常に成長、発展を続ける音楽家、常に歩み続ける音楽家と言えば、すぐに思い浮かぶのがマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンであるが、21世紀の今であれば、デイヴィッド・シルヴィアンを筆頭としてあげることができるだろう。その彼が主宰するサマディサウンドから、9月下旬に発売されたCD(日本盤はPヴァインから発売)、Jan Bang / Erik Honore / David Sylvian / Sidsel Endresen / Arve Henriksen, Uncommon Deitiesは、こうした評価と期待を裏切らない作品である。
一聴して「デイヴィッド・シルヴィアンはどこまで先に進んでいくのだろうか?」と思わせられる内容である。確実に、「ブレミッシュ」、「マナフォン」、そして今作と、水準は上がってきており、前進している(但し、今作は彼のソロアルバムではない)。何ならジャパン時代から順番に通して聴いてみるとよい。ソロの作品はどれも素晴らしいし、同時代の音楽からみれば前衛的な位置にあり、サマディサウンド設立以降はその傾向が強まっていることを確認できるであろう。1970年代後半から1980年代前半にかけてのニュー・ウェーヴ期に台頭したイギリスのミュージシャンの中で、シルヴィアンが突出した位置にあることは否定できない。彼以外に、ひたすら歩み続けた人が、他にいるであろうか。
おそらく、CD屋でもネットでも、ロックかポップスか、どちらかの棚に置かれるであろうが、内容は現代音楽の範疇であろう。いや、ジャンルは関係ない。我々がいかに聴くか、という点に尽きる。
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