2020年7月の豪雨で、JR肥薩線の八代駅から吉松駅までの区間が不通となりました。私も写真や動画で見ましたが、八代駅から人吉駅までの区間は、球磨川に沿っているということもあってか、被害は甚大であり、路盤は崩壊する、橋梁は流される、など、一体何箇所被災したのかと問いたくなるような状態でした。
元々、JR九州の鉄道路線の中では平均通過人員が低いほうであり、とくに人吉駅から吉松駅までの区間は一日3往復しかなく、2019年度の平均通過人員が106であり、おそらくJR九州で最も低い数値でしょう。かつては鹿児島本線の一部であったという歴史があった(その理由などについては省略します)と思えないような状況でした。そのため、廃線とされてもおかしくないと言えるのです。九州新幹線の新八代駅から鹿児島中央駅までの区間が開業したことによって鹿児島本線の八代駅から川内駅までの区間が肥薩おれんじ鉄道に移管され、肥薩線がJR九州に残されたのは、何とも皮肉な話ではあります。
不通となってから3年半が経過して、今日、つまり2024年4月3日、国、熊本県およびJR九州が復旧に関する会議を開き、そこで肥薩線の八代駅から人吉駅までの区間について復旧することで三者が合意しました。熊本放送が今日の19時24分付で「【JR肥薩線】八代ー人吉間で鉄道復旧合意 日常利用促進の『具体的な施策が示された』 2033年ごろの再開を目指す」として報じています(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1093877?display=1)。
この合意にはいくつかの前提があるようで、熊本放送のニュース記事では「JR九州は、観光だけでなく日常の利用を増やすよう県に求めていました」とした上で「きょうの会議で県は自治体職員が公務で積極的に利用することや、子どもたちが肥薩線と触れ合う機会を増やすことなど具体策を示したということです」と報じており、これでJR九州が合意に向かったということのようです。
もっとも、復旧するとしてもかなりの時間が必要となります(費用については言わずもがな、です)。熊本県は2023年度頃の再開を考えているようですが、今から9年後、不通となってから14年後ということになり、その間に沿線人口の減少なども見込まれることを考えるならば、肥薩線の需要も減ることは明らかであり、復旧することが地域のためになるのかどうか、疑問も残るところです。
さらに気になるのは、人吉駅から吉松駅までの区間です。今日の会議では、この区間について結論は出されておらず、さらに協議が続けられるとのことです。被害がどの程度であったのかはあまり報じられていなかったと記憶していますが、本数の少なさ、乗客の少なさなどからすれば、廃線という結論が出る可能性も否定できません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます