このブログでも、2月14日0時7分51秒付で「消費税・地方消費税の税率引き上げ 『二度あることは三度ある』?」という記事を掲載しました。それから4箇月程しか経っていませんが、まさかこんなに早く出てくるとは思えなかったのでした。時事通信社が今日(6月10日)の14時20分付で「増税三たび延期に布石か=成長重視の骨太方針」として報じています(http://www.jiji.com/jc/article?k=2017061000445&g=eco)。
この報道によると、今年の「骨太の方針」は「財政再建より経済成長を重視する姿勢を鮮明にし」ており、「加えて、消費税率10%への言及がなくなったことで、2019年10月に予定される増税を三たび延期する布石を打ったとも見え、論議を呼びそうだ」とのことです。
予想はしていましたが、本当に「三たび延期する布石を打った」のであれば早過ぎます。
しかも、こんな操作を行ってよいのかと疑わざるをえないのですが、「骨太方針は、財政健全化の指標として、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率の『安定的な引き下げ』を新たに設定した」というのです。これにより、GDPが増えれば「財政健全化の指標」が改善する可能性が出てくる、というのです。指標の算定方法を変えるのは、場合によっては財政赤字から目をそらすためとも受け止められかねませんし、都合のよい話を作るためとも思われかねません。また、一応は維持されるとはいえ、2020年度の基礎的財政収支黒字化の目標がかなり形式的なものになりかねません。実質的には、全部とは言えないまでも、半分以上は目標を放棄したのでしょう。
これまで、「骨太の方針」に示されたことが翌年度の税制改正に生かされている、という事実が多くなっています。仮に今年の「骨太の方針」において消費増税に関する記述が消滅すれば、平成30年度税制改正大綱にも書かれない可能性もあります。
(ただ、2016年の骨太の方針に消費税・地方消費税の税率引き上げが盛り込まれたのは6月の公表直前であったようで、5月の案の段階には全く書かれていなかったのでした。)
上記の時事通信の記事の最後は「首相としては、在職中に悲願の憲法改正にこぎ着けるためにも、政権の体力を奪う増税は避けたいのが本音だ」という文章で終わっています(「在職中」には一定の条件が付されます)。それなら話は簡単で、もう延期を繰り返すことをやめて、増税を中止する、つまり増税をやめればよいのです(もっとも、別の方策をしっかりと考える必要は出てきますから、簡単とは言えないかもしれません)。
延期を繰り返すということは、結局、決められない、決断できないことを意味します。先送りと同じようなもので、いつまでも宙ぶらりんのままですから。
2月14日の記事において、私は「仮に、2018年度または2019年度の経済状況が悪く、消費税・地方消費税の税率引き上げを行うことができるような情勢でないというのであれば、今度は再々延期ではなく、きっぱりと中止すべきです。もう日本(国民)には増税することができるだけの余力がないということなのですから。延期が繰り返されるのでは、政治にも経済にも社会にもメリハリがなくなります」と記しました。この考えは変わっていません。
税率引き上げをやめ、軽減税率の採用もやめる。せっかくマイナンバー制度を実施しているのであるから、給付付き税額控除制度を採用する。ニュージーランドなどよりは遅れましたが、ヨーロッパ諸国よりは何歩か先を進んでいることとなります。
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