ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

留萌本線の部分存続は

2021年02月03日 11時00分00秒 | 社会・経済

 今回はJR北海道の話です。

 現在、JRグループにいくつかある「本線」の中で最短距離の路線が留萌本線です。2016年12月4日までは深川駅から増毛駅までの路線でしたが、翌日に留萌駅から増毛駅までの区間が廃止されたため、最短の「本線」である訳です。

 しかし、このブログの「留萌本線の一部は残るか」などにおいて取り上げたように、留萌本線は10路線13区間問題に含まれ、かつ、JR北海道が鉄道路線廃止・バス転換の方針を示している路線です(もう一つは根室本線の富良野駅〜新得駅)。ただ、沿線自治体では全線廃止ではなく、一部区間の存続を主張しています。行方がどうなるのかと気になっていましたが、今日(2021年2月3日)の9時25分付で朝日新聞社が「留萌線の部分存続、当面協議を続行」として報じています(https://digital.asahi.com/articles/CMTW2102030100002.html)。

 2月2日に秩父別町で沿線自治体会議が行われました。深川市、秩父別町、沼田町および留萌市の首長が出席しており、留萌市を除いた3市町が今後もJR北海道と協議を続けるということになったようです。これは、深川市、秩父別町および沼田町が留萌本線の一部区間(深川駅から、おそらくは石狩沼田駅までの区間)の存続を望んでいるためです。

 ただ、深川市、秩父別町および沼田町が存続を望むとしても、話はそう簡単に進まないでしょう。

 JR北海道は部分存続の場合の赤字額および輸送密度の試算を行っており、会議で示されていたようです。上記記事によると、深川駅から石狩沼田駅までの区間が存続された場合には3億4500億円の赤字額、218人の輸送密度となります。また、沼田町に石狩沼田駅、真布駅および恵比島駅があるということからか、深川駅から恵比島駅までの区間が存続された場合の数字も出されています。3億8800万円の赤字額、163人の輸送密度となるそうです。ちなみに、恵比島駅は1999年にNHK総合テレビで放送されたドラマ「すずらん」の舞台です(私は一度も見ていません。そもそもドラマを見る習慣がないのです)。

 このような数字から、JR北海道は部分存続も難しいという立場を採っています。

 交通に限ったことではないのですが、地域の問題を論ずることの難しさは、全国一律の、あるいは全国に妥当するような標準的な基準を当てはめて判断すると、往々にしてその地域に相応しくない論調になりかねないことです。このことを承知の上で記しますと、仮に深川駅から石狩沼田駅まで、または深川駅から恵比島駅までの区間が存続したとしても、短期間のうちに再度存廃問題が浮上するだろうと予想できるのではないでしょうか。輸送密度の低さから、そのように考えられます。存続できるか否かは道路事情や10代(特に高校生)の人口の状況にもよるでしょう。あるいは高齢者の人口、医療施設の配置状況も考慮要素になりうるでしょう。


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