カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

憧れの鳥海山は・・・雨 【後編】

2013-07-21 | ヤマのこと

プロローグ
前編

続きです。

恐怖の雪渓を前に気を落ち着かせるためとお腹が空きすぎたので、座ってチョコレートタイム。
後から来た男子達も「なかなかきついっすね!」と一緒に休憩。

緊張しながら無心でチョコをほうばっていると・・・
先ほど同様ス~っと一瞬ガスが薄くなり、雪渓の終わりと斜面の先が見えた!
目を凝らしてみると雪渓の長さは10mほど、斜面の下5、6m先に一旦平らな部分が見えた。
落ちてもそこで止まるのか(そんなくだらないことを考えるのは私くらい・笑)なら大丈夫!


気づけば一人葛藤している間に、ダンナは4本アイゼンですたすた雪渓を渡ってるではないか。
おーい!私も連れてってくれないの~!・・・相変わらず冷たいヤツだ

大丈夫、怖くな~い、怖くな~い、と自分に言い聞かせ一歩一歩進んで行く私。
雪渓の終わりが見えた頃、前方にオジサマが3人。さあ、こっちだよ、と導いてくれた。(ダンナの姿はない・笑)
「もうすぐそこが神社だよ、いってらっしゃい」


 
難所を越えて一安心したら、ガスの中に鳥居が見えた。ここが大物忌神社か。

風は相変わらず強いしガスガスだけど、幸い雨は止んでいた。
参拝してからザックをデポし、新山へ急ぎ足。



岩には目印がペイントしてあるので、見失わないように4本足で登っていく。



いわいわいわいわ


 
そうだった、一旦下る画像を何度も見てたっけ。ここだったんだ。

そして、最後の岩に張り付いたらそこが・・・


鳥海山山頂



やった!嬉しさのあまり思わずガッツポーズしてしまった。
険しい山ではないのにこんな不思議な達成感を感じたのはいつ以来だろう?
昨日の豪雨では登れないかとも思ったし、今日も悪天候と道迷いで辿り着けないかもと内心思った。
何度も来れる場所ではないから余計に嬉しかった。
明日もまた雨予報の中、今日という日に数時間でもチャンスを与えてくれてありがとう、山の神様



ヤッホー!ここが鳥海山山頂だよ~!
山頂はとても狭いが周りは遮るものは何もなく、東北の山がほとんど見える・・・んだよ・・・ホントはね。
しばらく待っても霧が晴れる気配など全くないので下山。



帰りはまた同じコースで神社まで戻ります。
似たような岩の連続なので、うっかりすると本当に迷いそうで帰りのほうが注意が必要だった。


神社の休憩所で(¥300)簡単な昼食を取り、あっという間に下山開始。
これがお目当ての”チョウカイフスマ”だったのかどうかは解らない・・・

だってこんなにびしょぬれなんですもの。違ってたらマヌケだな~~~~



 
神社の休憩所を出ると、この天気の中、人が一杯^_^; 
なんだ、みんな来るんだったらもっと早く来てくれればよかったのに~、と勝手なことを思う。

さてここからが問題。本当は帰りは伏拝岳経由湯ノ台道を行く予定だったけど、
そちらにも長い雪渓があり、ガスがかかると迷いやすいと聞いていた。
ダンナは行きたがっていたが、こっちはほとんど人が歩いていないはずで今度迷ったらシャレにならない!
と強引に諦めさせて、来た道を戻ることに。
いや、本当は出来るだけ行きたかったんだけど・・・次の予定の為に。

ピストンの計画ではなかったから、今夜予約している湯ノ台の宿になんとかして夕方まで着かねばならない。
鉾立から下界に通じるバスは夕方2本のみ。それを逃がすとまた鉾立山荘泊w
15:45の酒田駅行きのバスが今日走っていればなんとか辿り着けるはず、
ともしもの為に昨夜考えておいたサブプランだ。

只今11:30・・・今からなら間に合うはず!とそそくさと神社を後にした。




私のカメラはこの雨でレンズが曇ってしまい全然使い物にならなくなっていたけど、
登山道にはイワベンケイがたくさん咲いててキレイだった。



帰りは私が怖がっていた神社手前の雪渓は、たくさんの人の足跡でぐずぐずになり歩きやすくなってたし(笑)
4人で迷った千蛇谷の雪渓も、トレースはあるしまだ登ってくる人もいるし、これなら何の不安もなさそう。



不安と言えばこの落石ぐらいなもので、一度通った道は解りやすく帰りはスイスイと降りてきた。



雪渓部分はこんなふうに大回りして歩くのが正解だったらしい。
帰りに通ってみてよく解った。


 
チョウカイアザミにニッコウキスゲ


 
ハクサンイチゲにチングルマ
他にもハクサンフウロやアオノツガザクラ、イワイチョウなどなど・・・
雨じゃなければゆっくり見れたし撮ってあげれたんだけど、ゴメンネ。



この斜面の向こうにはきっと素晴らしいお花畑が広がっていたんだと思う。残念だけど天気もまた巡りあわせ。

結局晴れたり曇ったりは30分程度で、あとはずっと雨とガスの中。
日本海を見ながらの尾根歩きをイメージして来たけれどまったくかなわず、
鳥海山の良いところ、ひとつふたつしかわからなかった。
でも久しぶりに目的を成し遂げることの大切さ、ピークを踏んだ喜びを味あわせてもらい満足だった。


 
帰りは又小雨に降られ、びしょ濡れになってゴール
約9時間30分の山歩きを無事終えました。


 
14:30、お世話になった「鉾立山荘」に戻ってきました。
ピストンで戻ってくるなら重たいザックを担ぐ必要もなかったのになぁ(笑)


ビジターセンターに確認に行くとバスも運行してると解り、ほっ。
すぐ宿に電話をして事情を説明すると、酒田駅まで迎えに来てくれるという。
なんて親切!皆さんの優しさが身にしみる!(迎えがなければ宿までタクシーで約¥8000の出費だった)

びしょ濡れのカッパを脱いで、びしょびしょの髪の毛を乾かしつつ、稲倉山荘でバスを待ちました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

無事に宿に辿り着き、美味しい食事と温泉で疲れを癒します。
宿にいた登山者情報によると、この宿を拠点に湯ノ台道で山頂目指す予定だったが、
滝の小屋手前の沢が増水してて渡渉できない、と言われ諦めたとの事。
無理を押してこちら側へ降りてきていたら・・・あの決断は正解だったのね

 

湯ノ台温泉 鳥海山荘

 
ここの宿もあまり情報がなく、山荘というからそんな感じかと思いきや、
小さなリゾート施設のようで木のぬくもりを生かした、清潔でステキな宿だった。
食事も値段の割に豪華で美味しかった♪



・・・迎えた翌朝・・・



やった!!宿の窓から鳥海山が見えてる!!
悪天候で鳥海山を遠くから眺めることも無理だと諦めていたから、少しでも見れてよかった。
この後30分ほどでまたあたり一面ガスに覆われ雨になり、もう鳥海山の姿を見ることは出来なかった。


今回珍しくゆとりある計画が功を奏したのか、結果的に登ることが出来、はるばる行った甲斐が合った。
またいつかきっと、晴れの日にリベンジにくると思う。
もう一度あのゴツゴツだけど雄大で優しい表情を持つ鳥海山から、日本海を眺めてみたいから。


おしまい


【行程】

☆交通☆
往路:東京駅21:20→JRバスドリーム鳥海→象潟駅5:15 象潟駅6:10→鳥海ブルーライナーバス→鉾立6:45
(2日目登山後)登山バス鉾立15:45→酒田駅16:50 →(宿の送迎)湯ノ台温泉・鳥海山荘泊
復路:(宿の送迎)酒田駅10:44→JR特急いなほ→新潟駅12:57 13:08→新幹線とき→14:50大宮駅→新宿
※7/15は山形県内豪雨の為徐行運転によりいなほ1時間遅延・新幹線1時間遅延で2時間遅く東京に到着

☆CT☆
鉾立山荘5:10→御浜小屋7:10~7:30→八丁坂8:00→外輪との分岐8:25→頂上小屋10:15~
山頂ピストン・昼食~11:30→鉾立14:30



※文中の雪渓通過等についての表現は私が怖がりなだけで皆さん普通に渡られています。 


長いレポ最後までお読み頂きありがとうございました。