Mr.Dashのぶろぐ館

奈良・大阪・日本アルプスの山々が大好きな、Mr.Dashのブログです。

2009年5月4日(月)甲斐駒ケ岳へ、トレース薄い双児山ルートから苦戦の登頂

2009年05月06日 | 山登りの記録
昨日の仙丈ヶ岳とは、うって変わって、テクニカルな山行となった。

天気はどんよりとした曇り。長衛荘を6:00に出発。
ほとんどの人が、仙水峠を経由して登るらしく、雪上のトレースは薄い。
しかも、つづら折りに標高を稼いでいくため、ルートは鋭角に曲がるところが
多く、薄いトレースの先行者も、明らかに迷いながら下ってきた形跡。
とはいえ、直登する気になるような傾斜ではない。

こちらはGPSという文明の利器があるので、実際の地形さえ見ておけば、
大幅に方向を誤ることはないが、ルートファインディングが難しい。
少なくとも、2502mピーク前後の左側は、地形図を見ても毛虫だらけなので、
できるだけ南東側の斜面を小さく巻くようにした。


2時間ほど登ると、振り返ると、時折、樹林越しに仙丈ヶ岳が望めるようになる。

2502mピークに8:05、不動岩ピークには8:35なので、苦戦ぶりが分かる。

不動岩ピークは、左側の絶壁に雪庇ができている。滑落したらたいへんだ。


8:45、双児山に到着。


ここから見る鳳凰3山の東側に雲海ができており、これはこれで
風流である。ただ、しだいに雲が上昇してきているのが気がかりだ。


駒津峰で、ご夫婦連れに会う。我々の通ったルートを下山するという。
彼らはアイゼンを着けていなかったが、我々の武装を見てここで装着。


逆に、我々はいったん、アイゼンを脱いだが、このあとのヤセ尾根の
急下降で、再び装着。とにかく、こうした時間が無駄に過ぎていく。

甲斐駒ケ岳への登りは、険しい岩と、凍りついた雪のミックス。
アイゼンをつけたまま岩に攀じ登るのは、なかなかコツが要る。


おばちゃん連れの、ガイド風の兄ちゃんが下りてきたので、
「この先、まだアイゼンは要るか」と聞いたら、Mr.Dashの
頭からつま先をサッと一瞥し「いや、脱いでも大丈夫ですよ」と
ハッキリした回答。ここで足を自由にし、岩角をつかんで高みを目指す。


11:39、やっと山頂! 結構、時間がかかってしまったなぁ。
既に、朝一番に仙水小屋などから登った登山者(30名程度?)の大半は
下山しており、山頂は静かな空気が流れていた。
一時、青空にも恵まれたが、それは山頂部だから。雲は下から徐々に
上がってきており、下山をはじめて駒津峰に戻ったときには、周囲は
白い世界になっていた。

霧のような中を、仙水峠に向けて下りる。できるだけ雪がついたところを
選んで、アイゼンで歩きやすいようにするが、あまり左に寄り過ぎても
雪庇ごと崩れ落ちそうだ。


坂を下りていると、ヘリコプターのローター音が轟いてきた。
機体は見えないが、どうも、ぐるぐる旋回しているようで、左、右と音源が動く。

14:33、慎重に仙水峠に降り立てば、ヘリは我々の方へ一直線に飛んできて、
真上でホバリング。山梨県警さんだ。
黄色とオレンジのレスキュー服が2名、身を乗り出してこちらを見ている。
関わりたくないので、顔をそむけたら、南に飛んでいった。

途中で長靴姿の仙水小屋のスタッフとすれ違う。
「事故ですか?」「いや、特には聞いていない」。

何度か渡渉し、駒仙小屋に着こうという頃、とうとう雨が降り出した。
カッパを着込み、歩みを速めるが、長衛荘に着いたのはちょうど16:00。
なんと10時間の長丁場となった。意外にも苦戦続きのルートだった。

長衛荘のスタッフから、15:00頃に、双児山で滑落者が出て、
ヘリで救助されたと聞かされてビックリ。200m滑落との情報があって、
我々も青ざめる。思い当たる箇所がいくつもあって、どこか分からない。
すれ違って、顔を見て、会話を交わした人だったらイヤだなぁ。

結局、帰宅後にN尾クンが発見したニュースサイトによると、単独行で、
下山中に10m滑落。幸い、ケータイがつながり、自力で救助要請したとのこと。
不幸中の幸いで、ホッとした。

蛇足
甲斐駒ケ岳から駒津峰へ下山する途中、黒戸尾根から来たという4人パーティを
追い抜いたが、彼らはそのあと、なんと19:00に、長衛荘にびしょ濡れで到着した。
我々が登ってきた双児山ルートを下山してきたという。
雨足は強くなるわ、暗くなりかけるわで、たいへんだった様子。
ルートも分かりにくかったそうで、本当におつかれさまでした。

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