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霧の中に咲く薔薇




霧の中に咲く薔薇
Queen Elizabeth

色を失いつつある冬の庭で輝いている。

女王の名を冠しているということは「最も英国的」な薔薇なのだろうか。

......


親友にせつかれて萩尾望都の名作『ポーの一族』の続編をやっとこさ読んだ。
(『ポーの一族』と薔薇は切り離せないのである)

漫画はほとんど読まないわたしに、彼女は「そっちのロックダウン中に読んで」と言った。

『春の歌』と『ユニコーン』。
明日は電子図書で『秘密の花園』が読めるようになるらしい。


70年代までに描かれた前シリーズを読んだのは高校生の時で、まさに彼女にすすめられて、だった。

今回読んでみて、おもしろいなと思ったのは、自分があたかも時を超越して存在するバンパネラのように、時を超えて同じお話を外側から鑑賞していることだった。

そして舞台になっている英国に自分自身が住んでいるのも。


前シリーズが、人間側から見た神秘的で孤独なバンパネラ(吸血鬼一族)だとすれば、21世紀を迎えて描かれた新シリーズは、バンパネラの側の事情や意外にカラフルな系譜を明かす、という感じで描かれている。

シリーズの通奏低音として流れているのは、「バンパネラ」という種族を描くことによって「何が欠けたら人間ではなくなるのか」。
ひいては「人間とは何か」「存在するとはどういうことか」「自己同一性とはなにか」を描いている。

その回答は「記憶」と「他者からの承認」だと思うのだが、いかがだろうか。


作品の中で主人公のエドガーが、人間は短い命だから命が惜しくないのかもしれないと答えるのだが、そこは「人間は自分がいつ死ぬか知らないから」とわたしならば言わせるかな...
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