カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

錦秋の立山・その3

2008-10-21 | ヤマのこと

その1  その2

続きです。

「大走り」への分岐を見送り、真砂岳に到着。


(真砂岳山頂標識はさりげなさすぎて見逃しそうだった)

「大走り」の方へ目をやると、下の方は急そうだし選ばなくて正解だったかも。

なぜなら・・・
分岐を過ぎて登ったその先に・・・
私には初めて見る、大パノラマが広がっていたからだ!!


(右前方には白馬御一行さま?)

!!す、すご~~~い!!
そうか、そうなんだ。
これが「雲上の散歩道」と言うものなんだ・・・

なんて美しい・・・
これは、やはりここまでこないと味わうことの出来ない、
澄んだ空気や天の近さ、同じ高さで見れる荒々しい山の姿。


すばらしいよぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(涙)
生きてて良かったよぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・(泣)

と心底感動してしまった。

あのまま「大走り」から降りてしまっていたら、
単なる「初級者コースなのに怖かった思い出」で終っていたかもしれない私の山歩き。
それが「喜び」に変わった瞬間であった。
ここまで、来て本当に良かった。

贅沢にもこんな眺めの良いところで「鱒の寿司ランチ」にする。
以前観光できたときも、ツアーで鱒の寿司を持たされて、
雪の上に腰掛けて食べたけど、それはとても美味しかった、今でも忘れない。
でもその時以上に美味しいぞ~~(ゴハンの端が若干凍ってたけど)


(右手に内蔵助山荘が見える)

寒いので20分程度で昼食を終え、歩くことにします。
まだまだなだらかで気持ちの良い散歩道は続きます。
楽しいなぁ~~(ゲンキンだな~)いつもいつもこんな道だったらいいのに・・・




と45分ほどで「別山」が見えてきた。
「う、あそこまで行くの?」ずいぶん高く遠くに見えた。
登り手前にまき道が見えたが、(人の歩いているのは登山道、写っていませんがもっと先が巻き道です)
見るからに私の苦手なタイプの道だ。
残雪時は通行禁止、と書いてあった。
迷わず、直登りだ。

時々足をかける石を見失いそうになりながらも、直下から意外と早く15分ほどで着いた。

山頂手前の祠が見えた。が、右に眼をやると・・・


目の前にどどーーん!と「剱岳」が!思わず、おおっ!とうなってしまうほど。
遮るもののない圧倒的な迫力で岩の要塞、剱岳が目の前にそびえ立つ。
ここは登ってきて大正解


すごーい、カッコイイ山!自分は登ってないのに、あまりの嬉しさにピース
オイオイ、さっきまでの腰引け状態はどこへ?

このぐるりっぷコースは、ここが最後の見どころ。
眼下に見える剱沢キャンプ場のテントや、ギザギザには誰か登ってるのかな~?
私があそこにいたら間違いなく失神(笑)だ、とか色んな想像をめぐらせ楽しんだ。
しかし、すごいなー。
こんな初心者にもこれほど素晴らしい景色を見させてくれるなんて、申し訳ないくらい。
さすが、太っ腹だね、立山さん。


展望を楽しんだら、名残惜しけど下山です。
ここまで一度もトイレ休憩もしてないのであそこに見える「剱御前小屋」で休憩しよう。
(携帯トイレ持参してました)


(別山からの下り)
ここまでくるともうすぐ終ってしまうのが悲しくて、何度も振り返ってしまう。


歩いている間ずっと右手に「剱」が見えるのが贅沢ですね。


とうとう「別山乗越」の「剱御前小屋」についてしまった。
お名残惜しくて、しばらくベンチで眺めていた。


眼下には「地獄谷」や「弥陀ヶ原」方面まで、まるで箱庭のように見える。
キレイだねぇ~~~


ここからはCT1時間半くらいの下りだが、結構急な下りだった。
もう14:00頃なのにまだまだ登ってくる人たちがいる。
重装備でも登りは大変そう。今夜は剱沢まで、という人もいた。
この日の小屋は満室で、予約ナシでは泊まれません、と「剱御前小屋」の案内板に書いてあった。
人気ですねー。


大パノラマを見ながらの気持ちの良い下山道。
あっという間に降りてきてしまった。
この川を渡れば、そこは雷鳥沢テント場。今日の旅も終わり・・・


今日一日を振り返りながら、歩いてきた山を見上げる。
こうして私の約8時間の「標高2500m以上初めてのプチ縦走の旅」が終わった。
終わってみればあの恐怖の20分間も笑えるから不思議。(その時はホンキで気を失いそうなんですが)

立山三山は初心者にもベテランさんにも楽しく、展望も抜群の、
中身の濃~~いルートではないかと思いました。
立山を観光地という一面しか知らなかった私は、
この土地の歴史や開山の苦労などを知り、
ここを自由に歩かせてもらっていることがどれだけ多くの人のおかげかを知り、
以前よりもっと好きになりました。


テントに戻り、温泉の支度を持ってテント場に一番近い「ロッジ立山連峰」へ。


(脱衣所・湯船は先客がいたため写真ナシ)
入浴料500円、湯船は広く一度に10人は入れそう。
湯船に浸かりながら、今日歩いてきた「雷鳥沢」「剱御前小屋」が見える。
景色のよさも嬉しい、清潔感のある温泉だった。

寝違えた首を揉みながら、湯船で窓の外の山を眺め、
私はこの高所恐怖症をどうしたら克服できるんだろう?と考えていた。
慣れるしかないらしい、と一生懸命あちこち歩いてもなかなか前に進めないジレンマ。
克服できたらもっと高く、もっと遠くへ行けそうな気がするのに。

でも、山歩きのスタイルは人それぞれで、
私は山に対して特別なロマンを抱いてるわけではなく、
誰かと登頂数を競い合っているわけでもなく、
有名な山に登ったと語りたいわけでもなく、
危険を承知でがむしゃらに頑張りたいわけでもなく、
冒険好きなわけでもなく・・・

ただ自分が今まで知らなかった世界や、大自然との出会いに素直に感動し、
何のしがらみも見栄もないありのままの自分がここにいて、
素直に楽しいと思えるから来ている訳で・・・・

高所恐怖症が克服できたら、今より素晴らしい景色が見れる、のではなく、
素晴らしいと思えるのは、技術や体力に関係なく、
どこにいようと、どんなスタイルであろうと、
自分の感じ方次第なんじゃないかな・・・とも思う自分もいたり・・・。

そんなことをぐるぐる考えていたらのぼせそうになった


------------------------------

この日の夕方は暖かかったので、風呂上りでもしばらく外のベンチでご飯を食べることが出来た。

しばらくすると、急に周りが赤くなって・・・


夕焼けに染まる、立山。
テント場総立ちで「おーーーっ」っという声が響く。
今、ここにいなければ見ることが出来なかった一瞬。
鳥肌モンの夕焼け、たった3分で消えた。
この儚さが、たまらない。



初めての立山ぐるりっぷの山歩きは、素晴らしい思い出と共に終わった。
明日はもう下界へ。
雷鳥沢テント場は、夜中月明かりが眩しくてヘッデンいらずだった。
サイコーの一日を、ありがとう。

----------------------------------

【テントごはん②】

この日も前日同様、
「きのことじゃこ&干しエビのバター醤油」
「たらもサラダ」
「豚バラと白菜のチゲ鍋」
お昼の残りの「鱒の寿司」


なるべく鍋を汚さないように、ホイルで蒸焼き。


ポテトサラダは我が家ではほとんど毎回出るメニュー。
袋のシーチキンの時もあるが、今回は、

(こちらを使用)
パスタ用を使ってみたが美味しかった。失敗がないかも。

そしてチゲ鍋は写真を撮るのを忘れて食べてしまった^^;
使ったのはこちらのソース。

濃縮タイプなのであまり重たくなくてGOODです。
もちろん豆腐は背負ってきていません(笑)



観光編へつづく。