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チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<請求人を募集!> 辺野古への埋立土砂海上搬送を加速させる違法・不当な本部塩川港のベルトコンベア設置許可問題についての住民監査請求(監査請求書全文掲載)

2021年08月05日 | 沖縄日記・辺野古

 沖縄県が本部塩川港のベルトコンベア設置を許可したことにより、辺野古への土砂海上搬送が加速する。

 しかも、この許可は港湾法・港湾管理条例にも反したものであり、さらに、従来の荷捌地使用許可を港湾施設用地使用許可に変えたことにより、使用料が年額で840万円も安くなった。それは業者への便宜供与であり、沖縄県の被った損害である。

 4月以降、本部町島ぐるみ会議は何回も県と交渉してきたが、県は多くの問題があることは認めながら、毎月、許可を出し続けている。そのため、これ以上の県の損害を防ぐために住民監査請求を起こすこととなった。

 以下、請求書を全文掲載する(なお、使用許可・使用料の決裁を行った北部土木事務所長に対する損害賠償請求については、検討中)。

 

 趣旨に賛同される方は、是非、請求人になってください。沖縄県民であれば誰でも請求人になることができます。chuyokinawa@yahoo.co.jp に連絡いただければ、請求書を送ります。

沖縄県監査委員様                                                               2021年8月  日                                         

             沖縄県職員措置請求書                                           

第1.請求の趣旨

 沖縄県知事に対し、本部港本部地区(旧塩川地区)(以下、「本部塩川港」)の管理に関して次の勧告を行うよう求める。

1.本部塩川港では、従来、辺野古への埋立土砂海上搬送のために、本部町長が北部港運㈱に対して荷捌地使用許可を出していた。しかし本年4月以降は、沖縄県北部土木事務所長がその荷捌地にシップローダ(以下、「ベルトコンベア」)等設置の港湾施設用地使用申請を許可するようになった。しかしこの許可は、港湾法、沖縄県港湾管理条例及び「港湾使用許可に係る審査基準」(以下、「審査基準」)に違反する。

 今回、従来の荷捌地使用許可を港湾施設用地使用許可にしたことにより、4月分~8月分の港湾使用料の合計額が3,046,597円も軽減された。これは沖縄県の損害であり北部港運㈱の不当利得である。

 従って北部港運㈱に対して、不当利得3,046,597円を返還するよう請求すること。

2.さらなる県の損害発生を防止するために、北部土木事務所長に、今後、本部塩川港でのベルトコンベア等設置のための港湾施設用地使用を許可しないよう指示すること。

 

第2.請求の原因

1.本部塩川港は沖縄県が管理する港湾で、港湾施設を使用しようとする者は知事の許可を得なければならない(港湾管理条例第7条)。ただ、港湾施設用地、旅客施設及び事務所以外の港湾施設の使用許可に関する事務、使用料の徴収に関する事務は本部町が処理するとされている(港湾管理条例第31条)。 

2.沖縄県北部土木事務所長は本年3月31日、北部港運㈱に対して、本部塩川港の荷捌地での4月分の「石材等出荷の為(シュワブ埋立工事向け石材等積込みにかかる各種施設設置の為)」の港湾施設用地使用許可申請を許可した(事実証明書①)。その主な内容は、大型ベルトコンベア2基、土砂積込み用桝、プラフェンス、大型土嚢、濁水処理プラント等の設置である。同許可の期間は1ケ月単位であるが、同所長はそれ以後、現在まで毎月、同許可を出し続けている。

 この港湾施設用地使用許可、そして使用料の決定は、北部土木事務所長が決裁権者であった。 

3.北部港運㈱は昨年1月以来、毎月、本部塩川港での「石材出荷の為(シュワブ埋立工事向け石材等積込みにかかる各種施設設置のため)」の港湾施設用地使用許可を申請してきた(事実証明書②等)。しかし北部土木事務所長は昨年1月以降、毎月提出されたこの使用許可申請を許可していない。

 本年3月分まで許可できなかった申請書と、4月分以降、許可をした申請書の内容の相違点は、①「外部からの流入水の侵入を防ぎ、敷地内からの濁水流出を防ぐために外周部に大型土嚢(高さ 1.1m)を設置」、②「敷地内の濁水処理のための濁水処理プラント設置」、③「積込用桝をコンクリートブロックから鋼製桝に変更」の3点である。北部土木事務所長はこれらについて、「濁水対策に改善が見られたので許可した」と説明した(本年4月28日、本部町島ぐるみ会議との交渉における説明等)

 しかし、本部塩川港では外部からの流入水などなく、敷地内からの濁水発生もないため、外周部の大型土嚢など必要ではない。また、降雨時のブルーシート養生や、荷こぼれを速やかに回収するための清掃要員の確保なども義務づけられており、濁水処理プラント設置の意味もない。

 結局、1年以上、許可をできなかった申請を許可する理由として「濁水対策」の改善をあげたのだが、これは、許可のための口実として使われているにすぎない。 

4.本部塩川港から辺野古への埋立土砂搬送は従来から続いていた。荷捌地は港湾管理条例に基づき本部町が所管しているため、従来は本部町が荷捌地使用許可を出していた。今回はほぼ同じ荷捌地部分について県が港湾施設用地として使用を許可したものである。

 しかし港湾施設用地使用許可を出すにあたって、北部土木事務所は荷捌地を所管する本部町との協議は行っていない[3]。辺野古への土砂海上搬送は今後、何年も続くことから、今回の港湾施設用地使用許可はこれからも毎月続くこととなるが、本部町はこの荷捌地の荷捌地使用許可を出せなくなってしまう。これは、本部町の荷捌地使用許可権限を無視したもので港湾管理条例第31条に違反する。 

5.今までは辺野古への土砂海上搬送にあたって、朝、業者が敷地周辺にプラフェンスを並べ、夕刻、作業が終れば片付けていた。そのため、週末や作業のない日は本部塩川港には何も設置されていなかった。しかし今回の港湾施設用地使用許可により、3000千平方メートルを超える荷捌地が大型土嚢で常に囲われるようになった。4月21日以後のベルトコンベア使用実績は月に10日程度でしかないが、週末や作業のない日も港湾の自由な使用が妨げられている。

 この点について北部土木事務所は、「他の業者も、他のバース・荷捌地を利用することができる」と主張する。しかし現在、4ケ所のバースが辺野古への土砂積込み専用となっており、北側の荷捌地も辺野古のために使用されている(事実証明書④ 港湾台帳)。中央の荷捌地は、中央部に大きな段差や構造物があり、しかも北側のバースへの進入道路となっているため、荷捌地としての使用はほとんどできない。

 特定の業者にバース・荷捌地を優先的に使用させることは、港湾法第13条の「平等取扱いの原則」にも反する。 

6.大型ベルトコンベアが設置されたこともあって、本部塩川港へは1日に1000台を超えるダンプトラックが入るようになった。そのため、港入口の臨港道路の舗装が破損し、大きな窪みが何箇所もできている。また、ダンプトラック走行、ベルトコンベア稼働により粉じんが立ち込めるなど(事実証明書⑤ 写真参照)、周辺の環境はきわめて悪化している。

 このベルトコンベア設置については、大気汚染防止法第18条第1項に基づく一般粉じん発生施設設置届出書が出されているが(2020年2月27日)、そこでは「一般粉じん発生施設の構造等に関する基準」(大気汚染防止法施行規則別表第6)の「散水設備によって散水が行われていること」として、「散水車による散水が行われている」という。しかし、路面に散水する散水車でベルトコンベア上の土砂に散水することはできないし、そもそも、本年5月にベルトコンベアが稼働してから散水車でベルトコンベア上の土砂に散水されたことはない。集じん機や防じんカバーも設置されておらず、上記基準は全く満たされていない。その結果、前述写真のようにベルトコンベアから凄まじい粉じんが沸き上がっているのである。

 こうした現状は、「審査基準」の「⑶ 港湾施設等が損傷又は汚損されるおそれがないこと」、「⑸ 環境を悪化させるおそれがないこと」に抵触する。 

7.従来、本部町が荷捌地として許可を出していたが、今回、県が港湾施設用地使用許可としたことにより使用料が大きく減額された。

 北部土木事務所の本年6月15日の説明では、「港湾管理条例第8条別表第2により使用料を算定した。荷捌地使用許可の場合、1000平方メートルあたりの月額使用料は253,000円だが、港湾施設用地使用許可の場合は月額20,222円」という。今回の許可面積は3,014平方メートルであるから、月額701,592円も安くなっている。年額にすると8,419,104円もの大きな額である。

 従来は作業時だけの使用だったが、今回は常時、敷地周囲を囲って荷捌地を広範囲に占用し、大型のベルトコンベア等を持ち込みながら、使用料が年額約842万円も安くなっている。これでは、ベルトコンベアを使用しなくても、ともかくベルトコンベアを持ち込みさえすれば使用料が大幅に軽減されることとなり、とても納得できない(2021年6月21日 琉球新報、事実証明書⑥)。 

8.今回、北部土木事務所長が港湾施設用地使用許可を出した場所は、F-4-11の荷捌地である。

 北部土木事務所は、「荷捌地への設置だが、移動ができない固定物なので港湾施設用地使用許可とした」と説明している。しかし、今回の許可範囲の大部分はダンプの転回・待機用地であり、従来、荷捌地使用許可を出していた際と使用実態は変わらない。あくまでも荷捌地の使用であるから、港湾管理条例第8条別表第2(事実証明書④)の「荷捌地使用料」に基づき使用料を算定すべきである。 

 荷捌地の一部に固定物を設置するからといって、広い荷捌地全体の使用料を、荷捌地ではなく、極端に安価な港湾施設用地として算定することは認められない。 

9.本部塩川港では、以前は、「移動ができないもの」についても荷捌地使用許可で扱っていたが、2018年7月から港湾施設用地使用許可に切り替えたという(琉球新報 2021年6月21日、事実証明書⑥)。ベルトコンベアについても、2017年当時には荷捌地使用許可を出していた事実がある。

 荷捌地使用許可と港湾施設用地使用許可については以前からその扱いが混乱している。県はその経緯と理由を説明しなければならない。 

10.以下、荷捌地使用許可を港湾施設用地使用許可としたことによる4月分~8月分の使用料軽減額を計算する。

・4月分(21日~30日)  (253,000円-20,222円)×3.096千㎡×10/30= 240,226円

・5月分~8月分      (253,000円-20,222円)×3.014千㎡×4  =2,806,371円                                                                  

                         合計  3,046,597円

 この金額が、今回の措置により沖縄県が被った損害であり、北部港運㈱の不当利得額である。

 今後も同様の許可を出し続け、沖縄県の損害をこれ以上、拡大することは許されない。

 

第3 結論

  以上の理由から知事は、地方自治法第242条の規定により、北部港運㈱に対して不当利得の返還請求をすること、また北部土木事務所長に対して、さらなる県の損害発生を防止するために、今後、本部塩川港でのベルトコンベア設置の港湾施設用地使用を許可しないよう指示することを求める。

 

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