンションにする計画があるらしいという悪夢のような話を記事に書いたら、神戸の方々から「何考えとんやろね!」という反響があった。
これに追加で
元町高架下商店街(元高)が消えるというニュースも読んだ!
と言ったら...
神戸のみなさん、いかがですか?
モトコーが消えるそうである。2017年。
神戸新聞の記事
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201604/0009031221.shtml
80年代。
日本列島が豊かさを実感し始めた当時、関西の港町、神戸はにわかに注目を集めた。
きっかけは70年代後半の朝のドラマだったかもしれないが、女性誌が「異人館めぐり」の特集を組み、ポートアイランドが完成し、老舗パン屋や海岸通の西洋建築群が有名になり、神戸っ子のライフスタイルが話題になったりした。
わたしは、80年代になって神戸が急におしゃれ化したから日本全国から注目を集めたという風には考えない。順序が逆だ。
豊かになって余裕の出てきた日本が、「神戸という小洒落た街があるらしい」と目を向けたのだと思う。
もちろんそこに便乗したビジネスはあり、それは時代と共に来て去って行ったが、神戸では今も昔も変わらない人々の暮らしが営まれていると思う:おしゃれ好き、ホームパーティー好き、舶来もの好き、家の中を装飾するの好き、嗜好品を凝るの好き、新しいものを見つけてくるの好き、外車好き、海外旅行好き...
ああ、イヤミ氏みたいですね...
「ハイカラさがほどよくあるか否か」が、祖母や大叔母のものごとの判断基準のひとつだったと回想してみたりもする。
まあそれは置いて。
80年代の高架下だ。
80年代の高架下は、おしゃれな目線で注目を集め、レアな輸入品雑貨はここで買うべし! ともてはやされた。
しかし、わが母親は「あんなとこ、若い娘がいくもんやありません」と禁じた。
おしゃれな人と物の集まったおしゃれな場所、プラス親からの禁忌...
そりゃ行くしかないでしょう!!
おしゃれな場所で、おしゃれな人を観察し、おしゃれなものを買いたかっただけのティーンのわたしは高架下の商店街にも何度か通ったが、結局見てまわるだけでついに何も買うことはなかった。
そういえば2つ下の妹は、どこかの海軍払い下げの真っ白なキャンバス地でできたセーラーカラーのシャツを買い、それをコム・デ・ギャルソンのスカートとタニノ・クリスチーのブーツに合わせていたなあ...
たった一軒、トアロードに近い方に、舶来の下着を扱う洒落た一坪ほどののお店があって、そこのマダムにはたいへんお世話になったのだった。
オーバドゥやラ・ペルラはもちろん、丸太のような体型のわたしにはジェンマの下着がとてもよく合ったのだ。百貨店が持ってくる、ババくさい、しかも微妙に合わない下着にうんざりしていたわたしに、「裏地に凝る」ことを教えた店だった。
そういえばサンセット通りとトアロードの交差するあたりにはマリー・クレールという服屋さんがあり、シャンタル・トーマスとジュンコ・シマダを目当てによく行った。
その上の階には洋風の惣菜カフェ・バアがあり、カウンターの中のマダムがシメにおむすびをむすんでくれた。
トアロードには舶来の洋品店(クロスではない方の店、名前失念)があり、バーバリのコートやシャネルのバッグ、エルメスのネクタイなどをまるでバッタもん屋のように揃えていた...
ああ、話がどんどん長くなる...
高架下の商売が消え、異人館通りの個人商店が消えるのも、時代の変化を考えたら仕方がない。
21世紀、輸入品は掃いて捨てるほど販売されている。通販がある。海外もごく近い時代になったのだ。
当時は、コンバース一足買うにしても、高架下に行かなければ色や形がなかったし、実用性の全くないロマンティックなフランス雑貨は、異人館の脇道にこぢんまり佇む店(アンジェ・ブランとか)に行かないと手に入らなかったのだよ...
で、もちろん神戸の輸入雑貨といえば「みっちゃん」ですな。
神戸センター街にかつて君臨した、輸入雑貨の何でも屋。神戸のシンボル。
わたしがいつか神戸に帰ったら「みっちゃん」...
ではなく、「もっちゃん」(<もえですから)という舶来雑貨のごちゃごちゃした店を開きたいと思っている。
天井からアメリカのカラフルなキッチン雑貨や掃除道具、ドイツ製のベルトやかばんをぶら下げる。
アメリカ・シャネルの口紅や香水を売り、紙製のシートに並んだプラスチックの髪留めや櫛を売り、一番奥では実用的なガードルとかボディースーツも売るの...
カウンターには無愛想なおばちゃんをたくさん置いて「決めてから言うて」などときっつい口調で接客させる。
「もっちゃんで買い物してから某某でケーキ(あるいはロシア料理とか、ドイツ料理とか)を食べて帰るのが週末の王道」
という夢をまた紡ぎたい。
夢の続き...そして神戸。
(写真は海岸通の海岸ビル。ファミリアビルも、できたらこのようにファサードを残してタワーマンションなりに増改築してほしい)
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