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欲を捨てる




ある夜、わたしは眠れなかった。

たまーに、将来のことを考えると眠れなくなるのだ。

将来の希望に湧いて眠れないのではなく、将来の不安に苛まれての方...
馬鹿ゆえ近視眼的な生き方しかできないわたしにもそういう夜があるのだ。

寝床から這い出て、ネットでニュースを見ていると、すでに朝を迎えている日本の親友から「アレクサンダー・マックイーン展やってるんだって?」というメールが来た。
マックイーン展へのお返事とともに、不安で眠れないことを話した。


「私も家などの処分や老後の生活のことを考えると…あ~どうしようとか思っちゃうけど、
考えること自体、欲があるってことなんだなぁと思っちゃうよ。
欲がなければ、どうかなった時でも、動じないとは思うんだよね。
欲をだんだん捨てて行くのが、私のこれからの生き方かな。」

アーメン。


将来を考えて楽観的になるのも
悲観的になるのも

夢を描くのも
失敗することを恐れるのも

他人を批難するのも
他人から批判されて気分を害するのも

欲があるからだ。


もちろんよりよい生き方をするためには多少の欲も必要だろう。
でもそれも40代、まあ50代くらいまでの話ではないかとこのごろ思うようになった。
向上心を含めて、欲は必ずしも人を幸せにはしないのだ。


どんどん欲を削いで、いつかものすごく身軽になってこの世から消えたい...

と、思うことさえ「欲」だという(笑)。


欲を薔薇の花びらのようにはいでいくことを考えると、気持ちがちょとだけ軽くなってきたが(ええ、これさえも欲ですよ)、わたしがどうしても削ぎ落とせないであろう欲が花芯のように残った。

遊蕩旅行や服やアートじゃないですよ!!



子供だ。
子供に関する欲は一番捨てがたい。
だから妻帯を禁じている宗教があるのですな...

そういうわけで娘にはできるだけ早く独立してもらいたい。
でもまあ子供はいつまでも子供なんでしょうなあ。
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ブルージュ@ミセス








友達から届いた
海苔やしじみのレトルト、瓦せんべいやきびだんご
その他もろもろたくさんのおいしそうなものに埋もれて
ブルージュ特集の雑誌「ミセス」5月号。

ホームシックになるなあ。
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ロンドンのアメリカ




ロンドンにはThe American Barが2件ある。
ひとつはサヴォイ(Savoy)の中、もうひとつはボーモン(Beaumont)の中に。

The Americanと枕詞を頂いたバアは世界中に結構あるような気がする。
アメリカの...と直接謳っていなくとも、アメリカ人の作家(ヘミングウェイですな!)をイメージしたところがたくさんある。
マッチョでハードボイルド、古き良き時代「ボギー、あんたの時代はよかった」な雰囲気、でしょうか。


写真は去年できたThe Beaumont。ここが完成して以来、ロンドン一贔屓にしている。
先日、レストランをおすすめした時、バアはこちらをおすすめした(と、こちらのArtesianとを)。
わたしはレストランも好きだが、いいバアが大好きなのだ。


デザインは1920年代様式、内装もサービス(特筆すべきすばらしさ)もすごーく好き。バアも部屋もとっても素敵。自信を持って推薦いたします。
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rosie assoulinの夏







ショーでとても気に入ったRosie Assoulinの一部を見せてもらった。

声が裏返るくらいかわいい!!

欲しかったホルターネックの赤いドレスは完売で、
右のレンガ色のもかわいいけれど、

何よりこの左のグレーベージュのドレス、入荷したら即ほしい!!
すごいんですよ、これ...
スカートのだんだんが取り外せるのですっ!
写真より、もう一段つけてフルレングスにもできるのですっ! 
こういうギミックのあるスカート、子供の頃よくお絵描きしたのを覚えている。
わたしの中に今もなお生きている6歳の少女のためにも
これは絶対に買わなくてはならないのだ!

今年の夏もやる気満々で。


写真はrosieassoulin.comより
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’Brugge’ 地名の由来再び 完結編




この3月。
ノルウェーはオスロの船着き場(島と島を結ぶボート乗り場)で見たこの表示をご覧頂きたい。

'Aker Brygge'

これを見た時、わたしはオーディンの稲妻に打たれたような気さえした。

おお、このことか!!

そんな大層なと思われるだろうが、わたし、この種のショックが一番快感。


Brygge Brygge Brygge...Brugge。


......


ほとんどのベルギー旅行ガイドブックには、「Bruggeという街の語源は、街に無数にかかる『橋』に由来している」と、まことしやかに書かれている。このブログにはしつこく書いて来たように、これはロマンティックな誤りだ。
結論から述べると「ゲルマン系の言葉に散見される『波止場の桟橋』という一般名詞が語源」といったところか。


歴史的な背景を見てみよう。
「ブルージュ」という固有名詞が現存する最古の文献に現れるのは、9世紀のゲントの修道院の棚卸し文書にである。
その当時のブルージュは川1本に寄り添うようにして数件の建物があるという風情の集落にすぎなかった。10世紀になってもそこに毛が生えた程度の規模で(写真右)、とてもじゃないが「街に橋がたくさんかかっている」という印象を与えるほどとは思えない。

中世ヨーロッパで最も華やかに栄えたブルージュの発達は意外に遅いのである。
中世以前のブルージュは単なる貿易中継地点にすぎず、当時ではブルージュから北海の方へ約10キロのオーデンベルグが栄えていたと検証されている。オーデンベルグには4世紀建設のローマ城壁跡が現存する。


次に発音を見てみよう。
ブルージュは土地の言語フラマン語で brugge であり、ブルッへェ(ルが巻き舌のルで、ルとラの間の音。gはガ行とハ行の間の音)と発音する。
フラマン語で橋は brug で、発音はブルッ(へ)に近い。
フラマン語には多くの方言があり、ブルージュ方言で発音すると、確かに地名の「ブルージュ」と「橋」は全く同じ発音になる。
似ていることは似ているが、だからブルッ(へ)がブルッへェの語源になったと説明するのは、日本語の「橋」が「箸」と似ているから「箸」の語源は「橋」である、ほら、形状も似ている...というようなものである。



これまでは、bruggeは、ヴァイキングが使用していた古スカンジナビア言語のbrygghia 、波止場、荷下ろし場に由来しているとされていた。なるほど、上の看板の現代ノルウェイ語、bryggeでさえも一字違いだ。それにヴァイキングは地中海はもちろんのこと、黒海からカスピ海、アイスランドからニューファンドランドまで出っ張って行っているのだから...「ブルージュ」は比較的近くの船着き場であったことだろう。

しかし最新の研究では、「brugesやbrygghiaは北海全エリアで使用されており、それはゲルマン言語のbrugj、単に波止場に架かる橋という意味」(ブルージュの歴史展覧会のテキストより)であり、ヴァイキングの使った古スカンジナビア語のbrygghiaが土地の名前になったと決めつけるのは早急なのだそうだ。
つまり、古スカンジナビア語を含む古いゲルマン系の言葉には「波止場の桟橋」という意味でbruges, brygghia, brugj等という同じような一般名詞が散見されるので、brygghiaだけが語源である、と決めつけるのはちょいと難しい、と。

というわけで強いて言うなら、「ゲルマン系の言葉に散見される波止場の桟橋という一般名詞が語源」に行き着くわけです。


ゲルマン系の言葉を話す人々が、少しずつ異なる様々な言葉で現在のブルージュを指して「あの桟橋のある波止場」と繰り返しているうちにそれが固有名詞になったのだろうか。

例えば大阪に「梅田」という地名があり、あの辺りの湿地帯を「埋めて」できた。「埋めたとこ」「埋めた」「うめた」...と繰り返してるうちに「うめだ」になったという話を聞いたことがあるが、これは眉に唾する話? まあでもそんな感じですかな。

......


オスロで目の前に広がる小さい入り江と、市民が足代わりにする小型フェリーが出入りするのを眺めていると、なるほど、Brygge=ブルージュ=「船着き場の桟橋」説にはかなり説得力があると思った。
ヴァイキングの言葉が語源でも語源でなくても、ブルージュをたくさんのヴァイキングたちが訪れたのは間違いあるまい。

ヨーロッパの国々はどこも固有の言語、固有の文化、固有の祖先を持ち、見た目も違うと考えがちだが、ヴァイキングの進行ルートを見ていると、ヨーロッパ人はみな数パーセントはヴァイキングの血を受け継いでいるはず...

なんとも壮大な話ですな。
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