焼締の高麗大瓶です。
中国では玉壺春と呼ばれる形の良い瓶です。
高 30.9㎝、最大径 16.9cm、口径 7.8㎝、底径 11.2㎝。重 2.05㎏。高麗初期。
内側には、須恵器を思わせる轆轤の冴えがみられます。
口縁下にはホツレがあり、私が漆で補修しました。
一見単調な黒色にみえる器肌ですが、小さな変化が見られます。
ボディの下半分は、黒く滑らかなのですが、上部へ行くに従い荒くなり、首に近くなると、また黒く滑らかになります。
この品物、黒一色ですから、最初は、薄く釉薬か黒土が塗ってあると思ったのですが、どうも、違うようです。火のあたり具合によって、肌の様子が変化するのですね。大げさに言えば、窯変。焼締陶ならでは味わいです。
さらに、小さな石噛みが所々にみられます。
下部には、窯印?
底には、下駄底(出下駄)のようなものまで。その分、少しガタついて、座りが悪い(^^;
須恵器の流れをくむ、こういう品がどうして焼かれたのはわかりません。が、中国から新しい技術が入ってきて、高麗陶磁器が本格的に造られるようになると、すぐに姿を消したことは間違いないでしょう。