衆議院の解散が確定的となりましたが、これにより、多くの問題が先送りされる結果となりました。
景気の問題があります。それとの関係で大きな問題となるのは財政でしょう。衆議院が解散されると、12月に総選挙が行われることとなります。既に与党の税制調査会による税制改正大綱の作成がストップしたような状況になっており、通常なら12月に発表されるものが一ヶ月くらい遅れることとなります。しかも、本来であれば来年10月に行われることとなっていた消費税・地方消費税の税率引き上げが2017年4月に延期されたことにより、国税および地方税の改正像が見えなくなりました。また、長らく取り組まれなかった本格的な地方税制改革も、機を逸したような形になりました。法人課税、自動車関連課税など、課題は山積みなのです。そればかりか、根本的な税源再配分という大問題が残されたままです。
税制との関連で、社会保障の財源不足も深刻です。消費税・地方消費税の税率引き上げが前提とされていたからで、これが少なくとも部分的に壊された以上は編み直しが必要となるはずです。
もう一つ、衆議院の議員定数不均衡(参議院についても同様です)が残されてしまいました。前回の衆議院議員選挙について、昨年春、高等裁判所で「違憲状態」とか「違憲無効」というような判断が次々に出されたのは、記憶に新しいところでしょう。最高裁判所は「違憲無効」にこそしなかったものの、明確に「違憲状態」と述べており、国会はこれを早急に是正する義務を負うという趣旨まで述べています。国会が憲法上の義務を負わされている、と理解してよいでしょう。しかし、結局、ほとんど何もなされないまま、衆議院議員選挙に突入します。これまた立派な「先送り」である、としか言えません。
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