1日目瑞牆山編
2日目金峰山編
【5/4(祝)】大弛峠5:45→前国師岳→国師ケ岳7:00→国師ノタル8:55→東梓9:55→両門ノ頭11:00
→富士見11:55→水師13:20→甲武信ケ岳14:25→甲武信小屋15:00
(行動時間=CT:6時間15分のところ 9時間15分(昼食休憩含む))
金峰山を越えるのに、8時間もかかってしまったので、多分この日も同じだけかかるだろう、
と予測CT時間を8時間と設定しなおした。
また、目指す甲武信のテント場は人気で遅く到着すると場所がないらしい、
というウワサの為今日は早起きで頑張ります。
事前調査ではこのコースは雪が深く歩きづらい。
また、アップダウンが多いので相当頑張らなければ・・・私にとっての今回最難関。
(本来の大弛小屋のテント場・小屋から車道によったところ)
3:30起床。でもまだ周りが静かなので4:00まではおとなしくする。
朝は曇天。
携帯は通じないので、天気予報もイマイチ解らないが、朝起きた調子では大丈夫そうな雰囲気。
いつもなら緊張で眠りが浅いのに、なぜかこの日は良く眠れて元気だ。
うーん、開き直ったか・・・?
今朝の気温は2度。こんなに温かいのは珍しいそうだ。
小屋のおじさんは昼には太陽が出るよ、と言っている。
挨拶をし、小屋脇を登っていきます。既に雪深いのでスタートからアイゼンして行きます。
朝ならまだ凍っているのでなんとか歩きやすいかな・・・
「夢の庭園」を登って行きますが、のっけから急登り(汗)
道も合ってないようなもの、無理やり付いたようなトレースを真似て登っていく。
積雪のため登山道が高い、松や木の枝がちょうど肩・顔に当たる位置。
木々をよける為、身体をヘンにねじりながら進む。
多くの松やシャクナゲが踏み潰されている・・・ゴメンネと思いながら同じように進む。
足場のよいところで振り返ると、さっきまでいたテント場はもうあんな下に。
昨日歩いてきた道も良く見えている。
平らになったら前国師。振り返るとまだ五丈岩がしっかり見えている。
(あの白いところが北奥千丈岳・何人か人が見える)
そこから少し行くと、奥秩父最高峰「北奥千丈岳」への分岐だ。
山頂まで夏なら往復30分、でも雪が深いので多分1時間はかかりそう・・・
今日は最終目的地までエスケープルートはない。
机上計画では無謀にも寄る予定だったが、あっさり却下。
たどり着くことだけを目標に、ピークは見送ることとした。
結局近そうに見えた「国師ケ岳」まで1時間15分、ふー。
うっすらですが富士山も見えています(画像左真ん中あたり)。
(見落とした道標)
一息入れると、今度は大きく下ります。
歩みが遅い私がいつも先頭を行くのですが、下る途中、左右に踏み後があって、
なぜかついうっかり右へ降りてしまった。
すぐに「待て!違うんじゃない?」とダンナチェックが入った(山奥育ちなので怪しい匂いを嗅ぎつけられるらしい・笑)
1,2分で気付いたが、ずっと降りてしまったら泣けちゃうような積雪。
地図を確認するとどうやら天狗尾根の方だったらしい、危ない危ない。
すぐに本来のルートに戻りました。
そして国師ノタル目指して降りますが、シリセードしたくなるほどの急下降・・・
が延々と約二時間続きます。
深い雪の中、気をつけていても踏み抜く。
足の付け根まで踏み抜くと、抜けるのに体力使うし・・・
そしてこんな道をイヤというほど下るのですから、ここを登るのは本当に大変。
(念の為かんじきを持参、でも着けるほどではなかった)
私には逆コースは歩けないな・・・。
(国師ノタルに着いた)
今回の企画のとき、どちらをスタートにするか?悩みましたが、
コブシまでの登りは相当体力を使い、初日で疲れ果てる恐れがあったのと、
この国師ケ岳までの2.5km、標高差約400mの雪深い中を登り、
ラストまで歩ける自信がなかったので、瑞牆からに決めた。
この選択が正解か否かは・・・最後までわからない。
ほとんどが樹林帯の深い森を歩くこのコース。
アップダウンばかりかと思いきや、こんな明るく平坦な場所も所々表れて思ったよりいい感じ。
1つ目の2224小さなピークを過ぎると、さあ、アップダウンの始まり。
いつもは「遅いっ!」と怒られながら進みますが、今日はダンナも文句言いません。
未体験の縦走。途中でバテてしまったり、捻挫など負傷してしまったらたどり着けないから。
安全第一、一歩一歩、ゆっくりと、踏みしめるように歩きます。
2つ目の「東梓」到着。展望はありません。
(甲武信まで2時間?さっき国師ノタルにも同じ板が置いてなかった?)
そしてまたすぐ下り、広々とした尾根へ。
アップダウンはいつもと同じだけど、なぜか今まで歩いていた山とはどこか違う雰囲気を感じる・・・。
華やかさはなく、どちらかといえば地味。
だけど人をよせつけないほどの威厳もなく、どんな生き物もおおらかに迎えてくれそうな懐の深さがある。
下界から遠いこの2000m級の山の中に、
こんなにも静かで、生き生きと自由に生きている木々があったなんて。
いつも歩いていた1000m級の世界とは確実に違う、大きな保水力を持った深い深い森の一面を見た。
そしてまた登り、3つ目の「両門ノ頭」到着。
(両門ノ頭よりダンナ撮影)
ここは大岸壁の突端?狭いし怖いし、ひえ~・・・と一声、足早にスルーです。
雲の中、向こうに見えるのはコブシでしょうか・・・?
そしてまた樹林帯へ。そろそろお腹も空いてきましたが、ここで食べてしまうと登るのが苦になりそう・・・
富士見への登りを終えるまで我慢です。
一つ一つはそれほど標高差のない登りかえしですが、
じわじわと、ボクシングのパンチのように徐々に身体に効いてくる感じ。
だから今回は特に疲れないように、きちんと1時間ごとに休憩し、甘いものを補給。
そんな当たり前のことも、初期のころはできなくてバテてたなー。
ちょっぴりキツイ富士見への登り返しへ。
元気付ける為に、歌を歌いながらリズムをとって登っていきます。
歌は・・・「大きな古時計・間延びバージョン」遅い足取りにピッタリです
4つ目の富士見到着!
一つピークを越えればまた次のピークが現れて・・・
越えても越えても続くこの道が、東京都まで続いているなんて・・・スゴイ。
ココまでくれば、ラストが見えてきた?!ちょうど11:52、お昼休憩です。
(お見苦しい写真でスイマセン)
30分ほど休憩のあと、富士見を直角に曲がり、降りていきます。
お腹が満たされて・・・しまった!眠くなってきた。
が、そんな眠気も吹き飛ばす、今日最大の登り返しのスタート。
キツイです!きちんと足元を固めて登らないと、ズリ落ちそうだし、踏み抜きそうです。
でも・・・これ、燧ケ岳への見晴新道の登りに似てる・・・
過去の体験が時々に蘇り、あの時だって出来たんだから、と頑張ります。
(消えかけの「ミズシ」の文字が)
息を切らし頑張ること約30分・・・まだまだだ、と思っていたら、あれ?・・5つ目の・・
ミ、水師に着いちゃった?
ってことは・・・次のピークは・・・ラスト甲武信!!
ここまでこれたんだ・・・いや、喜ぶのはまだ早い、焦るな私。
コブシははるかに上に見えている、しかも尖がってる・・・ガレ場も見える。
(ミズシから見えたかどうかは忘れました)
またぐぐっと下り、いよいよ「千曲川源流」の分岐に着きました。
水師で休まなかったらやっぱりボディーブローが効いてきて、思わず分岐でザックを放り投げ、座り込んだ。
私の元気の源、いざという時の為に取っておいた最後の一個デコポン!一心不乱で食べた。
源流まで行く元気がなかったのでスルーですが、
ここが水源だなんて・・・山って偉大。一滴の重みを知る。
さあ、ラストの登りだ!
でも私にとっては今回一番きつかった!
ミズシへの登りより更に細い急斜面、心臓はバクバク、
流れる汗を手でぬぐいながら一歩一歩下がらないように確実に踏み込む。
分岐で休んでいたベテランの4人組がすぐに追いついてしまったので、
「スイマセ~ン、お先にドウゾ~~」と上から叫ぶと、
「いいよいいよ!もうすぐ着いちゃうんだから、しっかり楽しみながら登って~!」
と言ってくださいました。さすが、ベテランさんは言うことが違う★
苦手な(苦手ばかり)ガレ場に差し掛かかり、上を見上げると人が・・・
(後ろは怖くて見れないので写真ナシ)
着いた!甲武信ケ岳・山頂だ。
ガッツポーズとか、やった!じゃない。なぜか・・・静かに嬉しかった。
山頂では富士山は見えなかったが、かろうじて青空ものぞき、歩いてきた山々を眺めることが出来た。
ラスト一緒だったベテランオジサマグループに、山座同定してもらい、
「へー!あそこから3日かけて歩いてきたんだ、この私が・・・歩いてこれたんだ」
と言うと、
「そうだね、これが縦走の醍醐味だよね」
奥秩父主脈の半分も歩いていないけれど、私にとってはとても長かった。
出発した時はゴールのかけらも見えていなかったのに、日々一歩一歩足を進め、
今、ようやくこの頂に立っている。
うん、そうなんだ、これが縦走なんだ、と初めての挑戦をやり遂げた喜びで胸が一杯だった。
山を歩き始めた頃は、等高線の見方すら解らず、ガイド本の情報を鵜呑みにして、
自分の力量にあわない無茶な山歩きした事が何度もあった。
疲れすぎてフラフラになって、帰りの電車で気分が悪くなる事もよくあった。
あれから色々経験して、余力を残した計画をするように心がけた。
達成できそうもない計画はしないようになったけど、今回の初挑戦はやっぱり不安だった。
でも、出来た。今までの積み重ねの全てが役に立った。
山歩きから得られる、何にも変えがたいことの多さを改めて感じた。
今回は天気も味方してくれた、山の神様がここを歩くことの意味を知る、
チャンスを与えてくれたのかな。
遠くを眺め、冷たい風に吹かれながらしばらく喜びに浸り、
甲武信小屋へと降ります。
下には小屋の屋根が見えている、人もたくさんいるようだ。
前に見える山、多分明日越えていく「木賊山(とくさ)」だろう。
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小屋に着くと既に賑やかで、受付するのも並んでいた。
まだテントは7,8張だったので、シャベルを借り、好きな場所にはることが出来た。
17:00過ぎに到着した人は場所確保にやはり大変だったようだ。
小屋の方々はいつもあちこちで拝見していた通りの温かい方達だった。
忙しいのにとても親切に色々教えてくれた。
小屋に入った瞬間に、人のぬくもりが感じられる小屋。
第一印象ってだいたい当たってるもの、人気があるのがとても良く解る。
うーーん、ここはやっぱり小屋泊まりがいいな、と思ったが・・・
背負った人に敬意を払って(笑)
(小屋から一段下がったところがテント場)
達成した喜びで祝杯!というところだが、
寒さとなぜかあまり良く眠れないコブシの夜となった・・・
下山・温泉編へ続く。