2011年8月30日(火) 大雪山黒岳石室の天気は曇り...
大雪山登山2日目。
昨日は夕方5時には寝床に入り、今朝は朝4時に起床した。
これから桂月岳(けいげつだけ)で御来光を拝むためだ。
本当は夜中に満天の星空を見る予定もあった。
しかし天気は曇り空の為、今回は仕方なく諦めて寝た...
黒岳の朝はとても冷える。
シャツの上にジャージ、インナーのダウン、レインウェアを着込み、レイングローブも装着し出発する。
桂月岳は石室から登って約15分程。
山頂に着くと既にキャンプ組の若者達が御来光待ちをしていた。
4時43分、黒岳の左手辺りから太陽が登った。
曇り空の中、辛うじて雲の隙間から御来光を見る事が出来た。
まぁ、御来光が拝めただけでも嬉しいもんである。
その後、石室へ戻り、そのまま出発の準備をする。
昨晩、石室で一緒だった、3人組のお母さん達は、既に寝床に居なかった。
昨日、お母さん方に聞いた話しでは、8月頭に大雪山愛別岳と言う場所に登りに行ったが、雪が降ったので、諦めて引き返したと言う。
今回はその愛別岳へ再チャレンジすると言っていた。
もう先に出発された様だった。
で、こちらは。。。
昨日、会った年輩の男性から比布岳経由で姿見のロープウェイまで戻ってはどうかと提案されたので、時間もたっぷりある事だし、そのルートで行く事にした。
のだが...
そのルートは何ともアドベンチャーに満ちた、危険なルートだった...
黒岳(石室)から、姿見駅まではいくつかのルートがある。
1つは昨日通った、旭岳経由>間宮岳>北海岳>黒岳石室の逆道。
2つ目は、黒岳石室>お鉢平>中岳>中岳温泉>裾合平>姿見への道。
3つ目は、黒岳石室>お鉢平>北鎮岳>比布岳>当麻岳>当麻乗越>裾合平>姿見へと行く道。
4つ目は、上記、比布岳から>永山岳>沼の平>当麻乗越>裾合平>姿見へと行く道だ。
まだまだ工夫すれば、様々なルートは組める。
まぁ、3つ目ぐらいまでが代表的なものでないかと思われる。
そして、今回、挑戦したのが3つ目のルートだった。。。
5時30分 黒岳石室を出発する。
最初はなだらかな平坦路が続き、途中から軽い登りが続いた。
後ろを振り向くと、黒岳や石室が段々遠退いて行く。
6時5分 お鉢平展望台に到着。
ここは谷間からの風がとても強い。
帽子が飛ばされない様、注意し、お鉢平全貌を見渡した。
更に先に進むと、登山道の先には雪渓が待ち望んでいた。
【右側に北鎮(ほくちん)岳、ルートは左の雪渓へ続く 】
まさか、あれを登るのか...
と思ったが、雪渓の雪解けの一部を渡れば、先に進める様だった。
だが、一歩だけぬかるんだ場所に足を置かなければならない。
これを滑らすと、雪渓を滑落する事となる。
足の置き方を考え、右足でぬかるみの場所、次の左足で向こう側へと繰り出し、何とかうまく渡れた。
坂の途中なので、簡単な様で、結構、難しい。
これが7月だったりするとアイゼンでもなけりゃ無理だろう。
6時40分 北鎮(ほくちん)岳への分岐に到着。
【左側にお鉢平が広がり、一番右端に旭岳が見える 】
7時 北鎮岳(2240m)に到達。
旭岳に次いで、北海道で2番目に高い山だ。
来た道を振り返ると、黒岳からの道筋が良く分かった。
先程の雪渓辺りで、後続のグループが少しためらっているのが見えた。
ほんと雪渓のある場所は、危ない所だと分かる。
ここからは比布(ぴっぷ)岳を目指す。
【左に比布岳、中央の尖ったのが愛別岳 】
下山道が続き、平らな道、山裾の道を歩き、比布岳手前でまた登った。
【山裾を抜けると、目の前に比布岳がそびえる 】
7時55分 比布岳(2197m)に到着。
ここで、昨日、食べたお握り2つの内、最後の1つを食べる。
それにしても曇り空の為か、風がキツイせいか、凄く寒い...
右手には、先細った尾根に、先が尖んがった愛別岳が見える。
尾根の両端は左右どちらにでも滑り落ちそうだ。
すると向こうから、例のお母さん達がやって来た。
どうやら愛別岳に行くのを諦めた様だった。
愛別岳への分岐からは、足の踏み場が片足ぐらいしかなく、とても行けそうにないと言う。
お互いエールを送り、お母さん達は、また黒岳の方へと戻って行った。
自分も行ってみようかと思ったが、現場を見ると、とても恐ろしかった。
最初の一歩で滑落しそうだ。
道が砂利になっているので、ロープでもないと非常に危ない。
だが、比布岳から当麻岳へと続く道も難有りだった。
こちらも尾根伝いに進んで行く。
左側に傾斜のある砂利道を、両足程の幅で歩かなければならない。
あぁ...滑落しそう。
道が湿って固ければ、この状況でも何とか行けるが、更に谷からは強風が吹いているし...
今更、戻るのもイヤなので、意を決し前に進んだ。
足の先を斜面の上気味に向け、体を右側に傾け、ステッキを右斜面に大きく突き、慎重に進んだ。
一歩でも踏み外すと、間違いなく滑落する...
2つ目のルートにすりゃ良かったと後悔した。
【地図を見ると、愛別岳へのルートは点線... 】
なるべく大きな石があれば、踏ん張る様にし、何とか大岩にたどり着いた。
振り返って写真を撮ったが、その場所も目の前は滑落する恐れがある。
あぁ~、怖い...
【滑りそうなのをこらえて、振り返って撮ったところ 】
(ちなみに反対側は雪渓)
早くここを抜け出て、次の場所へと進んだ。
8時40分 安足間(あんたろま)岳に到着。
ここからは当麻岳を経て長い下山道となる。
大きな岩の峰が3、4つあり、尾根伝いに下って行った。
【歩いて左側には、旭岳からの裾が広がる 】
【振り返ると、後ろからガスが接近して来たので、足早に下山 】
10時 当麻乗越に到着。
ゴツゴツした岩場の急斜面を延々下り、途中、道が見えない草木をかき分けようやく到着した。
【当麻乗越までのゴツゴツした下山道 】
ここからは裾合平を経て、姿見まで2時間40分と地図に書いてある。
【現在地の “ 当麻乗越 ” は、地図では上らへん 】
“ 熊注意 ” とも記載されてるので、鈴を3つ装着した。
ここまでナニカのフンを、大きいのから小さいのまで見掛けた。
シャンシャン鳴らし、ゆったりした道を進む。
遠く向こう側には姿見のロープウェイ駅が見える。
あともう少しだ。。。
すると、手前に渓谷の様なものが見えた。
どうやら沢がある。
水の流れる音が段々大きく聞こえて来た。
どうやって向こう側に渡るんだろうと、疑問も出て来たが、近付くに連れ、階段の様な道が向こう岸に見えた。
あれを登ると言うことは...
渓谷手前で降りると、目の前には、勢いのよい “ 川 ” が流れていた。
え!?
沢のイメージはあったが、コレは川なんじゃね(自分にとっては)...
場所によっては浅い箇所もあるが、どうにかして渡らなければならない。
大小様々な岩があったので、色んな場所から渡れる可能性を思案した。
大きなリュックさえなければ、トントンと行けそうだが、ツルっと行くと、結果はザブンだ。
段々になっているので、水流が早い場所もある。
悩んだ結果、登山靴がぎりぎり全部浸かるかってコースを選んだ。
ステッキがもう1本あればバランスも取れ、ガッツリ渡れるが、この1本にバランスを預け、意を決し(また)、トントンと渡ってみせた。
多分、登山靴以上の深さまで入ったと思われるが、スパッツを予め装着してたので、若干、靴下の上側が濡れただけで済んだ。
沢を過ぎると、途中から木道や、整備された道となった。
【振り返ると、さっき歩いた山が広く見える 】
あの山の稜線を右から、左に歩き、下って来た訳だ...
途中、ドロっとした黒い固まりが2箇所程あったが、あれが熊のフンだと、後で会った2人組のお母さん達から聞いた。
お母さん方はアレを見て、進むのを止めて、姿見へ引き返す所だった。
自分としては出逢わなかったし、特に問題なかったのだが...
【ようやく姿見平が広がる場所まで来た 】
【旭岳はガスが掛かっている 】
12時 ようやく姿見駅に到着。
姿見平近辺は観光地なので、軽装の観光客などで賑やかだった。
【暫くして、旭岳は真っ白で見えなくなった 】
駅に到着する前は、可愛らしい園児達の遠足と一緒に歩き、会話しながら温かい歓迎を受けた。
【園児達はお弁当タイム 】
これから登る山ガールに声を掛けられ、色々、会話した。
人間の居る場所って、やっぱイイもんだ。
今回のルートは反対側から来る人と誰とも出会わなかった。
気楽ではあるが、危機や危険に会うと、協力者が欲しいもんである。
山の達人からのアドバイスがあるだけでも心強いもんである。
今日のルートは、改めて自然の恐さを知った、波乱に満ちた登山だった。
【ロープウェイに乗り、後ろを見ると、ガスで真っ白... 】
【旭岳麓駅で濃厚なミルクソフトを堪能 】
13時 大雪山白樺荘YHに到着。
風呂で汗を流し、テラスでビールを飲みクールダウン。。。
最高でした。
この日の夕食。。。
2日前の夕食。。。
料理はとても美味しく、YHで出るレベルではなかった。
露天風呂もあり、日帰り入浴(500円)の客も頻繁に来ていた。
今日はぐっすり眠れるだろう。。。
‐Danke‐♪