寝台特急「北陸」 3

2005年11月05日 | 
大宮を過ぎ 高崎を発車する
すでに時間は深夜
関東平野は このあたりで終わり
登り勾配になる
ゴトンゴトンというレールの音が 心地のよい子守唄のよう

ガクンという衝撃に目を醒ます
静かなホームに 「みなかみ」という文字が照らされる
時刻表には この駅の停車は記載されていない
「運転停車」と呼ばれる 客扱いの無い業務上の停車である
そう それはまるで この先の谷川岳越えのために
機関車が息を整えているかのよう

どれくらい止まっていたのだろうか
山越えの準備が整ったEF64型機関車は
再び青い列車を牽いて 走り出す
もうすぐ国境の長いトンネル 新清水トンネルである

そのとき 力強い汽笛の音が 谷あいの夜に 力強く響いた
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