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Brugge Style
「ココ...君はもう死んだんだよ」
有名人の死では、最近では橋本治の死のほうがずっと強く心に刻まれたが
(自分の上の世代がいなくなっていくことに対する不安、のような感じ。
先輩が卒業して自分たちが最上級生になるような、あの安心感の喪失)
どなたかの死も、いわゆる「インスタ映え」になる。
いや、カール・ラガーフェールドの死がカラフルなSNSネタになっているのに驚いたのだ。
この現象で一冊本が書けるのではないか。
「カールが死んで涙が止まらない」って、世界は善男善女であふれているのですね...
カール・ラガーフェールドが自分のオフィスに現れたシャネルの亡霊に向かって
うんざりしたように「ココ...君はもうずっと前に死んだんだよ」
とオフィスで言うフィルムのシーンを思い出した。
「カール、君も死んだんだよ...」
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近頃ブルージュでよく行くレストラン1件...
昨日のブルージュ土産記事をご覧になった、ご旅行準備中の方が聞いてくださったので、最近ブルージュ帰省時によく行くレストランについて書く。
Zet'joe
ブルージュ方言でザッチュウと読む。「座ってちょうだい」くらいの意味。
ブルージュで長年、ミシュラン三星を維持していたDe Karmeliet(〜2015)のオーナーシェフが、規模を縮小した店だ。
しばしばニュースにも取り上げられるように、ミシュランの星を維持するのは精神的にも体力的にも相当の負担がかかるそうだ。星付きシェフ自殺の話も1つ2つではない。
カルメリットでは無理のない範囲で仕事を続けるためにと元レストランの数件隣で再出発。
カトラリーもカルメリット時代のものを使っていて、壁のアートもすべてカルメリットにあったものだ。
料理もかなりカジュアルになった。一番の違いはサービスをする人の数がずっと減ったことか。
シェフがオープンキッチンで仕事をしているのが客席から見える。彼はテーブルを回って挨拶をし、ホールには今もマダムが出ているし、ウェイター氏もプロだ。地元の人が多く、いつも満席だ。
ちなみに今は星一つ。
今回はわたしは全体的に少々しょっぱいと感じたものの、わたし以外のベルギー人はみな問題なかったと絶賛。
雲丹のムースに合わせた出汁のジュレと、揚げ出し茄子風の出汁がしょっぱかった。こう書くとまるで和食みたいだが、フレンチです。たぶん、本格的な関西風の出汁ではこちらの方には味が分からないか、フレンチには合わないのだろう。
ブルージュのいいお店はオーナー=シェフというお店が断然多く、自分の名前の看板をかけてクオリティを守っているという印象を受ける。
例外はもちろんあるという前提で、大陸ヨーロッパの、比較的規模は小さいが歴史ある街などではそういうお店が少なくないと思う。
ロンドンは店の数も多く、規模も大きいが、シェフが変わるたびにがらっとクオリティが変わってしまうケースがたびたびあり、前回はすばらしかったのに今回は...とがっかりさせられることもしばしばだ。
ロンドンの外食のクオリティが大都会の割にあまり改善されないのは、ここにひとつの原因があるのではないかとわたしは思っている。個人ではなかなか出店できない経済的背景、文化的背景だろうか。
13年間住んだブルージュから英国へ引っ越しして早もう9年目。
前回ブルージュのレストランについて書いた記事も情報がとてつもなく古くなってしまった。
前の記事を参考にしてくださる方は、ぜひ日付を今一度ご確認くださいますように...
写真はベルギー人、みんな大好きデザート「白い貴婦人」。
カルメリットで食事をしたことがある方は、このお皿に見覚えがあるはず...
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ジュリエットのクッキー
ブルージュのクッキー屋さんJulietteの詰め合わせ。
この「ぎっしり、ぎゅうぎゅうと」詰まっているのがなんともいえない。
これを英国に持って帰っては、朝10時ごろのティータイムにひとつ、ふたつ、つまむのです...
マルクト広場から伸びるWollestraatにあり、店の奥で常時焼き続けているためだろうか、前を通ると甘い香りに惑わされる。
チョコレート以外のブルージュのお土産におすすめ、特に夏場は。
写真は紙箱(一番雰囲気があると思う)、いろいろなデザインのメタルの缶も売られていて、選んでその場で詰めてもらえる。
このセレクションにはベルギー名物のクッキー、スペキュースが入っていないが、スペキュロースだけでも8種類くらいある。
「ブルージュのビスケット」という直球名のBrugs Beschuit(ラスクタイプ。ソフトタイプのチーズに合う。わたし大好物)は袋売りでこちらもおすすめ。
このお店ができた頃は、「手作りクッキーだけを売る店なんかはチョコレート屋激戦区のブルージュではやっていけないだろう」と思ったものだったが、なんの、ウォルストラートに開店してもすでに10年いや、ほとんど15年が経つ。
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今夜もdon quixote 2019
英国ロイヤル・バレエで公演中の『ドン・キホーテ』を見るためにベルギーから飛ぶように帰ってきた。
主役の二人がMarianela Nunez(キトリ)とVadim Muntagirov(バジリオ)だから...
書き進める前にちょっと立ち止まってみると、2013年の公演時にも書いたが、わたしはこのカルロス・アコスタ版『ドン・キホーテ』があまり好きではない。
例によってロイヤル・バレエ色が強く、つまり全部説明しすぎが少々煩いと思うのだ。
しかしこのバレエの核は、筋がどうだ、役柄がどうだ、語り口がああだこうだというよりも、音楽が鳴ったら踊りたくなるでしょう?! という感じの直接的な喜びにあふれている。
しかもMarianela NunezとVadim Muntagirovが踊るならば...彼らのパートナーシップを見るためならば、わたしはたとえどこからだってロンドンへ帰ってくるだろう!
もし、わたしが先週のオープニング・ナイトを見ていなかったとしたら、今夜最高だったと感想を書いただろうと確信しているが、オープニング・ナイトの出来(特に第3幕のパ・ド・ドゥ)があまりにも神がかっていたので...いやいや、それでも最高だった。
マリアネラの踊りは、ごく平均的なプロ・ダンサーの立場がないだろうと思うほど、他とは全然違う。
普段はマリアネラから目が離せないのに、今夜は不覚にもモンタギロフから目が離せなかった...彼にはそういう華があり、もちろんバレエダンサーとしてのすべてが備わっている(あの首の長さよ!)。
ロシアバレエと英国バレエの昇華。美しい。
プリンス・オブ・ウェールズとコーンウォル侯爵夫人(チャールズ皇太子とカミラ夫人ね)がご臨席で、まわりの英国人マダムらは色めき立っていた。
暗くなってからロイヤル・ボックスに入り、カーテンコールでも一番最後まで丁寧に拍手しておられた。
わたしの隣のご婦人は「先週も来てたわよ」と。
ならきっと大ファンなんでしょうね...
(写真はROHから拝借。Andrej Uspenski)
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晴れ女のブルージュ
2019年2月19日火曜日 ブルージュ。 昨夜遅くに冷たい雨が降ったようだが、今朝もごきげんな青空が広がった。
ある方から、「モエさんの旅行の写真はどこも天気がいいですね、晴れ女ですね」とメールをいただいた。 わたしは自分のことを必殺雨女と呼んでいるが、友達はみんな「うそ、絶対晴れ女やん...」と言う。
実は秘密がある。 自分のことを「晴れ女です」と宣言した途端に大雨を降らせそうなので 「雨女です」と名乗っているのです...
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