goo

オデュッセウスの寄り道



多島海は七種の青色をしているのだそう...



オデュッセウスが漂白したのはこんな色の海だったのか...

昨日、ギリシャのフェタチーズは、オデュッセウスが主人公の『オデュッセイア』にも描かれていると書いた。



海底は真っ白な砂


『オデュッセイア』は、『イーリアス』と並び、古代ギリシャ文学の最高峰。

紀元前8世紀頃、吟遊詩人が吟じて聞かせるギリシャの神話時代を舞台とした作品として成立、のちに文字に書き残され、その作者はホメロス(紀元前6世紀ごろ)ということになっている。

解説やオマージュがいくつも書かれてきたのはもちろん、芸術や映画などの題材にされたのも枚挙にいとまがない。



ビーチは船で海からしか近づけないところが多い


当時の人間が世界をどのように見て、因果関係を説明しようとしたか、いかに影響を及ぼそうとしたか、自分たちは何者なのか、その解釈と説明がおもしろく、わたしもそのタイトルを聞いただけで、血が沸き、肉が踊る。

クセのある神々、当代一の知恵者、際立った英雄、絶世の美女、諸国の王、宮殿、ニンフや人魚に怪物...



夫と娘は立ち泳ぎが得意だが、わたしは浮き輪を使用(笑)


『イーリアス』は絶世の美女へレネー略奪をめぐるトロイア戦争譚。

『オデュッセイア』はトロイア戦争に参加して、その知力で大活躍したイタケー島の王オデュッセウスが、こんな色の海を10年間も漂流する貴種流離譚である。
なにしろオデュッセウスの知力は、知の女神アテーナーに寵愛を受けた英雄とまで謳われたのだから、ものすごい。
トロイの木馬をしかけた、あの人。



日差しが強いだけでなく、
クルーザー上で勝利の女神のニーケー気取りで風に吹かれていたら乾燥して肌がバリバリに...
白い服を着ていたため、写真で見たらニーケーどころか2日前のつぶれた大福(笑)


トロイア戦争からの凱旋なのに、賢いはずなのに、オデュッセウスは10年間も、そんなに広いとはいえない地中海を漂泊したのである。

海神ポセイドンの怒りをかったことから、オデュッセウスはなかなか帰国できなかったということになっているが(笑)、この美しい島や海の色、異なる文化、おいしい食べ物、しかもオデュッセウスは美女に出会っているし、そりゃなかなか帰りたくなかったろうよ...



こちらが風を受けて翼を広げんとする勝利の女神ニーケー。
オリンピック発祥の地、オリンピアの博物館で


王であろうと、美しく賢く貞淑な妻ペネロペーが待っていようと、日常はおそろしく退屈なのである。

しかもオデュッセウスは世界最強の切れ者、そりゃ小さな島の王という閑暇な生活には耐えられなかったろう...



これ、青い岩ではないのです。青い海がステンドグラスのように岩を青くする。
泳ぐ身体も青色に染まる


オデュッセウスの息子、テーレマコスが父親を探す旅に出るのも、退屈逃れだったのでは...と疑ってしまう。

戦争を起こし、領土を奪い合い、最もめんどくさい場所に城壁を築き、命がけの冒険に出かけるのも、おそらく人間は退屈に耐えれらないからだ...
(國分功一郎著『暇と退屈の倫理学』にもそう書いてあった)



......


東京は燃えているか?

都知事選投票日ですね!

わたしが住んでいる英国の総選挙(4日投票)は労働党の勝利がほとんど決まっていたため、それよりも都知事選に注目しています。

東京が変われば日本が変わると思うからです!
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 西瓜に塩 ギ... オリンピアの... »