カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

南アルプス応援ツアーin仙丈ケ岳

2013-07-30 | ヤマのこと

2013.7.27(土)~28(日)
「サントリー×ヤマケイ・南アルプス応援プロジェクトツアー」で仙丈ケ岳に行ってきました。

私たちは昨年、震災後の尾瀬や登山口である福島県の桧枝岐村を応援すべく、
尾瀬の現状と魅力を伝えるための微力ながらお力になれれば・・・と尾瀬沼を訪れました。

今回もお声掛け頂きツアーに参加することになりましたが、訪れるのは豊かな自然の残る南アルプス北部。
その主旨は、

南アルプス北部は、みなさまよくご存知のように日本第2の高峰・北岳を中心に、
甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳と人気の山々が連なり、豊かで貴重な自然が残っています。
しかし、近年、数が増えたニホンジカがこれらの高山帯に登り、お花畑を食べ尽くし、
貴重な高山植物やライチョウが絶滅の危機に瀕しています。
地元では自治体の枠を越え、官民の力を合わせて対策にあたっていますが、
問題の解決には多くの力と資金が必要です。
ヤマケイオンラインでは、この問題の解決に向け「ヤマケイオンライン南アルプスプロジェクト」を立ち上げ、
登山者の力を地域の力にする活動をはじめています。



そんな南アルプスを応援しよう!と「ヤマケイオンライン・南アルプスプロジェクト」
のイラストを書いてらっしゃる鈴木みきさんと一緒に現地を訪ねる事が目的の今回のツアーですが、
そのような大きな問題に対し、具体的に自分は何が出来るのか?
あまりに大きな課題に不安な想いを抱えたまま、南アルプスを訪れたのでした。



 
応援ツアー隊は新宿からバスに乗り戸台口へ。
予想通り土曜日の中央道の渋滞にはまり、予定時刻を1時間ほどオーバーして到着。
南アルプス林道バスへの乗換口で、この春南アの近くに引っ越した工場長と合流、だいぶお待たせしました。
久しぶりの再会を喜び、全員揃ってバスは発車しました。


 
仙丈ケ岳は二度目ですが、北岳等も甲府側から入っていたので伊那側からは初めて。
林道バスの運転手さんが鋸岳の鹿の窓や大ギャップなどの説明をしてくださいます。
初めて間近で見る迫力の風景に「すごーい!」と驚きながら、バスは1時間弱で北沢峠に到着。


 
北沢峠は標高2030m 都会のウンザリする暑さと比べたら夢のような涼しさです。
準備運動等を終え、優しく頼もしい今回のツアリーダー、気象予報士・村山さんに続いて歩き始めました。



ひんやり涼しくて快適な登り・・・と言いたい所ですが既に汗ビッショリ
息切れしながら皆さんに必死についていく私でした。クラシックな道標の脇で嬉しい休憩TIME。



さらに進んで行くとマルバダケブキの黄色い花が目立つようになりました。
すると・・・

「オコジョだ!」

あーーーっ!斜面を猛スピードで走り抜けていく小さな姿発見!
だけどあまりの足の速さにシャッターは押したものの撮れてなかったみたいで・・・残念。
でも一度は会ってみたい、と思っていたオコジョに初めて出会えて嬉しかった。
さすが南アルプスは自然が濃い!


 
大滝ノ頭では多くの登山者が休憩中でした。
今回、大平山荘脇から藪沢新道を登る予定でしたが、今年は残雪が多くまだ橋がかけられない状態だそう。
この日はまだ通行禁止だったため、こちらからのコースで馬の背ヒュッテを目指します。



一つ目の雪渓、ステップがあるので気をつけて歩けば軽アイゼンは必要ない程度でした。



雪を見てはワーイ、沢を見てはヒャァ、気持ちイイ♪
出産・子育てで大好きな高山から1年以上離れていたまゆ太さんの声が響きます。
山歩きの喜びを全身で表現する姿がとても素直で微笑ましくて、一緒にいるこちらまで楽しくなりました。




この辺りからようやくお花がチラホラと。ここはまだ春が来たばかりなんですね。




 
藪沢に到着。2009年8月に来た時には藪沢にたくさんの高山植物が見られました。
今年はまだ藪沢には多くの雪が残っているので、これから可憐な姿を見せてくれるのでしょうか。


   
キバナノコマノツメ・ハクサンイチゲ・コバコゴメグサ・ミヤマキンバイ

   
タカネグンナイフウロ・ミヤマキンポウゲ・モミジカラマツ・マルバダケブキ

ここまでの間でもいくつかの花たちが笑顔で私たちを迎えてくれました。


あぁ・・・お花も好きだけど・・・でもお腹が空いたなぁ・・・あ、あの音は・・・あの香りは・・・





と、ようやく目の前に小屋が現れ、馬の背ヒュッテ到着~おつかれ様でした!
まずは全員で渇いた喉を潤す、オールフリーで乾杯です!乾いたカラダに染み渡ります~~



 
今日の馬の背ヒュッテは大変な混雑で、小屋内には居場所がないほど、食事は4回目の18:45から。
幸い雨に降られなかったので、そのまま外で食事の時間が来るのを待つことにしました。

だけどお腹が空いたのは我慢できません、担いできた水茄子を南アルプス天然水で冷やします。
もう一品は先日鳥海山に行った時に仕入れたいぶりがっこでおつまみを作りました。
工場長があの絶品オリーブオイル牡蠣を作ってきてくれちゃったので・・・



一気に食欲を刺激され、2杯目はもちろんプレモルでかんぱ~い


 
みきさんを交えての山談義は多いに盛り上がり、食事の時間まで約2時間ほど楽しい時間を過ごしました。


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お待ちかねの夕食の時間。こちらではコトコトと煮込んだカレーが名物だそうです。
評判通りとっても美味しかった。おかわりも自由だそうです。




さてここからはヒュッテの若きオーナーさんから南アルプスのこと、この小屋のこと、
小屋で取り組んでいることなどなどお話を聞かせていただきました。

鹿の食害についてはここに来るまでの道中にも色々教えていただきました。
鹿の増加はここ南アルプスだけの問題ではないのは登山者なら誰もが知っていることですが、
温暖化による鹿の越冬、狼の絶滅、猟友会の高齢化、警察の銃の取締りの厳しさ等、
様々な理由が考えられます。
昔は地元に腕のいい鹿料理人がいて、山中で仕留めてそのまま地抜きができたりしてたが、
今はそのような人もいなくなり余計に・・・という普段知ることが出来ないお話も印象的でした。

また、南アルプス全体で3万頭はいるといわれる鹿を、伊那市・南アルプス市で年間4500頭捕る計画ですが、
実際は猟友会高齢化や猟に携わる人口減などのため1/3程度しか捕獲できていないこと。
鹿は生まれて1年で母になれるから、越冬して大きくなり、どんどん増えてしまうこと。
花はもちろんだが樹林帯の下草を食べてしまうのも問題で、下草がないと登山道は崩れてしまうこと。
対策をとるにしても馬の背ヒュッテのような個人経営で出来ることは限られてしまうけど、
出来る限り以前のようにお花畑が広がる景色に戻したい。
鹿柵を作ったり地道な活動を続けた結果、キンポウゲは2年で花が咲くほどに戻ったけど、
黒百合はなかなか戻らないほどダメージが大きかったことetc・・

登山道以外のところに入って土を踏み固めてしまうだけで高山植物は生きれないのだから、
もしマナー違反な人がいたら、我々登山者同士がお互い声を掛け合いましょう、皆で協力しましょう、と、
一生懸命話して下さる、オーナーさんの熱い思いが伝わってきました。


今まで私はそこまで真剣に山のこと考えながら歩いていただろうか。
自分のことばかり考えていなかっただろうか・・・耳が痛い。
だけど自分から変わらなければ、自分ひとりでも変わっていかなければ花一輪咲かないかもしれない。
鹿の食害だって鹿が悪いんじゃなくて人間とのかかわりの結果だから、
登山者一人一人の意識の向上も、鹿の食害対策と同じ位大切なことと痛感しました。


 
消灯が20時の為、食後はあまりゆっくりできませんでしたが、げんさんのおつまみをデザート(贅沢)に頂いて撤収。
馬の背ヒュッテでも南アルプスキャンペーン中で、オールフリー無料配布していました。

また、サントリーでは山ランチ投稿1件につき100円がヤマケイオンラインを通じて、
南アルプスの山岳環境保全に使われる、「山ランチ投稿キャンペーン」を行っています。
こういう形の応援も出来るので、私もじゃんじゃん投稿しようと思います。



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翌朝。

 
東駒さまの向こうから朝日が昇りました。山の朝は何度体験しても気持ちよいものですね。


 
5:00、朝日を受けて輝くダケカンバの森を抜けて、山頂を目指します。



山頂への途中、鹿の保護柵が設置してある向こう側には、たくさんのお花が咲いていました。
こうしてゆっくりと森は再生しつつあるのでしょうか。



稜線に出ると、目の前がパーッと開けて仙丈小屋が見えてきました。
身体の中をすーっと風が抜けていくような清々しさです。



碧い峰々に朝日が差して、神々しい眺めは中央アルプス。



コイワカガミ咲く道を、ゆっくりと進んでいきます。


 
小屋直下の水場には、南アルプス天然水。冷たくて美味しい~


 
馬の背ヒュッテ混雑で朝食をお弁当にしてもらったので、小屋の前で頂くことにしました。



こんな美しい山の中での朝食は、何にも代えがたい時間。とっても美味しかった。



朝食後はみんな揃って山頂を目指します!


 
なんだか急いで進むのがもったいないくらい気持ちよくて、ついつい足が止まります。


   
ナナカマド・チングルマ・ミネズオウ・コケモモ

   
ハクサンイチゲ・オヤマノエンドウ・イワベンケイ・ミヤマダイコンソウ



3000mの稜線で、岩の間にしっかり根を下ろしたお花達の健気な姿に癒され励まされ・・・



山頂が見えてきたよ~~



着いた!



日本のツートップ、富士山と北岳が迎えてくれました。
前回来た時はガスで何も見えなかったから、こんな風にみえるなんて知らなくて嬉しかった。

でも、もっと嬉しかったのは・・・


    
     今回の仲間がみんな揃って山頂に立てたことでした。


足の捻挫と体調を崩して休養中だった工場長、直前までこの企画への参加が危ぶまれ心配してたけど、
テーピングで参加し、痛みにも耐えて、普段使わないストック付いて、みんなに迷惑かけないようにと歩いて・・・
皆に気遣う心の優しい工場長の、人懐っこい笑顔が見れたことが何より嬉しかった。


うん、やっぱり山の仲間っていいね!せーの、オールフリー最高に気持ちよい3033mでした。



人気の仙丈ケ岳は早朝から大勢の人で賑わい、みんなそれぞれに素敵な笑顔が印象的でした。
帰りは小仙丈ケ岳へ向かって進みます。



雲上の散歩道は本当に気持ちよい。



仙丈ケ岳を振り返ると、カールの底に黄色のラインが見えます。
大掛かりな鹿柵が設置されていました。追い込んで一網打尽に捕獲しようという計画もあるそうです。



私もこの一輪の花が来年もその次も、ずっとずっと咲き続けていけるように、
昨日今日、感じたことを忘れず、自分に厳しく山に優しく接して行こうと思います。



緩やかな尾根歩き、登山道脇に咲くお花たち。


    
イワツメグサ・チシマギキョウ・タカネツメクサ・チングルマ・ヨツバシオガマ・バイケイソウetc・・・

稜線のお花たちは、まだまだこれから増えて行くのだと思います。



そろそろ楽しかった稜線歩きも終わりが近づいてきました。



小仙丈ケ岳で景色を目に焼付け、下り始めたら、さっきまで隠れていた東駒様の頂上がチラリ。



 
雨に降られることもなく、樹林帯へと戻った頃には青空が眩しいほどになっていました。


 
次に来たときもまたこの健気に咲くお花たちに会えますように。楽しい思い出をありがとう。



 
全員無事に二日間の行程を終え、北沢峠に戻りました。
女子チームはやっぱり甘いものに吸い寄せられ、出発までわらび餅パフェでくつろぎ・・・


 
クリンソウ咲く北沢峠を後にしました。


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さくらの湯でお別れの工場長は、これから長い運転があるのでやっぱり〆もオールフリー♪
ここ、仙流荘のバス停では只今、おやき2個でオールフリーが1本付いて来るキャンペーン開催中です。
(ここのおやき、安くて美味しくってオススメです!)

この夏、こんなポスターをどこかで見たら、南アルプス応援キャンペーンをやっていたな・・・
と思い出して頂けたら嬉しいです。
夏はまだまだこれからが本番、自然に優しく安全登山で楽しい思い出作って行こうと思います。


また、鈴木みきさんの13年の歩みをまとめた本「山の足あと」にも、

今回訪れたコースがかわいく載ってますので是非参考にしていただきたいです。




このような素敵な機会をくださったヤマケイ・サントリー・アルパインツアー他関係者の皆様に、
心より御礼申し上げます。



長文最後までお読み頂きありがとうございました。




今回のツアー参加者の皆さんはこちら


鈴木みきさん
sanpoさん
矢車草さん
たけさん
工場長さん
まゆちゃん
まゆ太さん
げんさん


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