遺骨混りの土砂が採掘されるということで大きな問題となった、「魂魄の塔」横の熊野鉱山開発計画について、開発業者が計画を大幅に変更することが明かになった。
県に提出された自然公園法の届出書では、総工程は約5年とされていた(着手:2021年1月10日、完了:2025年12月27日)。また、糸満市に提出された景観法に基づく行為届出書に示された工程表では、総工程は7年3ケ月とされている(準備期間:1年4ケ月、採掘期間:4年7ケ月、埋戻し期間:約3ケ月)。
ところが今回、開発業者が糸満市に対して総工程を3年間に修正する工程表を提出したのだ。県に対しても工程短縮の相談があったという。
業者は、採掘した土砂の搬出道路とするための農地一時転用を申請している。しかし、現地は農振法の農用地区域であり、一時転用は3年以内に限られている。ところが前述のように、採掘計画は5~7年としていたのだから、その整合性が問題となっていた。このままでは知事の一時転用許可を得ることは難しく、全工程を3年以内とするように計画を変更せざるを得なくなったのであろう。
しかし、工程が半分に短縮されると、当然、総採掘量、採掘深さや採掘方法等も全て変更となるはずだ。
鉱山の採掘にあたっては沖縄総合事務局から施業案の認可を得ているが、鉱業法では、「1年間の採掘予定量の著しい変更」(20%以上の増減)等の場合、施業案の変更手続きが必要となる(沖縄総合事務局『施業案の記載の手引き』参照)。
また、県は熊野鉱山の開発届に対して、自然公園法に基づく措置命令を出した。しかし今回の工程短縮により、総採掘量、採掘深さや採掘方法等が大幅変更される。従前の自然公園法の届出書はいったん取下げ、新たな申請を提出し直す必要があるのではないか?
ますます県の毅然とした対応が必要になっている。
(本年7月2日の熊野鉱山)