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Brugge Style
去る人あれば
すっかり元気ではないものの、ブラッセルへ出かけたのは、どうしても会っておきたい人がいたから。
今年の春から夏、そして秋冬、とても気の合う大切な友人たちが続々と本帰国/横移動してしまうのだ。
突然名前を与えられ
人と出会い、別れ、
そしてまた突然去ってゆく
...と書いた作家は誰だったっけ?(ラシュディ?ダンテ?シェークスピア?)
ワタクシの年齢になると別れもまた「悲しくて涙する」より「ま、そういうもんよねえ」などという感触。
そんなことを思っていたら、同じ日にいい予感がする新しい出会いがあった。
日本的に別れと出会いの春、という訳だ。
春はまだまだ遠く思えるのに。
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微熱
健康体を誇るワタクシが、不覚にも微熱...
でもこの感覚、嫌いではない。
体中の皮膚が敏感になって痛いような。内側から発光しているような。
食欲もなくお茶ばかり飲んで午後を過ごしたら、就寝前に無性にチーズ・ケーキが食べたくなり...焼きましたとも(笑)。
外は零下。
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綺麗
「XさんとYさん、Moetさんと仲良くなってからすっごく綺麗になったと思いませんか?綺麗ってやっぱり伝染するんですよ~。」と、友人Zが有り難いことを言う。
わたしと仲良くなったこととは全く関係がないと思うが、たしかに彼女達は近頃ますます綺麗になった。
このように言われて嬉しい反面、言われたからには自分の短所を直視しなければならない気持になり...内面、外見、両方。己を省みるのは辛いのである。
理想としては、綺麗かどうかなどすっぱり超越した「美しい人」になりたい、と思う。
そしてそう思っていたら出会ってしまった。不平を言わず、能力を尽くして生きているその人は内側から輝くように美しく、わたしももっと真面目に生きなければいけないと教えられた。
今後は「Moetさんと仲良くなって『精神的に豊かになった』、『寛容になった』」などとぜひ言われてみたいものである。人格陶冶に道のりは長く険しい。一生の仕事やね。
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憧れの人
めずらしく娘の具合が悪く、かかりつけの小児科医を訪問した。
娘が1歳の誕生日を迎えるまで持っていたアレルギーを治療するため、相性のいい小児科医を探しまわっていた時に出会った女性医師で、もう6年のお付き合いである。
ベルギーの医療システムにはほんとど文句がない(めったにないことだ)のだが、特に彼女には好意を持っている。
おそらくわたしと同年代。ベルギー人には珍しく少年のようなスリムな体型。2人の男の子の母親。こちらがシロウトながらに思うこと、感じることなどもきっちり聞いて「会話」をしてくれる、知的でステキな女性である。
ワタクシの憧れ...と言いたいところだが、彼女、娘の憧れの人なのである。
彼女の影響で「わたしも小児科医になりたい」と言ったのは2歳半くらいの頃だった。おお、なんとすばらしいロール・モデルだろう!と、喜んだのもつかの間、娘は時々、「将来は電車になりたい(電車ですよ?!)」「駄菓子屋のマダムになりたい」などとワタクシをはらはらさせられるが、この女性医師に会うと初心を思い出すのだそうな(笑)。
以前、娘があなたの影響で将来小児科医になりたいそうです、と言ったらすごく喜んでくれて、「彼女が大人になる頃は子どもの数がさらに減っているだろうから、今のわたしのように忙しくないだろうし、いい職業かもよ」とな。ク~ル!(笑)
将来は彼女のもの、親としては健康で幸せな人になってくれたら何をしてもいいと思うが、「もし」専門職についてくれたら、彼女のような女性になってくれたら、やっぱり嬉しいだろう。
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マダム
アントワープの静かなショッピング・ストリートを歩いていると、ロングの毛皮を着て、電動車椅子を運転する、かなりお年を召したマダムが「マダム、劇場のドアを開けて下さらない」と声をかけてきた。
劇場入り口には車椅子用のスロープはあるけれど、重い扉が2つあるのだ。
彼女は背筋をぴんと伸ばしたまま、「ありがとう」と繰り返したが、「こちらこそ、小さな手助けをさせて下さって、本当に有り難いことでございます」と、召使いになったような妙に謙った(へりくだった)気持になった。
彼女から強く伝わってきたのは、紳士が何をしても紳士であるように、マダムは何をしてもマダムなのだということだ。
マダム道も奥が深いのである。
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